第53話

菜々子『そこからは想像つくでしょ。


ミワコはバレー部のエースで

人脈すごかったからさ。


全ての矛先は私に向いたって訳。


マナブまで一緒になってさ。


ユウタも弁解してくれないし。



ミワコは中3でまた

学校来るようになったけど


私の事はまるで敵として見ててさ。


それまでの嫌がらせなんて

比じゃない日々だよ。


具体的には聞かないでね。

言葉にするだけで

死にたくなる。



死のうと思ったよそりゃ。

楽になりたいし消えたいし。



でもね、

私は生きてる事が仕返しだと思ったの。


いつか大人になったときに

くだらない事したなって

恥ずかしく思うでしょ。


だから死なないって決めたの。』




菜々子は強い。

菜々子は一人で乗り越えて

こうしてここにいるんだな。


そう思うと胸が締め付けられた。




菜々子『それでね、

高校でミホに出会って

世界が変わったの。


私にできない事なんでも出来るのに

私の事絶対悪く言わないの。


私がグズでも

ミホは笑って待っててくれるし


ウジウジ悩んでも

弾き飛ばしてくれる。


モテることも

妬まずけなしてくれて守ってくれるの。


ほんとにどーでも良くなった。

全部最初から始めればいいって

思えたんだよ。



だから昔の話しなかったの。


ごめんね。

隠してた訳じゃないの。

消したかっただけ。



これで私の話はおしまい。


ユウタを殴りたくなったでしょ?


私もだよ。

でもね、

苦しめばいい。




私は2年間一人で耐えたんだから。



私って全然優しくないんだよ。』

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