幼少期

幼少期 第1話 色んな武家の一つ

令和〇年(20XX) 1月3日 岩本秀雄

近畿地方の北部はその日、ひどい吹雪に見舞われていた。

鞍馬山の中腹に一人の男が血を流して倒れていた。

彼は風に吹き飛ばされた木に当たってしまったらしく、命の灯は消えかかっていた。

男の名は、岩本秀雄とくに歴史に名を遺したわけでもない普通の人だった、ただ彼の家系は少し特異だった。元は普通の武家だったが、奈良に移ってから、興福寺に仕えたが、御家争いが起き、一族が四散してしまうという、不思議な家系だ。

彼自身も知らないが彼の家の蔵には、一族が四散した時に彼の祖先が持って行ったある巻物がある。

そこにはこう書いてある

《今より、岩本家の二十五代後の当主、鞍馬山に訪ね山で一夜過ごせ、さすればその者、世の変革者とならむ》

今まさに、夜が明けようとしている、しかし今まさに命は尽きようとしている。

彼は夜明けを見たあと、線香の煙のような白い息を吐きだし、息を引き取った。

しかし巻物の予言は書いた人も想像もつかないであろう形で果たされようとしていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~弘安十年(1287)

三河国幡豆郡吉良荘一色家屋敷


一人の少年が正体不明の熱を出し、数日間寝込んでいた。

この少年が意識を取り戻した時、彼の脳内にはすさまじい量の情報が流れ込んできた、その情報を整理すると、一人の男の人生が現れ、その少年と男の人格は混ざり、一つの人格を形成した。


彼の今の状況を整理すると、名は一色太郎

足利家四代目足利泰氏の七男一色家初代一色公深の長男

一色家は後に、三公四職(室町幕府の官房長官的なのになることができる家のこと)の一家に数えられるほどの名家なのだが、このころはまだ鎌倉時代なので、下っ端の武家である。あというなら長男だといっても、庶子である。


彼は史実では早々と討ち死にして、弟の載氏に家督がいってしまう。

今まさに崩壊寸前の鎌倉幕府から始まる、戦国の世を生き抜くことはできるのか、一人の男の人生に迫ろう


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弘安十年(1287) 八月 一色太郎


俺はあの時死んだはずなのに、いったいどうなっている?

しかも、周りを見渡してもおそらく武家屋敷のようなことは分かるが、どこの家かもわからない。


「お~い、誰か、誰かおらぬか」


「はい、何用でしょう、若」


現れたのは、the大和撫子といった、黒髪に着物を着た女性が現れた。


「今は何年じゃ?」


「今は弘安十年でございますね、いかがなされましたか」


「いや、とくに」


いつだよ、でもなんか弘安って聞き覚えはあんだよな。

あっ、元寇のやつじゃね、でも前だっけ後だっけ。

まぁ俺小さいし、また戦が起きても俺は連れて行かないだろう。

あと気になることは、鎌倉幕府っていつ滅ぶっけ?


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弘安十年(1287) 八月 一色公深


弓術の鍛錬をしていると、屋敷が騒がしくなっているのに気が付いた。


「殿、若がお目覚めになりました」


「おぉ誠か、すぐ行く」


汗を妻から渡された手拭いで拭き、すぐに向かう。

久しぶりに会いに行くと、死地を乗り越えたのか幼子にしては目つきが鋭く風格を出していたが、気にせず、


「おぉ、元気になったか、よかった、よかった」


この子は将来強くなるそう確信した。


翌日


執務をしていると、また屋敷が騒がしくなり、太郎が倒れたのかと心配していると、


「殿、陸奥守が逝去なされました」


「本当か!」


義兄上はこの前、連署を辞任したと聞いていたが、そこまで悪かったのか。


「葬式はいつ頃行われるのか?」


「九月の始めとのことです」


「相分かった、支度と郎党衆を集めろ!」


「留守の間はどうなされますか」


「公載に任せろ、あと太郎の面倒は公波とお澄にさせろ」


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弘安一〇年(1287) 八月 一色太郎


父上はどうやら、北条業時という人物の葬式に行ったらしい、なんでも連署と呼ばれる、官房副長官的なポジションで、かなりのお偉いさんらしく、俺を赤嶺公波という部下に教育を任せていった。


「さて、若本日は我が赤嶺流弓術を習ってもらいます、まずは手本を見せましょう。

最初に普通の打ち方でしてみましょう」


そういうと四寸伸ほどの長弓を持ってきて、構える。


「よくみててくださいね」


パンッと音が鳴り、的に命中する


「このうち方は、連射出来ないのでイライラするんですよね、でも赤嶺流なら大丈夫」


そういうと今度は、比較的小さめ弓を持ってきて、


「これは、飛距離と威力は落ちますが、小回りもきくし、連射もしやすく、腕の力だけで当てやすいので、態勢を気にしなくていいんですよね」


そういうと、素人目には判別がつかない速度で矢を飛ばし真ん中に当てた


「他にもこんなこともできますよ」


そういうと、少し構え方を変え、連射をはじめ、あっという間に矢筒の中身が消えて的のほうに矢が増えていくのは、西部劇のガンマンのようで、中身が中年のおっさんの少年は、「師匠と呼ばせてください」弟子入りした。


「では、まずこの打ち方ができるようになるには何が必要だと思いますか」


「腕の力でしょうか?」


「いいえ、違います。必要なのは型です」


「えっ、でも先生のは型がいらない打ち方じゃないんですか」


「そんなわけないじゃないですか、だいたい型にはたいていの要点が詰まっており、それを完璧にできないようでは、強くなれませんよ」


「はぁ」


「ではまず、弓を引けるようになるために、筋肉を鍛えましょう」


「結局、腕の力じゃないですか」


「ハハハっ」


何したいんだ、と思いながら、四歳には厳しすぎる、サーキットメニューが始まってしまった。


俺の覇道はここからだ。

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サーキットメニュー一覧

スクワッド 10

タックジャンプ 10

スプリットスクワット 10

スプリットジャンプ 10

ヒールレイズ 10

アングルジャンプ 10

トゥタッチ腹筋 10

バーピージャンプ 10

ラテラルレイズ 10

ジャックナイフジャンプ 10

各2週


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こんにちは、梟町です。前作が展開を考えず始めてしまったので前作七話の最後気持ち悪すぎて嫌なので多分後で大幅に変更します、今回は、子供のころから考えていた案を出した次第です。

まず今作の特徴としましては、化学や技術的革新はできる限り、少なくするつもりです。あと、単純に一色家の中でも特に初期は、情報が少ないので、架空の人物を大量に出すことになりますのでご了承ください。

フォロー、コメントよろしくお願いいたします






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