第28話 芋娘、貴族の屋敷でムチムチビリリ。



(ムッスゥゥゥ………)


「………ただいま戻りました、ナタリーさん」

「お帰りなさいませ、ネーネシア様。あぁ………、あちらで何かございましたか?」


「聞いてくださいナタリーさん!!!」



 ************



 あの後。イザベル様の仰る『魔導士らしく』?を実演しようと、私は武器をナイフからに持ち替えて、



『フ、フライスは修了組にて最弱! 騎士科がこの程度だと思わないでくださいね!』



 と仰った御令嬢相手に、小火球プチフレアを灯した杖を眼前50センチにずっとキープしたまま、


『ヒッ、ヒィィィィィ、何ですの! 一体これは、何ですのォォォ!!!』


 追いかけ回してみたり、


『わ、私の弓は騎士科1の連射力を………』


 な御子息では、中々な感じに飛んで来る多量の魔法矢を全て小火球プチフレアでチュチュン!と、


『えぇぇ………、一歩も動かず、しかも後出しで全部って……』


 撃ち落としてみたり、色々とお手合わせの中で試してみたのですが、どれもこれもしっくりは来ず。


 加えて皆様一様にお腹パンチ一発で終わって仕舞われる為、そんな装甲に対して魔法攻撃ほんめいを当てるワケにもいかず、見学に来ていた騎士科の皆様全員をチーン………。させた所で今日の授業は終わってしまいました。


 因みに次戦の御令嬢から騎士科とか言われたフライス様ですが、その後にお手合わせした方々では、彼の反射魔法リフレクションからの雷刃剣ビリビリの様に、私に攻撃を当てる段階にすら到達出来ませんでしたので、あの場に居た中ではフライス様が一番お強かったと思います。



 ************



「と、そんな感じで魔導科の皆様は、『先生凄い!』とか『カッコいいです!』って凄く褒めて下さったのに、イザベル様ったら、


『あ〜、あまり魔導士の戦法としては参考にならなかったかも知れんが、ネーネシア先生程の詠唱速度や魔法精度、魔力量が在れば、たった一人で騎士科ですらこの通りだ。皆、先生の授業をしっかりとモノにする様に、』


 とか仰るんですよ?

 それに目覚めた騎士科の方も、


『先生はに入るべきです!』

『是非騎士科でも授業を!』


 とか仰るし、私は芋魔導士イモはイモなりに頑張ったのに酷いと思いませんか?」



 ナタリーさんは、お茶を淹れてくれながら私の話をうんうんと聞いてくれて、



「なるほど。クッコロ? と、いう状況は解りかねますが、確かにそれはお嬢様が悪いですね」



 と、私の味方です♪♪♪

 フッフッフ。イザベル様め、帰ったらナタリーさんにまた正座させられるが良いのです♪



「それに恐らくですが、ネーネシア様の場合。

 全ての魔法が詠唱ですので、わたくしの様に感知の苦手な者には、何をどうされているのか全く分からない可能性もありますかと」


「な、なるほど………」



 た、確かに、そうですね。

 私はずかしいので詠唱はキャンセル派ですが、騎士科の皆様の様に常時強化を発動させているならまだしも、動き出しや当たりの瞬間瞬間にほんの少し発動させる私の強化魔法を感知出来ていたのは、リアと先生達を除くと4、5人?程度でした………。


 つ、つまり私は、騎士科の皆様をの状態でバッサバッサしていた、超脳筋な芋魔導士に見えていた、と!!?



「ネーネシア様、騎士と魔導士の違いは私にも余り上手く説明は出来ませんが、当家にはではありますが、そこそこだった騎士が居りますので、その者に話を聞いてみましょう」



 と、ナタリーさんに連れられてやって来たのは、



「おぉ、お客様。丁度今日の芋の収穫が終わった所だよ♪」



 お屋敷の菜園。ステラさんの所です。

 そう言えば、ステラさんは目に大怪我をする前は騎士様だった。とか、言っていましたね!


「ん? 騎士と魔導士の違い? そんなん武器の有る無し位じゃないのかい?」


 『では私は仕事に戻りますので、』なナタリーさんと交代したステラさん曰く、騎士は近接を主体としたポジで、魔法を自身の強化や魔法剣などに使う事が多く、己の肉体と武器を決め手とし。


 逆に魔導士は中・遠距離主体のポジ、魔法による回復やサポート、高威力での一気殲滅が役割で、魔法自体を決め手としている感じじゃないかい? だそうです!


 な、なるほど、確かに今日の私は騎士科の皆様を全員お腹パンチ一発で決着してしまったので、前衛後衛で言えばバリバリの前衛・インファイターでした………。



「そもそも貴族院の騎士科なんざ、実戦を知らないピヨっ子どもだよ? それをバリバリのお客様とやらせる事自体が間違いなのさ」


「ふへ!? バリバリ、ですか?」

「あぁそうさ。お客様、そう見えてかなり実戦経験あるんだろ?♪」


「い、いえ、経験と言ってもダンジョンのモンスター相手が殆どで、対人は盗賊団の方相手に位しか無くてですね………」

「それじゃあが付くけど、まぁまぁいい感じだったと少し手合わせ、してみるかい?♪」


「いいんですか!?」



 ステラさんは、オウともさ♪ と、バチコーン!なウインクをされると、菜園の物置からいい感じの棒を取り出して来て、


「私はコレが主だけども、お客様はどうする?」


 との事ですので、………そうですね。


「わ、私は、棒二本コレでお願いします!」

「へぇ、双剣かい? しかもその構え、確かに魔導士には見えないさね?♪」


「わ、私はただの芋魔導士で!」

「はぃはぃ、その先はけんで語り、な!!!」


 ズワッ!と、突き出されるステラさんの棒に対し、私は咄嗟とは言え、何故か二本をハサミみたいに使って、とても大きくかわしてしまいます。


「へぇ♪ ちょっと一発、グヘッ!として貰おうかと思ったのに、お客様。想像以上だよ!!!」


 パキッ!

 と、聞こえた音に後方の石畳を見れば、避けたはずのステラさんの棒の延長上の地面が割れていて、あ、危ない所でした!


「ま、魔力を飛ばして!?」


 それからも次々に、突き飛んで来るステラさんの魔力は、重ねて張った防御魔法もパリパリと簡単に穴だらけにして………、痛いです。

 アレ、当たったら絶対痛いヤツです!


「ハハ、まぁ普通はそう来るよな、お客様♪」


 私は、棒の連打を掻い潜り、つばぜり合いの形にしたのですが………、


「クッ、や、やっぱり、バフバフタイムは、要らない、みたいですね………」


「バフバフ? ハハハ、なるほどね。

 そらお客様の実力をも引き出せなかった、ピヨッ子どもが悪いな。

 騎士の強化は、常時発動で三流。逐次切り替えで二流。だったら一流は?♪」


「常時発動しながら、逐次ギアを上げ下げ出来る! ウッ………」


「ご名答♪」



 ステラさんは、ニシシ♪と、私に問い掛けながらもどんどんと鍔競る圧を上げて来て………、わ、私はもう筋力強化魔法プロテインを三重に掛けているのに、ま、まったく押し返せる気がしません!!!



 クッ、こ、コレ以上は………、コレ、以上は……………。


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