関西万博が楽しみすぎて頭がおかしくなりそうなんdが
モーリア・シエラ・トンホ
第1話
「しぇんぱ~い、カッコいいですぅ、付き合ってください~」
そんな能無し女を演じて、大学のたけのこ掘りサークルの先輩に告白したら、案外通った。
「えっ、オレなんかでいいの。君みたいにかわいい子が。光栄だな~」
照れくさそうに頭をかいて私の瞳を見つめる先輩は可愛かった。
でも男ってやつはすぐにイキりだす。いや女だってそうだが、男独特の、おれのち〇こはあいつのより長くて太くて強いみたいな感じの。
「万博なんて、ほらもう、利権ありきの、くだらないイベントだよな~。あれだろ、ガスとか出てるんだろ、爆発したんだろ。アホだよな~」
蕎麦屋のたけのこ御膳を食べている最中に先輩は言った。
「しょだね~」
私はそう言いながら、何言ってんだこいつ、と思っていた。アホはオマエだろ。ディスりキャンペーンにのっかって、オレは真実知ってる、オレは正義と思いたいだけのゴミじゃねーか。
「市長も知事もアホだよな~。オレの方が百倍頭いいわ。オレにやらせろって、いや、やりたくねーし。にしても政治家ってなんであんなアホばっかなんだろうな。チケットの購入方法とかも、あれだろ、おわってんだろ。アホだよな~」
そこまでは我慢できた。先輩は顔がいいし、イキりモードに入っちゃっただけで本当は優しいから。でも次の言葉はスルーできなかった
「オレ絶対行かね~。オマエも行っちゃダメだからな。彼女が万博行ったなんてはずぃーから」
私は若竹煮をいっぺんに口の中に放り込んで、くっちゃくっちゃ噛んでから、先輩の顔におもいっきり吹き出した。
「誰に命令しとんねん、ゴミカスが。絶対万博行ったらあ!」
その日から、万博のことが気になって仕方がなくなった。
見るものすべてが万博に見えた。
便器にお尻をのせると、もう万博だった。便座のとぅるんとした感じ、ちべたい感じ、そういったものが万博だった。どこがかと問われると説明するのが難しいくらい絶妙な感じなのだが、きっとそれが未来感ってやつなんだ。私は理屈より直観を信じる。これは強いミームなんだろう。
水族館の葉っぱの上にアマガエルを見た。それも万博だった。暮れなずむ街のギターの音色の中にも万博がいた。こうなってくるともうダメだった。あらゆるものが万博につながっていた。
陶器市で青いコバルトブルーの皿を光にすかしながら見て、私は作家さんに言った。
「これは、万博ですね」
アールがすげぇ、ここから万博に飛び込むなんて、この作家さんは表現の目的と手段の絶妙な距離感をわかっていらっしゃる、受け手への信頼、作品への信頼、それを成り立たせる恐るべき情熱。
「そうだよ。これはもう、あれだよ、万博だよな~」
その声にハッとさせられた。それは先輩だった。先輩はたけのこの穂先のような帽子をかぶって、にんまりと笑った。
夢から覚めた。ベッドの中。
隣で先輩が裸で私の頬をつついていた。
「ごめん、オレ馬鹿だからすぐにイキがって、カッコつけようとして失敗しちゃうんだ。春になったら、いっしょに万博行こ」
私は何も言わずにうなずきましたとさ。おしゅまい。
関西万博が楽しみすぎて頭がおかしくなりそうなんdが モーリア・シエラ・トンホ @robertmusil
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