障害者・ゲイ、コワモテ男子に恋をする。
スズカ・ノトキ
第1話 出会い
とある就労支援施設…
利用者1「山ちゃん、土曜に行ったソープ車椅子OKだったよ」
利用者2「マジ?どこ」
利用者3「前言ってた障害者向け風俗どうだった?」
利用者1「あそこはババアとデブスばっか」
利用者2「金井さんはどう?風俗」
良多「え…お、俺はいい…です…」
利用者2「あ、そう?」
良多「は、はい…し、失礼します」
利用者3人「……」
利用者1「金井さんってさぁ、ここ(施設)の古株だけどいつも一人だよな」
利用者3「一人が好きなんだよ。誰かとつるむより一人が楽な人もいるでしょ」
♢
施設職員「今の時期コロナやノロウイルスも流行ってます。家でもこまめに手洗いうがいをして、毎日元気に仕事に来れるよう頑張りましょう。では今日もお疲れ様でした」
全員「お疲れ様でした!」
ズリ…ズリ…(足をひきずる音)
良多(別に一人が好きな訳じゃない…でもその手の事あんな大声で話すってどうなの?あの三人いつもあんな話ばっかり…若いからかな)
ドンッ(良多が若い男とぶつかる)
良多「す、す、すいません」
若い男2人組「ギャハハ」「す、す、すいません(笑)」
うつむく良多
♢
良多「た、だだいま」
良多父「おかえり。今日うどんでいい?小松菜と鶏肉の」
良多「う、うん…な、何か手伝う?」
良多父「大丈夫。母さんにただいま言ったか?」
良多「ま、まだ」
良多は和室に入ると仏壇の前に立ち、母の写真に向かって片合掌した。
良多「た、ただいま母さん」
♢
良多父「つゆの味薄い?」
良多「ち、丁度いい」
良多父「今日も特に問題なかった?」
良多「う、うん」
良多父「それはよかった」
良多は右手と右脚に麻痺があるが、大抵の事は一人で出来る。食事が終わると服を脱いで風呂に入り、寝巻きに着替え、歯を磨く。
布団に入り、スマホを眺める。画面には「障害者 ゲイ 風俗 ウリ専」と検索した結果が表示されている。
良多(やっぱ無いんだなぁ障害者向けのウリ専て…。20代の時に勇気出してウリ専行ったら障害者だからって断られたんだよなぁ。30半ばでまた挑戦する勇気…ない)
良多は仰向けになり天井を見つめ、今日あった事を思い出す。
『一人が好きなんだよ』『ギャハハ』『す、す、すいません(笑)』
良多(…俺って惨めだな)
♢
利用者1「梓クララの新作見た?」
利用者2「お前ああいうの好きなの?ほぼ整形だろ」
利用者1「整形でも美人ならいいんだよ」
利用者3「俺は桜りなが好き」
利用者1「金井さんは好きなAV女優いる?」
良多「…あ、あんま詳しくないです」
利用者3「じゃあジャンルは?俺JK」
利用者2「うわ変態」
利用者3「うるせ」
利用者1「オレ乱交」
利用者2「俺はマジックミラー号、金井さんは?」
良多「…ふ、普通の」
利用者3人『普通って?』
良多「の、ノーマルな…やつ、です」
顔を赤くする良多
利用者2「大人だな金井さん」
利用者1「何が?」
利用者2「色々見た結果普通のが一番興奮するという事ですよね?」
良多「う…う〜ん」
利用者3「俺ら若造とは違えな」
利用者1「ははは」
良多「……」
♢
施設職員「今日は工賃の支給日です。皆さん今月も頑張りましたね、名前を呼ばれた人から取りに来て下さい。西野樹さん、遠野由紀さん、伊達洋一さん、金井良多さん…」
♢
良多「た、ただいま」
良多父「おかえり。今日は湯豆腐と炊き込みご飯だ」
良多「う、うん。と、父さん…こ、これ…す、少ないけど」
良多は封筒から1万円札を出し、父に手渡そうとする。
良多父「毎回言ってるけど大丈夫だよ良多、金は全部自分のために使いな」
良多「…あ、ありがとう」
♢
良多は布団の上に寝転び嬉しそうに工賃の入った茶封筒を眺める。
