第4話


 そうやって夜の星に照らされ、山を降りていると遠くに光が見える、

 「あれ、なんだろう」

 私がそう言うとりっちゃんは冗談めかしく。

「幽霊かもよ、、、」

 と怖がらせるトーンで言う。

「やめてよ、、、」

 こんなときに、、、は心の中で言ってしまっていたが雰囲気を悪くするつもりは甚だないので心にとどめておく。

 「いや、いないよそーゆうのはさ」

 そうのっちゃんは言う。「のっちゃんはそーゆーの懐疑派だもんねー」とりっちゃんは、返し、言う。

「待って、だんだん近づいてくる。」

 そうりっちゃんが言う。

 そして段々と見えてくる光の正体に私ははっとした顔、をしてしまう。

 お母さんだ。

 途端に駆け出してしまう。

 するとお母さんも私だと確信したようで、光が大きくなる。そしてお母さんのなんというか言い表せない顔が見えたというところで、

 お母さんが私をぎゅっと抱きしめる。それに呼応し私も抱きしめる。お母さんからぎゅと香る匂いがする。

  よかったよかった、、、と言っているお母さんの声が微かに、しかし確実に聞こえる。心は感涙しているのに、涙は出てこない。もう本当に出し切ったのだろう。


そうやって2人の方を向く、りっちゃんは少し羨まし気に、のっちゃんはほっとしたような朗らかな笑顔をしていた。

 「よかったわ、、、来て、、、、」

 「、、、うん」

お母さんと私たちは手をつないで、離さないように皆で歩く。暗い道は意外にも町の光で照らされ、それに心がむずむずする。

「お母さんの手あったかい」

「、、、そうね」

 、、、、、

 沈黙を破り、りっちゃんは。

「ねぇおかあ様聞いてくださる?」

 そうりっちゃんは丁寧に言う。

「なぁに?」

 段々と大きくなってくる町の光に安堵しつつ歩く。

「うん、すごかったんだよ疲れたけど、、、でも色んなことがあったの!」

 そうりっちゃんが言う。そして一瞬言葉が詰まり、視線を一瞬反らせしかしまたお母さんの方を向き言う。

「川にも言ったんだけど、すごかったんだよ。のっちゃんがささーーっと渡って。」

「いや、、、まぁそうなんだけどさ」

 お母さんはちょっとだけ悩ましい顔をした後に小さな笑顔で言う。

「、、、そう」

 なんて会話をしつつ、りっちゃんとのっちゃんを家まで送る。

「じゃあ、、、帰りましょうか、」

 慈しむような目で私を見つめる。私はうんと小さく頷き、手を握りしめて家へと帰るのであった。


 

  お母さんがドアを開けると暖かい空気が私たちを包む。するとお母さんは「ちょっとここで待ってて、」と私の体を見た後、目を見て言う。ちょこんと椅子に座って待つ。家の入口でもしっかり暖かい。温度差が段々と気持ち悪くなってくる安心感を身に染みて噛みしめていると、お母さんがやってきて「ほらこれを着て、シャワーを浴びてきなさい。」そういい、私に新しい靴下とタオルを持ってきて来る。

 私はタオルで体のひどい汚れを拭いて、靴下をはき、シャワー室へと向かう。ドアを開け、

 シャワーを浴びる。


 


 




 シャワーから出てきて、頭の水気を拭きながら扉を開け、リビングに移動すると。

 食卓には牛乳が置いてあった。湯気が香るように上部に漂う。恐らくお母さんが私のために用意してくれたのだろうと思う。ありがたいなとも思う。そして自分のお気に入りの可愛らしい椅子に座り、手に取って飲む。暖かい牛乳が私の心に伝わる。

 するとお母さんは、キッチンからでてきた。

 「お父さんは?」

 「お父さんはあなたを探しに行ったきり帰ってきてないわ。でももうじき返ってくると思うわ、」

ふーん

なんとなく悪いことをしたなと思いつつ、食卓を見ると今日の夜ご飯であろう、ダンプリングスープが用意されていた。

 食べていい?と聞こうとして、お母さんの顔を覗くと、怖い顔をして私を見ていた。

「ねぇあなた自分が何をしたか分かってるの?」

お説教の始まりだ。そう察して、受け入れの姿勢をとる。別に悪いことをしたとは思っているのだ。満を持して、説教を受ける。

「私、言ったわよね?6時ぐらいに帰ってきなさいって。私色んな人のおうちに行ったのよ?まぁでも確かに私も許可はしてしまったけれど  でも約束は守るものよ?」

 うっ、、、と心に突き刺さる。普通に痛い。

「ごめんなさい。」

そう言うと、またお母さんは言う。

「あなた8時に帰ってきたのよ?」

 あれから3時間も経っていたのか。時間感覚に驚きつつ、ごめんと素直に心から出てくる。

 するとお母さんはまた言う。

「あなたは昔からそういうところがあるけれども、そこは変えていっもいいと思うの、、、いや成長というべきかしらねあなたはできる子だって信じてるから、しっかり時間を守って遊んだらいいわけだし、ね?だから、、、、、、、、、(長いので省略)」

