第4話 「これ、オムライスよね」「せやな」「カレー作ってたのに?」「なんでやろな(´・ω・`)」

翌日、俺らはいつも通り学校で授業を受け終わり、現在桜木さんの家に行く前に食材を買いにスーパーへと向かっている。

「ところでこれってさー」

「?」

「いわゆる制服デートじゃなーい?」

とりあえずからかってみた。

「そうなるわね」

あれ?いつもみたいにすぐに真っ赤にならない…

「ふっふっふー、私だってあんなにいつもからかわれてたら耐性が付くってものよ」

桜木さんが勝ち誇った笑みを―――いや違うな、ドヤ顔を浮かべる。

ウザい!けど可愛い!…つまりウザ可愛い!

「ほら、くだらないこと言ってないで早く買い物済ませるわよ」

「へーい」

そう言われてそそくさと桜木さんに付いて中に入る。

「で、何作るの?」

「そうね…とりあえず今夜はカレーを作りましょう」

「…何買えばいいんだ?」

「…知らないの?」

何か可哀想なものを見る目をされた。失礼な、カレーくらい作ったことあるわ!…気づいたらオムライスになってたけど…

「カレーの具材っていっても色々あるけど…今回は定番のお肉とニンジンとジャガイモとタマネギらへんにしましょうか」

「カレー粉は?」

「家にまだ残ってたから大丈夫よ」

「なるほど…じゃ、まず野菜からだな」

というわけで野菜を買い物かごに入れていく。

「で、次は肉を買うわけだが…何の肉にするんだ?」

「とりあえず鶏肉かしら」

「鶏だけにってこと?」

「…」

「すみませんでしたその絶対零度の目やめてくださいおねがいします」

「……はぁ…早く会計するわよ」

…マジで怖かった。あの視線だけで場の温度が10度くらい下がった気がする…ヤベェよ…そのうち人殺せるようになっちまうよ…あの目だけで…

「お会計3000円になります」

「えっと…pay◯ayで」

「瀬戸くん!?悪いわよそんなの…せめて半分だけでも…」

「いや、教えてもらうわけだし…あと、場所も借りるからさ、これくらい払わせてよ」

「じゃ、じゃあお願いするわ…次は絶対私が出すから」

「はいはい」

「はーい、こちらにかざしてください…はい、OKです。お買い上げありがとうございました」

店員さんがこちらをなにか微笑ましいものを見る目で見てくるが、それは気にしない事にする。うん、それがいい…下手に気にすると恥ずかしくなってくるから…あ、桜木さんはもう赤くなってる…

その後、俺らは桜木さんの家…というか俺達の住むマンションに向かって歩き出す。

「ちょっと、荷物くらい持つわよ」

「良いよコレくらい。ま、ある種のカッコつけとでも思ってもらって」

「…今日なんかずっと色々やってもらってる気がして申し訳ないのよ…」

「いや、このあと料理教えてもらえるわけだし…あと多分そこで結構迷惑かけると思うからさ」

「???」

「まあ、見たら分かるよ」

と、いうわけでエレベーターに乗って桜木さんの階まで上がる

「アレだな、俺の階、3階だから結構高く感じるな」

「確かに、5階って一般的にもそこそこ高めだものね…あ、ここの部屋よ。ほら、上がって上がって」

「おじゃまします」

「はい、いらっしゃい」

言われるまま部屋にあがり、リビングへと案内される。

部屋はきれいに片付いており、大きなダイニングテーブルなどもあるが…やはり家族で住んでるにしてはあまりにも生活感がない。桜木さんの物はちょくちょく置いてあるのが見えるが、それ以外の人の影…同居人の物品が一切ない。

「どうしたの?」

「あ、あぁ、何でも無い」

「そう?…もしかして緊張してるのかしら?」

どうやら都合よく解釈してくれたようだ

「ああ、女子の家に上がるの、これが初めてだからな」

「なるほど…そういうことだったのね」

何か桜木さんの顔がニマニマしてきた。

「どうした?そんなイラッと来る顔して」

「別にー?ほら、そんなことより早く料理作るわよ」

「…あいよ」

手を洗い、それから料理を始める。

「まず、お米を炊きましょう」

「炊飯器か鍋どっちでやるんだ?」

「お鍋はこの後使うし、炊飯器にしましょうか」

「じゃあ早速設定するか」

そして、炊飯釜をセットしスタートボタンを押した。

「これでよしっと。でこの間にカレーを作るわよ」

「はいっ!先生!」

こうして桜木さんによるお料理教室が幕を開けた…はずだったのだが…

「どうしてちゃんとした手順踏んでるのにオムライスができるのよーーー!!!!」

「…なんでやろなぁ」

そう、なぜかオムライスができてしまったのだ…本当になんでやろなぁ(諦)

「え?てかそもそも今回卵使ってないわよね…このオムレツは一体どこから…?」

「…考えるな…俺、味噌汁作っても前こうなった事があるんだ……もう考えないほうが良い。そういうものだと思おう」

「そ、そうね…とりあえず、美味しそうではあるから食べましょうか…」

「そうだな」

というわけでとりあえず配膳して食べる準備を始める。

「あ、ちょっとお手洗いに行ってくるわね」

「あいよー」

そういって桜木さんはトイレへと行ってしまった。俺はその間に、準備を進めていく。すると、とある紙と袋が目についた。

「ん?なんだコレ。診断書?」

詳しく見ようとすると、桜木さんが戻ってきたので、バレない様に急いで元の位置に戻したのでよく読めなかった。

「ま、いっか」

「?どうかしたかしら、瀬戸くん」

「ん、何でもない」

「そう?じゃあ食べましょうか」

「「いただきます」」

早速一口。…やっぱりオムライスだな、これ。

「なんで卵使ってないのに卵の味がするのよ…美味しいけど」

確かに美味しいのだが、どうして何を使って作ってもオムライスになるのか、謎は深まるばかりである。

こうして、楽しかったお料理会は幕を閉じた。

ところであの診断書の件は気になるが…ま、今度聞く機会があったら聞いてみようか


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