良多(スタバの新作飲んで、気になってた漫画買お。そういえばタキキヨ先生の新刊いつ発売だろ?SNSで告知してるかな…)
良多はスマホを手に取り、SNSを開いた。するとイケちゃんというアカウントの投稿が目に入り、良多は目が丸くなる。
イケちゃん『私ごとですが、本日2月22日に入籍しました。また同時に小さな命を授かった事もここに報告させて頂きます。二人で温かく幸せに溢れた家庭を築きたい思っています。』
良多(池田くん、結婚したのか…)
良多がイケちゃんこと池田のアカウントに『おめでとう!お幸せに』とメッセージを送ると、すぐに返事が返ってきた。
良多(相変わらず返信速い…)
池田『ありがとう!てか久しぶりに金井くんに会いたいよ、近々予定合わせて飲まない?』
メッセージを読んで良多は微妙な顔をする。
良多『ごめん今色々忙しくて。時間できたら連絡するね』
池田『こっちこそ急にごめん笑 時間できたら連絡して!あと来年結婚式やる予定だからその時はぜひ来て欲しいな』
良多『うん、絶対行く!』
メッセージを送った後、良多はため息をついた。
20年前…
池田「金井くん」
良多「な、何?池田くん」
池田「さっきの国語、難しかったよね」
良多「だ、だね」
池田「あんなひたすら草冠の付く漢字ばっかり書かされて…あー俺勉強大嫌い。金井くんは勉強得意だよね、養護学校じゃなくて普通の学校でも充分やってけるよ」
良多「む、無理だよ」
池田「無理じゃないよ。俺金井くんが羨ましい、金井くんみたいになりたかったよ」
【池田くんには中度知的障害とてんかんがあった。池田くんは普通の人に見えるけど、普通の人が普通にできる事ができなかった。見ただけで障害者だと分かる俺と違い、一見健常者に見える池田くんは社会に出てすごく苦労したらしい。心が疲れて仕事ができず、引きこもっていた時期もあったと聞いた。だけど親戚の紹介で造園の会社に数日間お試しで働くことになった池田くんは、その仕事がしっくりきたみたいで今もその会社で働いている】
良多(あの時池田くんは俺みたいになりたいって言ってくれたけど…俺は池田くんみたいになりたかった…障害があっても普通の仕事ができて、結婚して、子どもつくって…それに比べ俺は…34歳にもなって恋愛経験も性経験もゼロでしかもゲイ…施設の若い奴らに下ネタ振られてオドオドして、仕事だって探せばいいのにやる前から障害を理由に逃げてる…そもそも何で俺今の施設に通ってるんだっけ…確か高校の時先生には就職を勧められたような……。あ、そっか…思い出した)
16年前…
教師「本気ですかお母さん」
母「はい」
教師「良多くんなら就労支援より一般企業に障害者枠で就職した方がやりがいもあっていいのでは…自立にも繋がりますし」
母「家族で話し合った結果ですので」
教師「そうなの良多くん?」
良多「あ、あの、お、俺」
母「この子中学1年まで普通学級にいたでしょ?そこでね、本当に酷いいじめを受けてたんです。子供がこんなにも卑劣なマネをするのかと驚きました。うちの子は知的には何の問題もありません、だから普通の子と同じ教育を受けるべきだと思いましたが、それは親のエゴでした。この歩き方や話し方をからかう連中のいる環境でまともな教育を受けられるはずがない。社会に出たらこの子はきっとまた傷つけられる。だから施設の方がいいんです。施設の守られた環境の方がこの子には合ってます」
教師「良多くんの考えは?」
良多「……」
教師「良多くん?」
良多「…は、母と、お、同じ考えです」
♢
良多(俺って本当ろくでもないな…人生の選択を親に委ねて何も考えず生きてきた癖に今更それを後悔して…でもあの時就職する方を選んでたらこんな俺でも池田くんみたいになれたのかな…)
考え込む良多
良多(よし、まずは童貞捨てよう!(?))
