哀哭と惨懍

月夜崎 雨

【第零章】無窮弱者

 私は最低な人間である。

 私は知ってしまったのだ。

 最愛の人を殺す快感を。

 流れる血液の美しさを。

 私は最低な人間である他ならない。



 私は最低な人間だ。

 私は知ったのだ。

 殺される快感を。

 消えゆく灯の美しさを。

 私は最低な人間である他ならない。



 彼女達は知らない。犯した罪の償いを成す術を。

 彼女達は知らない。二人に科せられた贖罪の方法を。

 彼女達は知らない。永遠の期間を生き続けることになることを。

 拘束されていることを。

 まだ知らないのだ。

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