第一回、お布団ごろごろ選手権! 〜ダンススタイルで天下無双〜

星見守灯也(ほしみもとや)

第一回お布団ごろごろ選手権! 〜ダンススタイルで天下無双!〜

「第一回お布団ごろごろ選手権、選手入場です!」


 選手たちがスモークを抜け舞台にあらわれる。観客席から声援が飛ぶ。そう、ここは「第一回お布団ごろごろ選手権」の決勝会場だ。リングにはすでに整えられたお布団が並べられている。ふかふかの、上等なお布団だ。


「いやあ、みなさん、眠たげな目をしていますねえ」

「はい。三徹したという選手もいますから、意気込みの程がうかがえます」

「それはすごい。ああ、お布団を整え始めましたね」

「お布団は大事ですからね」


 選手たちはそれぞれ、自分のお布団をチェックしている。特に枕の高さは入念にだ。慣れないお布団だとパフォーマンスに影響が出る。ひととおり確かめると、お布団に入り、規定の体勢をとった。仰臥位だ。


 三、二、一。時計が動き出す。


「タイマースタートです」

「六番の選手、早いですね。枕三秒とはよく言ったものです」

「二番も寝入りました。いいスタートです」


 すー、すーという寝息に、ぐがあ! というイビキが聞こえてくる。


「おっと一番、手が動いていますね」

「五番の選手もお布団をめくりあげたー!」

「そろそろ寝返りが始まる時間でしょうか」

「さあ、ごろごろタイムが始まりました。最も魅力的なごろごろを魅せてくれるのはどの選手か!?」




「四番、お布団を蹴っぽって外に出した! いいですねえ」

「二番、おっとこれは……上下逆さまになろうとしている? 完成すれば高得点ですよ」

「三番、かけ布団をひっくり返しました。起きたときどのようになっているのでしょうか」




「おおっと! ここで一番の選手の動きが激しい!」

「背中をお布団に擦り付けています。まるでダンスしているようですね」

「これ、脳波は大丈夫なんでしょうか」

「確認します。おお、ちゃんと睡眠中ですね。不正はありません」

「これは芸術点が高いですねー」




 ピピピピ……!


「タイマーストップ、そこまで!」


 観客席から叫び声がした。そのなかで選手たちは目を覚ました。


「得点の計算にはいります」

「いかがでしたか、この勝負」

「やはり各自に無意識の独創性というものがあるのですが、一番が飛び抜けていましたね」

「あのダンススタイルですか」

「はい、あれを緊張する決勝で出してくる。これは期待できるでしょう」




「発表します! 優勝は……一番、夢見選手。982点!」


 歓声、そして拍手。


「これは夢見選手の天下無双でしたね」

「はい。素晴らしい決勝でした」

「第二回も今から楽しみです」

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第一回、お布団ごろごろ選手権! 〜ダンススタイルで天下無双〜 星見守灯也(ほしみもとや) @hoshimi_motoya

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