第2話 「付き合って下さい」「無理です」「(´・ω・`)」
帰りのSHRが終わった後、約束していた屋上に速やかに向かうと、もうすでに桜木さんがいた。なにやら緊張しているらしく、表情も固い。
俺は桜木さんに気づかれないように背後に回り込む。
――フッ、この俺が緊張をほぐしてしんぜよう。フッフッフッ…こうすればさすがの桜木さんも「キャー、瀬戸くんカッコイイー」と言って惚れちまうぜ………はぁ…虚しい……さっさと驚かせるか。
「さーくらぎさん!」
「ひゃい!?」
桜木さんが驚いたようにこちらを振り返る。そして変な声を出したのが恥ずかしかったのか顔が赤くなっている。
あらやだ、可愛い……あ、ヤバい。桜木さんの顔がだんだん不機嫌そうに膨らんできた。
それはそれで可愛いな、オイ!じゃなかった。
「ごめんなさい」
「しょうがないわね…」
「ところで、話ってなに?もしかして告白?」
懲りずにふざけた。決して桜木さんの可愛い反応が見たかったとかではない。
「……」
桜木さんが固まった。あれ、これ、マジで告白だったやつ?
あたふたと俺が慌てていると、
「…そうよ。告白よ」
「…マジ?」
「大マジよ。それで返事は?」
「無理です」
あ、桜木さんがこの世の終わりみたいな顔してる
「ど、どうして…」
「俺達今日始めて会ったばかりだよね?」
「うん」
「それで告白?」
「はい。一ヶ月の間だけでいいから、私と付き合ってください!」
俺の頭の中ではクエスチョンマークが浮かんでいる。今日初対面で?ていうか一ヶ月だけで良いって何?
「えっと、付き合うって、恋人になるって言うこと?」
「そうよ」
「何故に1ヶ月?」
「いや、もしどうしても嫌だったらの妥協案?的な感じよ」
「1つ聞きたいんだけど、これは罰ゲーム?それとも俺が好きなの?」
「後者よ」
「えっと…好きってあの…恋愛的な?」
「そうよ」
「…」
控えめに言って意味わからん。
「別にあれだよ、好みじゃないとかじゃなくてさ、むしろ好み的にはドストライクだけどさ」
「なら付き合ってよ」
「だが断る」
「ガビーン」
ガビーンて…
「どうしたら付き合ってくれるの?」
「…まあ、きっかけ教えてくれたら…」
「私と付き合ってくれたら話してあげるわ」
「堂々巡りじゃねえか」
「で、付き合う気になった?」
とグイグイ言ってくる桜木さん。正直な話、顔も可愛いし、何よりもこうして話しているだけでも楽しいし…
「わかった。付き合おう」
その瞬間、桜木さんの顔に満面の笑顔がぱあっと咲いた。ヤバい。何この可愛い生物。
「やた、やた、やた」
なんか嬉しさのあまり幼児退行してるし…
そして暫く経つと落ち着いて、
「今日からよろしくお願いするわ!瀬戸くん!」
「こちらこそよろしく。桜木さん」
そして俺らは恋人同士になった。
その後、連絡先交換をして、一緒に駅に向かった。その道中でも彼女はどこか浮かれた様子で常に笑みを浮かべていた。
電車に乗って、そこから数駅。そこで降りようとすると桜木さんも一緒に降りてきた。
「あれ?桜木さんも同じ駅だっけ?」
「そうよ。瀬戸君はどこら辺に住んでるの?」
「えっと、俺は駅から1時間くらいほふく前進したところにあるコンビニの隣のマンションだよ。」
「普通に徒歩にして」
「徒歩だと5分くらいだな」
「最初からそっちで言いなさいよ…ってもしかしてそのコンビニの名前ってエイトイレブン?」
「そうそう、イナズ◯イレブン」
「……」
「ごめんなさい」
静寂が一番辛いです…
「…はあ…で、そのマンションだけど私も住んでるわ」
「あれだな、逆に今までよく遭遇しなかったな」
「ホントね、まあそういうこともあるでしょ」
「それもそうだな」
と話しつつ歩いていると、マンションに着いた。
俺は5階、彼女は7階の為、エレベーターで別れてそれぞれ自分の家に戻った。
家に入り、手洗いうーがいヤク◯ト!すると、俺は部屋で明日の予習を始めた。
めんどくさいけど一度サボると二度とやらなくなるからな…
予習も終わり、お風呂にのんびり入り、ご飯も食べると、ソシャゲのデイリー周回を始める。今日はやたら濃密な一日だったなーと思いにふけっていると、桜木さんから電話がかかってきた。
「あい」
「こんばんは瀬戸くん…ってなんか雑ね」
「あーごめん今ソシャゲのデイリー回してたからだわっと…よし、今やめるわ」
「いや、別にそのままでも良いわよ?」
「いや、せっかく可愛い彼女からの電話だぜ?あと俺も少し話したい気分だからさ」
「そう…なら良いけど」
それから少し、雑談を楽しんだ。
「あ、もう0時回った」
「ちょっと話しすぎたわね。そろそろ寝るわ。おやすみなさい」
「あいよー、おやすみ」
そう言って電話を切った。
いつもだったらもう少し起きているのだが、なんとなく俺はそのままベッドに入り、眠りについた。その夜は何だかいつもより良い夢を見た気がする。
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