良多はスマホを持ち、「ゲイ、出会い」と検索した。
良多(掲示板は年齢層高めだな。50代60代の人ばっかり。選り好みできる立場じゃないのは分かってるけど親と同世代の人はちょっと…。やっぱり今の主流はマッチングアプリか。へ〜ゲイ向けのアプリってこんなにあるんだ。これとか評価高いな…これにしてみよう)
良多は慣れない手付きで何とかマッチングアプリに登録した。
良多(登録してしまった…まぁ、ものは試しだもんね)
すると早速いいねが届く。
良多(えっもう来た⁉︎)
いいねしてきた相手『はじめまして!マッチありがとうございます!仲良くしてくれたら嬉しいです』
良多『はじめまして、リョウです。よろしくお願いします』
相手『リョウさんは普段どこで遊んでます?』
良多『高円寺とか阿佐ヶ谷が多いです』
相手『新宿とかは?』
良多『新宿は2回くらい行った事があります』
相手『少なっ笑 じゃあ新宿で会えたりします?』
良多(え、もう会うの確定なの?)『大丈夫ですけど、自分でいいんですか』
相手『いいよ』
『いいよ』の一文を見て良多はなんだか嬉しくなった。
良多(あ、障害の事言わないと)『ありがとうございます、嬉しいです。実は自分、右手と右脚に麻痺があって歩くのが遅く、言語障害もあるので会話の際聞き取りづらいかもしれないですが大丈夫でしょうか?』
♢
それから翌日、良多は施設からの帰宅途中にスマホを見てみるが、あれから未だに返信はない
良多(これはダメだな…そりゃそうか、こんな写真もプロフィールも登録してない俺にメッセージ送ってくるからには相手は誰でもいい人だったんだろうけど、さすがに障害者は無理ってことだよな…)
ピロン♪
その時、良多のスマホにメッセージが届いた。昨日のマッチングアプリの相手だと思いスマホを見ると、同級生の池田からだった。
池田『昨日はお祝いのメッセージありがとう!今日か明日電話できない?』
♢
良多「も、もしもし」
池田「もしもし金井くん!久しぶり、元気?」
良多「げ、元気だよ…い、池田くんは?」
池田「元気元気、急にごめんね、昨日久々に金井くんとやり取りしたらどうしても話したくなってさ」
良多「そ、そっか…そ、そう言ってくれて…う、嬉しい」
池田「仕事の方はどう?」
良多「ま、まあまあ…い、池田くんは?」
池田「俺もまあまあかな、来週雪予報出てるから気が重いけど」
良多「そ、そっか…ね、ねえ、奥さんて…ど、どんな人?」
池田「へへへ、よくぞ聞いてくれました!元はうちの会社に事務で入ってきた人でさ、その時に俺一目惚れしたんだよね。でも同じ会社の人だし、俺障害者だしさ、高嶺の花だから諦めてたのよ。でも会社の飲み会で俺の気持ち知ってる先輩が『こいつ峯岸さんの事好きなんですよ〜』って余計なこと言ってさ。あ、峯岸は奥さんの前の苗字」
良多「そ、そうなんだ」
池田「でもそしたら彼女が『私も会社の中では池田さんが一番タイプです』って言ってくれて、それ聞いて言うなら今しかないと思って『お試しでもいいので俺と付き合って下さい』って言ったの」
良多「そ、そしたら?」
池田「『まずは友達からで』って言われて、そっから連絡取り合うようになって恋愛に発展した感じ」
良多「す、すごいな池田くんは…ゆ、勇気あるよ」
池田「でも彼女の親は俺との結婚に猛反対でさ。何度も挨拶行ったけど結局認めてもらえないまま子供ができて入籍したんだ」
良多「そ、そうなんだ…」
池田「子供ができた事を報告した時も向こうの親は俺の障害が子供に遺伝すると思ってるから冷たい反応だったよ」
良多「……」
池田「ごめん、こんな暗い話。つい話し込んじゃって」
良多「い、いや、あの…お、俺も話したいことあって」
池田「え、なに?」
良多「お、俺…い、池田くんみたいになりたいんだ」
池田「え?俺みたいに?」
良多「うん…い、池田くんは昔から…も、モテてたから…あ、アドバイス…ほしい」
池田「え、モテてた俺?」
良多「も、モテてた!こ、高校の時も…か、彼女いたし」
池田「う〜ん、まぁ俺の場合来るもの拒まずだから。俺の障害含めて受け入れてくれてるのが前提で、俺は俺を好きな人が好きなんだよね」
良多「…お、俺はそんな自信…も、持てない」
池田「大丈夫だよ、金井くんはいい男だよ」
良多「…あ、ありがとう」
電話の後、良多は池田から言われた言葉を思い返していた。
『大丈夫だよ、金井くんはいい男だよ』
良多(俺と池田くんは違う…何もかもが)
『まぁ俺の場合来るもの拒まずだから。俺の障害含めて受け入れてくれてるのが前提で、俺は俺を好きな人が好きなんだよね』
良多「……」
良多は枕の横に置いたスマホに手を伸ばし、マッチングアプリを開く。
良多(こんな俺でもいいって言ってくれる人がいる可能性はゼロに近いけど、何もしないままここで諦めたら年取った時また今みたいに後悔する)
良多はマッチングアプリのプロフィールを入力した。
〈脳性麻痺で右手と右脚が不自由な障害者です。ご理解頂ける方ご連絡ください〉
♢
【それから1ヶ月が経った。マッチしてメッセージを送り合う相手は何人かいたが、実際に会うまで発展する事はなく、俺はアプリを消すかどうか迷っていた。そんなある日…】
