鏡が昨日を映し始めた。
チキンナゲット65p
1話完結
朝。洗面台で歯を磨く。
私のルーティンは変らない。
変ったのは鏡だった。
私が私に向かって歯を磨いているわけだが、
気づくと寝巻が違っている。
昨日のままだった。
「おかあさん、鏡が昨日のままだよ!」
「あらほんと、やぁねぇ。
買い替え時かしら」
私はため息をつきながら鏡の縁を叩く。
ばんばんっ
鏡は揺れながら今の私に切り替わった。
今着ている服の私だ。
歯磨きを終えてリビングへ。
「鏡、直った?」
「うん、二、三回叩いたら直ったよ」
「まぁ、だから壊れるんじゃない」
うちのお母さんは天然なところがある。
「違うよ、壊れているから
叩いて直したんだよ」
「あら、そう。直してくれてありがとうね」
「早く新しいのを買ったら?」
「そうねぇ、ちょっと見ておくね」
どうせ買わないんだろうなと私は思う。
「うわっ!びっくりした!」
洗面所のほうから
お父さんの声が聞こえた。
「あなた、どうしたのー?」
お母さんがおろおろしている。
「いやぁ、歯磨きをしていたら
鏡のマリが手を挙げてきてね。」
お父さんは笑いながらやってきた。
鏡はもう壊れたんだろう、
私が鏡を叩いた映像が写ったそうだ。
「まぁ。マリは野蛮ねぇ。
叩くのは良くないわよ」
うちのお母さんはやっぱり天然だ。
ため息交じりにテーブルを離れて
鞄をつかみ、玄関へ。
「早く買い換えたほうがいいよ。
いってきます。」
「そうねぇ、気をつけてねぇ」
私は学校へ向かった。
通学路で友達と合流し
今日あったことを愚痴る。
友達も同じ悩みを抱えているそうだ。
「私もー。朝、トースト焼いていたらさ、
凍っちゃってさぁ」
「えー。それはないわぁ」
「でしょー?そしたらママがさ、
叩けばいいのよ、叩けばって
そーゆー問題じゃないのにね」
「どこも一緒かぁ」
「ねぇー」
「待てー!」
と駆け抜けていく人がいる。
どうやら自転車に置いてかれたみたい。
「どこも大変だねぇ」
「ねぇー」
私たちは話しながら学校に着き
教室にはいる。
黒板が昨日の授業を写していた。
周りはニヤニヤしながらこっちを見ている。
げっ、最悪。今日、日直なんですけど。
私は振りかぶって黒板を叩いた。
鏡が昨日を映し始めた。 チキンナゲット65p @Chikin-na-get65p
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