 

 長い説教に段々と飽き飽きしてきてしまい、ダメだとは思っているが横目でチラッとご飯を見つつ、話を聞いていると。それに気が付いたのか、私がご飯から、またお母さんの方を向くと、一気に厳格な顔をして、佇んでいた。

 ちゃんと私が目を合わせてから話を続ける。

「ちゃんと聞きなさい」

 「はい」

 背筋をまっすぐ曲げぴしっと整える。

「本当に心配してたのよ?暗い森で女の子三人で。」

「うん、ごめん」

 確かに親目線だと女の子3人は心配してしまう気持ちもわかる。だが私たちだって思っているより、子供ではないのだ、、、。いや、強がってそう思ったが、しっかり子供だし、危ないよね、、、、深く反省し、もう一度

「ごめん」

 と言ってしまう。

 意表を突かれたのか、うぬぬといった顔をして、

 「、、、分かったならいいのよ、分かったなら」

「、、、うん」

そう言うう。

「帰ってきたら明日、お父さんとも話そうね」

 それにはうげっといった顔をしてしまう。

「はいはいそんな顔しないの」

「うん、、、」

 お父さんは嫌いではないが、少しだけ威厳があり、寡黙な人だ。私は尊敬と同時にそれが少しだけ怖くもある。もう一度言うが嫌いではないし、苦手でもない。

 お母さんが話す。

「それと、これからは森に行くときは絶対に6時までに帰ってくること。別に行ってもいいけど、ちゃんと行けるところは見定めて行きなよ?わかってる?」

「うん、わかってるよ」

 ちゃんと反省しているのだが、それがおちゃらけた声に聞こえたのか「ほんとー?」と疑いの目を向けてくる。それに応えるように真面目に「もちろん!」そう言うとゆっくり表情が柔らかくなり、

「じゃあ食べましょうか」

  声音が一気に柔らかくなり、空気の弛緩が緩くなる。

私もそれに合わせて表情を笑顔に変え、

「いただきます」

 と、そう言ってスプーンを手にとり、ダンプリングスープ食べ始める。

 

 ※ダンプリングスープとは。

  小麦粉を薄く伸ばしたものを用意した後、半分に切ったジャガイモ少し蒸して、それに肉と野菜を巻き付けて、トマトスープにいれたのちに、煮込んだ。ようなもの。


「ん~~~~」

 口に入れるとトマトの酸味が食欲を誘う。しかしそれと同時に旨味も存在するのだ。そして麺をフォークで器用気に取り、口へと運ぶ。この料理のメインなだけあって、先ほどの酸味、旨味、甘味が絶妙に絡み合って、おいしさに拍車をかけているのである。

 そして肉と野菜に巻かれているものをフォークで刺して、口に運ぶ。(熱ッ)と一瞬思うが構わず食べ進める。すると肉汁と野菜のあまみが口の中にとろけだす。中にはほくほくと柔らかいジャガイモが入っている。これがまたおいしい。

 このスープはまぁ好物というわけではないが、定番のスープだ。おいしい。

そうやって食事をしていると、ふと思う。

 大事なことを忘れているような、、、、、、

 「あっお母さん、どこ?あの鉄の箱!。」

 頭の中にまるで雷撃が走った様なスピードで降ってくる。

 「鉄の箱?ああこれ?」

 そうやって机の上に置かれていた箱を指さす。

 「そうそれ!」

フォークをすぐさま置き、箱に手をかける。やはり部屋とは違い冷たさが残っている箱に少しあの時の情景が戻ってくるが、しかし温かさも同時にあったことを思い出しながら、冷たい箱から手を離す。

 するとお母さんがぼそっと、

 

