しゃべれなくてもコンカフェ嬢はできますか?
フクロウ
第1話 トラウマ
「次の問題の答えを
「…………」
「立ちなさい。わからないの? それならそれでちゃんと話しなさい」
「…………」
「黙ってれば見逃されると思ってる? 卑怯者ね」
「……本当にしゃべれないの? 情けない。もういいわ、座りなさい」
私は何も言い返すことができずに座った。静かだった教室のあちこちから陰口が聞こえる。唇をかんでただ下を向くことしかできなかった。
──夢。夢だ。
高校はもう数カ月前に卒業したのにいまだに教室のことを夢に見る。大学生活にはだいぶなじんでいると思うけど。
大学はしゃべらなくてもいい。黙って講義を受けて黙って帰ってくればいい。集団行動なんてないし、一人でいても変な目で見られることはない。
嫌な思いを吹き飛ばすために、私は推しのアイドルのライブ動画を見た。
この前生誕祭をやったばかりでライブ配信の動画は何度見ても気持ちを高めてくれる。
ライブを見ながらSNSを見ると、昨日の夜に投稿したのがかなり拡散されていた。
〈何度見てもいい! 気分が上がる!〉
と、動画のスクショ付きで送るとすぐにたくさんの人からリアクションが来た。
アプリを閉じるとベッドに横になったままライブに集中する。この時間が一番至福の時間だよ。
と思ったら、突然邪魔をするように画面にメッセージが流れてきた。
〈心音! 一生のお願い! 一緒についてきて!〉
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