第3話 予言人形がくる!

1 決定しました!

 三連休の前日――私とメグ、美古都ちゃんは、いっしょに下校していた。

 くだらないおしゃべりをしながら、仲良く並んで家路をたどる。

 大通りの近くの分かれ道で、メグが急に立ち止まった。


「じゃあ、二人とも。私、今日こっちだから」


 いつもと違う道を指さし、メグが言った。

 私と美古都ちゃんは、「え?」と首をかしげる。


「なんでそっちなの?」


 私の言葉に、メグが楽しそうに肩をすくめた。


「今日はね、親戚のお姉ちゃんちにお泊まりなんだ。バスに乗って、直接お姉ちゃんちに行くんだよん♪」


「そうなんだぁ。親戚のお姉さんちって、たしか市外だったよね? いいなぁ~」


「フフフ。いいでしょ? そんじゃ二人とも、また連休明けに!」


「了解! 楽しんできてね!」


 私は手を振り、美古都ちゃんは丁寧にお辞儀をする。

 メグを見送ると、私たちはふたたび歩きはじめた。


「そっかぁ……そうだよねぇ……世間様は、三連休だったよ……」


 せっかくの三連休に何の予定もない私は、トホホなため息をつく。

 そんな私に、美古都ちゃんが言った。


「あの、みどりさん」


「ん?」


「お泊まりというのは……たしかお友だち、あるいはお知り合いのお宅に、数日間宿泊する行事のことでございますか?」


「うん、まぁ、行事って言うか、そういうの」


 そっか。

 美古都ちゃんって、最近学校に来はじめたばっかだから、そういうのあんまよくわかんないんだ。


「実は昨日から、たぬきのお父様もお泊まりなのです」


「狐野神社の宮司さんがお泊まり? え? 連休を利用した旅行とか?」


「いえ。お仕事でございます」


「お仕事……ってことは、出張? 神社って、出張あるの?」


「はい。ございます」


「マ、マジか」


出張祭しゅっちょうさいと申しまして、遠い土地で祭事やお祓いを行うお仕事です。神社の宮司は、たとえ別の土地でも、えんさえあればその場所の幸せを祈ります」


「そっかぁ。大変なんだね」


「たぬきのお父様はご高名ですので、そういった依頼も結構多いのですよ」


「じゃあ今、狐野神社にいるのは、美古都ちゃんとたぬきだけ?」


「はい」


 その時、私は突然、名案を思いついた。

 ニンマリとした顔で、美古都ちゃんに続ける。


「じゃあさ――今日、私、美古都ちゃんちにお泊まりに行ってもいい?」


「え? それはもしかして……私のお部屋が、お泊まり会の会場になるということでしょうか?」


「あ……もしかして、イヤ?」


「と、とんでもございません! 大歓迎でございます! しかし、みどりさん。その、ご迷惑では?」


 そう私に聞いてくる彼女は、なんだかホントにうれしそう。

 ……あぁ、なるほど。

 美古都ちゃん、たぶん友だちが家に遊びに来るの、初めてなんだ。


「ううん。私は、ぜんぜんかまわないよ。美古都ちゃんさえ良ければ、私はいつだって泊まりに行く」


「す、素敵です! みどりさん、私のお部屋で眠られます?」


「いや、そりゃあ眠るでしょ……泊まるわけだし……」


「あぁ! 夢のようでございます! それでは早速、お泊まり会の準備をさせていただきますね!」


 胸の前で両手を合わせ、美古都ちゃんが感動の笑顔を見せる。


 そ、そんなにうれしい?

 でも良かった!


 うん。

 これは、もぉ、めちゃくちゃ高まってきたよ!

 ゼッタイ、楽しい時間にしていこう!

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