 「これ、、、」

 と意味深気に呟くので、

 「知ってるの? 」

そう疑問に思い口に出す。するとお母さんは、体を捻り、奥の棚から新聞紙を選び私に見せる。

 「ほら、これ。 これは惑星間移動の荷物だって」

 新聞を見せてくれる。私は驚きと感動が入り混じった情景を心に描いていた。これはこういうものだったのか、と。

「新聞も読みなさいよーちゃんと。」

「う、うんそれはそうだけど」

 驚きが隠せない。そんなにすごいものだったのか。なんだか凄いものという認識はぼんやりとあったが、本当にすごいものだと確証が加わってすこしばかしの困惑が小さく湧き出ていた。

 だがそれよりはるかに大きくワクワクとした感情が強くなっていく。

「これがカバ山にあったの?」

「うん」と言おうとしたが、しかし言葉に詰まる。私はのっちゃんとの約束を思い出していた。

「秘密っ」

 必死に考えて、言い訳のようなものを口に出す。そしてなにか腹の内を探られまいか疑心暗鬼になっていると

「ふーん」

 と興味なさげに喋るので少し安心してしまう。ただカバ山に行くといっていたのでおそらく自分で回答を見つけたのであろう。微妙な気持ちになりながら、お母さんは喋る。

「これあくんじゃないかな」

 そうやって鉄の箱をおもむろにとり、私の横に座り、弄繰り回す。


 それに心配が勝ってちょっとちょっとと、不満を口にするが大丈夫よ壊すわけじゃないから。と言い、

 それを証明するかのように私の目線より、下に下げて箱をガチャガチャと動かす。

「、、、開いたわ」

そう言って、お母さんは箱を開ける。

 それに少しばかりの不安と期待が止まらない。ワクワクとドキドキ

「わぁ」

 その中にはたくさんの小道具のようなものが入っていた。お菓子のような袋に、クッション、さらにはよく分からない箱のようなもの、そして、缶のようなもの、鉛筆削り、しかも消しゴム付き、 なんと時計まであるし、それだけではない、な帽子まで、しかもしかもまだまだある、プラモデルのような模型も、これはゲームのなにかかな?あとはいろいろな   ボタン?

 などなど、、、 本当に たくさんのものが入っている愉快な箱だった。それに私は語気を膨らませて言う。

「すごいっ、すごいよお母さん!」

 そうやってお母さんの顔を見る。お母さんは軽く微笑んで、そうねと呟いた。「出してみていい?」というといいわよと返ってくるので箱の中から一番目立つクッションを取り出すことにした。

 クッションは意外にもお手製のものなのであろう。ワッペンに名前が書いてある。なんて書いてあるかは読めない。

「これ、、、なんだろう。」

 


 しかし驚いたのも最初まで。意外と凡な箱だったことに少しがっくしとがっかりしながらお母さんに話しかける。


「ねぇお母さん 意外と普通だね。この箱。」

 軽く微笑し、お母さんは言う。

「ええ、そうね。」

 私はつーんとした顔をしながら、水を飲む。

 ただお母さんには言っていないが、私はこの箱への失望以外に、まだあそこになにかがあるのかもしれないという期待が心にはあった。お母さんに嘘をつくということは心ぐるしさがあるが、仕方がない。心のむずむず感を放って、残り少ないスープを食べる。



 

 そうすると段々眠気が私を襲ってくる。「眠い?」と聞いてくるので「眠くない」と意気地を張って、答える。しかし、さすがというべきか偉大な母は私のことなどお見通しらしく、私に「はいはい」とあしらってくる。

 正直なところもう疲れでもうへとへとだ。お母さんが、私を抱いてベットへと持って行ってくれる。そうして、明かりを消しながらおやすみ、と私に言う。私はそれを聞きながら布団に潜る。布団のぬくもりが体を癒しているみたいで心地がいい。お母さんに喋りかける。 

「うん、明日、、見せてあげるんだ。、、、のっちゃんと、、、、、りっちゃんに、、、、、、、、」

 「そう、いいわね」

 眠さで目が細くなることにできる限り抗いながら、微笑んでいるお母さんが

  ゆっくりとお休み、また明日いっぱい遊ぼうね、と微かに聞こえてくる声を聞きながら。

 そうやってお母さんの安心するリズムでやすられて、私は眠りについた。


2日間ほど離れていましたが、一日で一気に終わらせました。正直やる気がなく、校正もできていませんでした。まぁでもいつか2話を削って、3話を校正します。4話もおかしいところがあったら教えてほしいです。これで一応の最初の起承転結が終わりました。ここまで読んでくださってありがとうございます。これから少女たちはどうなっていくのか、そして惑星移動の荷物とは?どうぞ次回もご愛読いたしてくださいまし、

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惑星移動の荷物 taiyou-ikiru @nihonnzinnnodareka

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