良多はある人物とマッチングした。ニックネームはナオ、年齢29歳。最近アプリを始めたようでアイコンもプロフィールも設定されてない。
ナオ 『はじめまして、マッチありがとうございます』
良多『はじめまして、こちらこそありがとうございます』
ナオ『恋人と友達どっちを募集してますか?』
良多『どっちでも。自分なんかでもいいという人であれば誰でも良いので』(ちょっとそっけない文を送ってしまった。このアプリに変に慣れてしまってる…)
ナオ『誰でもいいんですか?そしたら俺と会ってみません?』
良多(…たぶんプロフ読んでないなこの人)『自分障害者なんですけど大丈夫ですか?』
ナオ『全然OKです』
良多(全然OK⁉︎大丈夫かこの人、何か別の目的があるんじゃ…)
疑う良多。しかし先日の電話で池田が言っていた事を思い出す。
『俺の場合、来るもの拒まずだから』
良多(…とりあえず会ってみるか)『どこで会いますか?』
♢
良多(どんな人が来るんだろう…会う前にお互いの写真交換しとけばよかったかな。でも写真送るの抵抗あるし…)
(?)「あの、リョウさんですか?」
良多(来た‼︎)「は、はい…」
良多が振り返る。するとそこに立っていたのは金髪にあご髭を生やした背の高いガッチリした青年だった。その青年を見た瞬間、良多の頭の中が真っ白になる。
ナオ「あの、リョウさんですよね?こんにちはナオです」
良多「こ、こ、こ、こ、こんにちは‼︎」(やばい!想像してたのと全然違うタイプ来た!こ、怖い!どうしよどうしよどうしよどうしよ)
焦る良多を不思議そうに眺めるナオ
ナオ「えっと…とりあえずあそこで一回話します?」
ナオが喫茶店を指差す
良多「は、はい」
♢
ナオ「俺カフェオレにしよ。リョウさんは?」
良多「お、同じで」
ナオ「すみません、カフェオレ2つ下さい」
ナオ・良多「………」
ナオ「緊張してます?」
良多「へ⁉︎」
ナオ「慣れてない感じですか?こういうの」
良多「え、う、あ…」
黙って頷く良多
ナオ「やっぱり、実は俺もなんです。緊張しますよね」
良多「は、はい…」
ナオ「俺、阿佐ヶ谷来るの初めてなんですけど何か名物とかあるんですか?」
良多「め、名物?しょ、商店街とか行けば、い、色々あると思います」
ナオ「へぇ、いいですね商店街。俺が住んでる所にもあるんですよ」
良多「そ、そうなんですか」
ナオ「埼玉の川口って所なんですけど」
良多(こ、この人埼玉からわざわざ阿佐ヶ谷まで来てくれたの⁉︎)「け、結構、と、遠い…」
ナオ「でも俺ずっと来たかったんですよ阿佐ヶ谷。有名な姉妹が住んでるし(笑)だから来れて嬉しいです」
良多「…よ、よければ…あ、案内します」
ナオ「いいんですか」
良多が頷く
二人は店を出ると商店街に向かった。
良多(この人見た目は怖いけど、話し方と声は優しい…)
ナオは脚を引きずりながら歩く良多を横目で見ては気にしている。良多の右脚には変形の予防や歩行を安定させるための装具が付けられており、長距離の歩行が困難なのは明らかだ。
ナオ「あとどれくらいで着きそうですか?」
良多「た、たぶん…あ、あと10分くらいです」
ナオ「あの」
良多「?」
ナオ「結構歩いてますし、あのベンチで少し休憩しませんか?」
良多「…は、はい」
ベンチに座る2人
良多「…す、すみません」
ナオ「何がです?」
良多「き、気を遣わせて…」
ナオ「いや、俺がちょっと疲れちゃって…ほら、長い時間電車に乗ってたから」
良多「す、す、すみません!お、俺が会う場所ここに、し、したから」
ナオ「ははは、リョウさん謝ってばっかりですね。気にしないで下さい、俺は何も気にしてません」
良多 「……」
♢
商店街に到着した二人
ナオ「わぁ、なんか気分上がるな。あ、アレちょっと買ってきます」
良多(ここの商店街久しぶりに来たな)
良多は商店街を見渡す
ナオ「はい、リョウさん」
良多「え?」
ナオ「よければ一口どうぞ」
ナオは良多に焼き鳥を差し出す
良多「……」
ナオ「あ、苦手ですか?」
良多「い、いや…す、好きです」
ナオ「どうぞ、遠慮しないで下さい」
ワイルドな見た目とは違い子供の様に無邪気なナオの笑顔に良多は胸がときめく。
焼き鳥を一口食べる良多
ナオ「美味しいですか?」
良多は頬を染めながらコクンと頷く
ナオ「…モグ…うん、焼きたてで美味しい」
その後も二人と商店街を満喫し、気付けば日が暮れていた。
ナオ「は〜、腹いっぱい。リョウさん、たくさん歩いたから疲れたでしょ?」
良多「だ、大丈夫です」
ナオ「そうですか?俺は結構疲れました」
良多「す、すみません…」
ナオ「え、なんで謝るんです?」
良多「い、いや…な、なんとなく」
ナオ「あの、リョウさん」
良多「は、はい」
ナオ「よければホテル行きません?」
良多「…へ?」
ナオ「疲れたからホテルで休憩したい…てのは建前なんですけど…」
良多「え⁉︎」
ナオ「嫌ですか?」
良多「い、嫌じゃ…ない、です…」
♢
良多(こ、ここがラブホ…すごい!)
