星屑のステージ

天蝶

高校2年生の佐藤梨乃（さとうりの）は、目立たない存在だった。

友達はいるけど、特別な才能もなく、毎日が淡々と過ぎていく。

そんな梨乃の唯一の秘密は、部屋でこっそりアイドルソングを歌うこと。

テレビで輝くアイドルたちを見ては、「私には無理だよなぁ」とつぶやきながら、心のどこかで憧れていた。

ある秋の日、学校の文化祭で事件が起きた。

クラスの出し物である劇の主演が風邪で倒れ、代役が必要に、梨乃は「歌の練習してたよね？」と友達に押し出され、半ば強引にステージへ。

観客の視線に震えながら、梨乃は劇中歌を歌い始めた。

最初は小さかった声が、だんだん大きくなり、最後には体育館全体に響き渡る。

歌い終わると、予想外の拍手が鳴り響いた。

「すごいよ、梨乃！」とクラスメイトに囲まれ、梨乃の胸は初めての高揚感でいっぱいになった。

その夜、梨乃は決意する。

「私、アイドルになりたい！」

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