銀河騎士隆盛記 零 宙の章 地の章 天の章

ジム・プリマス

銀河騎士隆盛記 零  プロローグ


 遥か昔の物語。一万六千五百年前頃。


 銀河の中心部の各恒星系惑星の文明が勃興し、星間交流が始まった。その交流の歴史の中で、時には争いがおこり、星間戦争に発展したり、時には平和裏に交流が行われたりした。その頃に、ワープ理論が確立され、惑星間の交流が更に進み、各惑星間での文明のレベルと規模が平均化して、異星人の間で緩やかな連帯が形成された。


 それから千年後に、各惑星の言語の音声波長が生物に与える影響を分析したところ。そこに基本的な原理(カタカムナ理論を参考にする。)があることが発見され、それを研究した結果、ヒューマン型星間翻訳機が開発され、文明の発展とテクノロジーの伝播が飛躍的に進んだ。

 その影響ををうけて、銀河中心部を主にする恒星系の各惑星や衛星により構成される、銀河連邦星団が成立した。

 

 銀河連邦は各惑星の代表者(公使)が議員(執政官)を二名指名し、その議員ひとりが一議席を有し、すべての惑星の議員により、その統治は合議制をもって決する。その議員の集まりが元老院である。それから、さらに千年後。元老院の元には、銀河闘士団がゆるやかに成立していた。 

 

 かれら銀河騎士は、銀河の平和と繁栄を旨とし、惑星間の交渉、紛争の調停、未交渉惑星の訪問などに当たり、銀河連邦による銀河系の統治は、その影響力を高め、その勢力の範囲は、銀河系辺境の地にまで拡大しつつあった。

 

 この頃の騎士達は、物理的に外に働くジンウ(*1)の力を制限し、知覚や意思伝達に働きかけるジンウを重要視していた。強すぎるジンウの力は闇につながるという、古来からの伝承が伝わっていたからだ。 

 

 その頃、幾筋かある銀河の恒星流の一つに大規模な次元断層が存在していることが明らかになり、元老院の依頼により次元断層の調査に向かう騎士ガンデン(*2)と若き従者キンタ(*3)が、人型星間翻訳機PE57Q(*4)と、星間航行船修理特化型情報処理ロボットYWC2(*5)を伴い、星間航行船ブルーノーズ号(*6)を駆り、辺境の恒星系に向かう。


*1ジンウ

 宇宙に遍(あまね)く満ちている生命エネルギー、微生物がワインを醸(かも)すのと源(みなもと)を同じくする。銀河騎士と銀河闘士は、この力を知覚し集約し、その力を練ることにより、通常の人間を超える能力を発揮する。


*2カンデン

 この物語の主人公、幼少期にジンウ寺院の孤児院にあずけられ、光線剣の修行の道に入り、銀河騎士の従者を経て、銀河騎士になった。剣の修行を始めて40年以上となるベテランの中堅騎士。主に銀河辺境の任務に当たっている。白人系で、瞳の色は青、髪は黒、身長は1,75メルト。


*3キンタ

 騎士カンデンの若い従者。カンデンに師事してから6年になる。黒人系で、瞳の色は黒。髪も黒、身長は1,70メルト。


*4人型生還翻訳機PE57Q

 銀河系の惑星の言語を翻訳することを主な任務とするトロイドで、音声波長が生命に与える影響に、普遍的な原理があることが発見され、それを応用し言語翻訳を行う。尚、銀河系の生命体の中には、意思の伝達の際に匂い物質を出す生命体もいるため、その臭気を感知するセンサーを内蔵している。PE57Qというのはただのコード名で意味はない。


*5星間航行船修理特化型情報処理ロボットYWC2

 主な任務は星間航行船の情報管理と管制を司(つかさど)るトロイドだが、船体のメンテナンス、場合によっては人体の医療処置も行う万能トロイド、メンテナンス、医療処置に必要な物質を生成するためのプラント、三次元複製機、などを腹部に内蔵する。外部の汎用型マニピュレータ二対の他に、精密危機の修理、人体の医療処置などを行う為のレーザーメスを、含む四本の小型マニピュレータを胸部に内蔵する。YWC2はただのコード名で意味はない。


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