不死鳥転生~悠久の時を生きた不死鳥は人生を謳歌するようです~

和ふー

第1話 プロローグ

 悠久の時を生きる伝説の存在である不死鳥。

 彼は今、難敵魚の骨との死闘の傷喉に刺さったを癒すため復活の儀式を行おうとしていた。


「やはりあの巨体を丸ごと飲み込むのは我には早すぎたか?」


 様々な種族から畏怖される存在である不死鳥でも巨大20cmな魚を丸のみするのは難しかったようで骨が刺さって抜けなくなってしまう。骨が刺さった傷など不死鳥の回復力があれば何ともない。

 と言うか本来であれば骨どころか、聖剣で串刺しになろうと平気なのだが、骨が喉に残って取れずムカムカすると言う理由から、復活の儀式を行う運びとなった。


 不死鳥の復活の儀式とは、不死鳥自ら発生させた特別な焔で自身を焼き殺し、それにより生まれた灰から雛となって蘇る。


「さてと、では儀式を始めよう。てやっ!」


 魚の骨ごときで大袈裟ではあるが、普段と変わらぬ日常の筈であった。

 しかしそこでハプニングが起こる。不死鳥が焼き殺される様子を偶然にも見ていた者がいたのだ。その者は火の鳥が焼かれると言う幻想的な光景に魅了され近付いてくる。


「すごい、ほのお、うぉーー!」


 少々舌足らずに、そして思いっきりよちよちした歩き方なためゆっくりではあるが少し、また少しと近付き、そして不死鳥が燃え尽き灰になった瞬間、その者はたどり着き、


「だあっ!」


 思いっきり転ぶのであった。

 その際思いっきり不死鳥の灰を吸い込んでしまったその者は、息が出来なくなりそのまま意識を失ってしまうのであった。


―――――――――――――――――――


 不死鳥は目を覚ます。すると普段の蘇りと様子が違うことに気が付く。

 復活したばかりの雛であろうとある筈の翼がなかったり、雛にしては視線が高かったり様々である。しかし、


「なんか、ふかふかだ。気持ち良い…眠い」


 これまで感じたことの無かったふかふかさを全身に感じた結果、不死鳥はこれまでの生で1度もやったことの無かった2度寝を試みる。

 しかしその試みは不死鳥の隣にいた人物によって妨げられる。


「ってホムラ様! 寝ないで下さい」

「うん? 誰?」

「えぇ! ホムラ様、私の事を忘れてしまったのですか!?」

「誰?」

「わ、私です! ホムラ様。執事のメープでございます!」

「ホムラ?」

「ご、御自身のお名前すら!? だ、旦那様~! 奥様~!」


 喧しい人物は、不死鳥の反応に驚愕した様子で部屋から出ていってしまう。

 1人残された不死鳥はと言うと、


「やっと寝れる…ぐぅ」


 喧しい人物が居なくなったため、喜んで2度寝を続行するのであった。

 

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