三題噺「天下無双」「ダンス」「布団」【KAC20255】

snowkk

三題噺「天下無双」「ダンス」「布団」【KAC20255】

理穂真由希りほまゆき』はアマチュア小説家集団だ。小説を一人で書くには、知識や経験、技量にも限界がある。そこでアマチュア作家でチームを作った。


 きっかけはリーダーの理香が小説サイトで小説を書いていたとき、コメントをくれた人たちと繋がり、仲良くなった者どうしで協力して作品を書いてみようという話になり、理香の他、大学生の穂香ほのか、劇団に所属する真由、料理研究家の由香、興信所に勤めているまれの五人で、それぞれ名前の一文字を取って、小説家集団『理穂真由希りほまゆき』というグループを作った。

 読者は『理穂真由希』を一人の女性作家だと思っている。

 五人はいつも駅前の喫茶店で小説の話をする。今日はKAC2025のストーリーについてだ。今日は五回目の『お題』が発表された。

 穂香が遅れてやって来た。

「皆、今回のKAC20255の『お題』は「天下無双/ダンス/布団」の三題噺だって、知ってた?」

「知ってるよ。四人集まって、今の穂香ちゃんの話を聞いて『え~そうなの!』なんて、どんだけ情報遅いのよ。今、皆でその話をしてたのよ」

 理香がコーヒーを片手に言葉を返す。

「天下無双/ダンス/布団って言われてもねえ。なかなか繋がらないじゃない」

 真由が呟く。

「そうね『天下無双』と『ダンス』は簡単に繋げられそうだけど『布団』につながらないのよ」

 由香が途方に暮れるように言いながらサンドイッチを食べる。

「うーん、アングラ演劇の話でいくか」

 劇団に所属する真由が呟く。

「おお、なんか独特の世界感のやつ? 真由、いけるの?」

「そういうの興味があってね。あまり人が知らない世界というか。薄暗い舞台の上に布団を敷き詰めて漂うように踊るの。わかりにくい『お題』だから、こっちもわからない世界感で押し切るの」

 まれが笑いながら真由の言葉に続ける。

「見世物小屋なんかを舞台にして、そこで繰り広げられる人間模様みたいなの」

「最近の風潮じゃアウトじゃない? 独特の世界感は私も好きだけど。内容は考えないとね」

 他の皆もその世界はよく分からないが、何だか面白そうだということで、早速、情報集めに都内のアングラ系の劇団の舞台を観に行くことにした。


 そこではおどろおどろしい舞台が繰り広げられていた。

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三題噺「天下無双」「ダンス」「布団」【KAC20255】 snowkk @kkworld1983

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