アイドル論

遠山ゆりえ

第1話

アイドルとは偶像のことです。

仏像も偶像の一種です。その中でアイドル的存在といえば、なんと言っても興福寺の阿修羅像ではないでしょうか。


私は残念なことに実物の阿修羅像を見たことがなく、写真でお目にかかっただけです。

それでもそのアイドル性は十分堪能できます。


スリムな身体から伸びる、すらりとした腕。

憂いを帯びた顔は、怒りよりも困惑を感じ、今にも泣き出しそうです。


大仏も仏像です。これは勿論ありがたいのですがアイドルとは言い難いです。あまりにも堂々とした大御所で、悟りきってますからね……。


日本の象徴である天皇、皇族の中にもアイドルは存在しています。


愛子さまや佳子さまが手を振る姿に「かわいい〜!きれい〜!」と思う人達は大勢いるでしょう。もうすぐ大学生の悠仁さまもアイドル性十分ですね。これからのご成長が楽しみです。


80年代の女性アイドルは沢山いますが、一世を風靡したのは松田聖子でしょうか。聖子ちゃんカットを真似た女の子たちが、そこら中にいたものです。ぶりっ子なんて言葉も流行りました。ちょっと、わざとらしさを感じながらも魅了されてしまいました。現在は還暦を過ぎた彼女ですが、まだまだ活躍しています。ちなみに私も聖子さんと同年代です。


もうすぐ古希を迎えようとしているのにアイドルと呼べるのは、郷ひろみかもしれません。個人的には昔の郷ひろみより、今の方が好きです。昔は甘過ぎて、申し訳ありませんが、気持ち悪く感じました。


松田聖子も郷ひろみも、結婚・離婚などの人生の荒波に揉まれながら、いまだに現役なのがすごいです。憧れてしまいます。


私は趣味として、自分でも短歌を詠みます。

短歌界のアイドルはやはり俵万智です。


短歌に興味がない人も『サラダ記念日』はご存じでしょう。ベストセラーになりました。

「短歌ってこんなに軽い言葉で詠んでも良いんだ!!」と衝撃を受けました。国語の先生だった彼女は古典の短歌の知識もあるでしょう。それを踏まえて現代短歌に新風を吹きこみました。


簡単に詠んでいるようですが、なかなか彼女のようにはいきません。


俵万智も60代ですが、若々しくてイメージが昔と変わりません。彼女の真似をして私もボブにしてみたのですが、老いた座敷童子になってしまいました……。彼女のびっくりしたような丸い目と、きゅっと上がった口角がキュートさを際立たせています。


俵万智には婚外子がいます。不倫の末に一人で生み育てたとか言われています。それだけ聞くと苦労したんだろうな等と思ってしまいますが、大きなお世話でしょう。そのことさえ作品にして、強く楽しく生きているように見えます。これからも新しい短歌を期待しています。作品は永遠に輝き続けるでしょう。


さて今のアイドルはどんな感じなのでしょうか?昔のアイドルはトイレにもいかないなんて神格化されていた時もあります。


今のアイドルはもっと身近な存在になっているように感じます。地下アイドル・ユーチューバーのアイドルなどなど、細分化されているようです。日本中の老若男女が全員知っているアイドルは生まれずらいのかもしれません。


アイドルは花火に似ています。大きな打ち上げ花火や繊細な線香花火、みんなその光を見つめています。毎年行なわれる花火大会・友達や家族でやる花火。暗闇を明るく照らす花火は一瞬の輝きに過ぎませんが、一生の思い出となる場合もあるのです。













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アイドル論 遠山ゆりえ @liliana401

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