ナオ「リョウさん、先シャワーどうぞ」
良多「い、いや!な、ナオさん…さ、先に」
ナオ「そうですか?じゃあお先に」
ナオがシャワーを浴びにいくと、良多は部屋の探索を始めた。
良多(な、何だこのベッドの頭上に設置してあるたくさんのボタンは⁉︎)
ベッドパネルに目を輝かせる良多。続いてその横にひっそりと置かれたコンドームを手に取る。
良多(こ、これってアレだよね…は、初めて実物見た…34歳にして)
次に冷蔵庫を開けると中にはペットボトルの水2本、上のミニ冷凍庫には高級アイスが2つ入っていた。
良多(水と…アイス?これもしかして無料なの?スゴーイ)
ナオ「リョウさん、次どうぞ」
シャワーから出たナオはバスローブの胸元がはだけて張りのある胸筋があらわになり、少し濡れた髪からは雫が落ちている。その色気漂う姿を見て良多の心臓が高鳴る。
良多「は、はい、で、では…い、行ってきます…」
シャワーを浴びる良多
良多(ほ、本当にこれからするのか⁉︎どうしよう!全然自信がない!…きっとガッカリされる)
「……」
(いや、なんだよガッカリって…そもそもあんなチャラそうな人が俺を相手にする?冷やかし?でも電車で1時間かけてわざわざそんな事しに来るとは思えない。金?俺がシャワー浴びてる間に財布盗んで帰ってたり…でも俺の財布盗んだ所で中身なんて2万くらい。それにここのホテル代もなぜか彼が払ってくれた…。何が目的なんだろ)
頭を悩ませながらシャワーを浴び終わり部屋に戻ると、ナオがベッドに座り待っていた。ナオはベッドをぽんぽんと叩き、となりに座るよう良多に促す。良多は緊張でこわばった体を必死に動かし、ナオのとなりに座る。
ナオ「そういえばリョウさんはタチネコどっちですか?」
良多「…そ、その」
ナオ(?)
良多「ご、ごめんなさい…じ、実は…り、両方経験なくて…わ、分からない…です」
ナオ「そんだったんですか。ちなみに初めての相手は俺で大丈夫ですか?」
良多は少し間を置いて、恥ずかしそうに小さく頷いた。
ナオ「よかった、触られて嫌な所あったら教えて下さいね」
そう言うとナオは良多の頬に手を添えてキスをした。
良多(ファーストキス…)
重なり合う唇…そしてナオの舌が口の中に…良多の心拍数は一気に跳ね上がる。
良多(ナオさんの舌…柔らかい…溶けそう…)
ナオは自分のバスローブを脱いだ後、良多のバスローブの前を開き、首筋から段々と下の方へ向かいキスをする。
良多「ん…ン…」(やばい、声が)
ナオは良多の全身をキスをしながら下半身まで伝うと、ペニスを口に含む。
良多「あっ…んん!」(声我慢できない…ダメだ…気持ち悪いと思われる…)
良多はシーツを強く掴んだ。
♢
ナオ「……」
良多「…な、ナオさん?ど、どうしました」
ナオ「ごめんなさい、俺…下手だから」
良多「え?」
ナオの視線の先、そこには自分の半勃ちのペニスがあった。
良多「あ…ち、違います…お、俺…ま、麻痺の影響で…い、いつもこれくらいしか…た、勃たなくて…」
ナオ「感じてはいるんですか?」
良多「は、はい…か、感じるし…し、射精もします」
ナオ「よかった、俺もっと頑張ります」
その時のナオの眩しい笑顔に良多は感動し、心を奪われた。
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