推しが舞台の上で丸刈りにする夢を見たら翌日現実になった件(一部誇張)。

珠邑ミト

推し丸刈りは突然に。


 タイトル通りである。

 推しが舞台の上で丸刈りになった。いや、しようとした。

 やろうとして、やりきれなかったのである。



 皆さんこんにちは。珠邑ミトです。

 現在は押しも押されぬ超熟の人妻であるが、これでも若かりしころはあったのでございます。

 そしてこんな私にも「追っかけ」の真似事をしたことがございました。


 切っ掛けは京都。

 大学もとうの昔に卒業し、立派な(?)社会人としてブラックな生活にヒイコラ言っていたあのころ。

 私は時おり友人と共に「そうだ、京都で着物着てぶらつこうぜ」というレジャーを開催していたのです。


 そんなある日のことでした。

 三条にございますタワレコに立ち寄った際、私達はインストアライブというものに遭遇しました。

 そこで出会ったのが推したち。


 彼らは男性三声のユニットでした。

 キーボード、ギター、ギター、サポートにパーカスという、メンバー編成としては三人と一人の四人でした。


 一聞ひとぎき完堕ちとかいうものがあるとしたらこの時のことをいうのでしょう。


 まあそもそも中学の時にTHE ALFEEにハマり、不思議遊戯ゆうぎにハマった流れで135にもハマった私なのですから、むべなるかなというもんです。


 とにかく歌がうまかった。


 そこから雪崩のように彼らのライブを調べてはおいかける日々が始まりました。


 調べたのは当然ヒストリーもです。


 かつてメジャーデビューを果たした後、メインボーカルが学校の先生になるということで引退。のちサポメンの教え子が新メンバーとして加入してインディーズとして再稼働してから数年といったところだったようです。

 私が彼等のことを知ったのは、この再稼働後のことでした。


 傾向はアコースティック、もしくはフォークと言えばよいでしょうか。

 客層も若い女の子たちからご家族連れまでと、ひじょうに、ひじょ――にアットホームで、仲良くなった女の子たちと共に次はどこに参戦するかなど、わいわい楽しくやったものです。


 ライブが開催されるのが京都・奈良が多かったこともあり、私は着物姿で車をかっとばしてM県にある自宅(実家です)から通っては耳から聞くタイプの健康飲料水を浴びまくる日々を送っておりました。


 そんな最中現在の夫と出会い、彼らと我等二人で記念撮影をしていただいたのはよき思い出です。


 しかし、いつかは訪れるであろうと思われていた日がついに訪れてしまいました。


 リーダーであるYさん。

 推しであるYさん。

 彼の引退に伴う解散です。


 しかたありません。

 みんながいつかはと覚悟していたことでした。



 何故なら、Yさんのご実家は四国にあるお寺だったからです。



 ご長男である彼が後を継ぐためにいつかは入山することは予想されていたことでした。解散か、もしくは他メンのAさんとSくん(苗字だとYになるのでお名前のほうにします)とサポメンのKさんで継続する道もありましたが、選ばれたのは解散でした。


 涙にくれながらも私達は彼らの決断を受け止め、来るラストライブの日を迎えました。


 その前夜、私は夢をみたのです。

 そのラストライブの舞台の上で、Yさんが丸刈りにするという夢を。


 目覚めたときの私の気持ちを140字でまとめて下さい。


 私は自腹で仕立てたお気に入りの着物に袖を通して、現地会場にて推し友と合流し、この夢について語り、二人して笑いながら入場しました。


 まさか正夢になるとは思わんやん。

 しかも、バリカンに不慣れなせいで全然刈れないとかいうオチがくるとも思わんやん。

 そして客席にプロの理髪師さんがいて舞台に飛び入り参加してちょっとだけ刈るとか思わんやん。


 その、微妙刈りで後半やるとも思わんやん。


 そんな涙あり笑いありのラストライブが大団円で終わった翌日、

 某所にて行われたファンミに参加した私が、席決めのために引いたくじの数字がまさかの「1」で、Yさんのお隣席をゲットするという最強クジ運を発揮したことで本エッセイを締めさせていただきます。


 ありがとうございました。




 なお、Yさんは現在僧侶系ミュージシャンとして国内外ですんごいご活躍をなさっていることを、ここに付け加えておきます。



                         (了)


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推しが舞台の上で丸刈りにする夢を見たら翌日現実になった件(一部誇張)。 珠邑ミト @mitotamamura

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