第20話

カナちゃんが目を見開いたのを見て思わずカナちゃんから視線をそらしてしまった。


…あー。どうしよう。今だったらしてくれる?なんて言わなきゃよかった。


チラ見すればカナちゃんがめっちゃ真剣な顔している。


やっぱ今のなしって言ってもいいか…な…って、え?


カナちゃんの指が顎にかかり上を向かされると、カナちゃんの顔がゆっくりと近付いてきた。


嘘!?咄嗟に目を瞑るーー…が。


柔らかい感触は唇じゃなくて額に触れた。

え?と目をゆっくり開けると…カナちゃんが意地悪い顔で笑っている。


「…キスされると思った?」

「!?…っ、ハメたの!?酷い!!」


カナちゃんを叩こうとしたら腕を掴まれてしまう。

酷いよ、揶揄うなんて。


私…本当にキスされるって…誓いのキスしてくれるって思ったのに。


また涙が滲みそうになる刹那。

掴まれていた腕を引っ張られてカナちゃんの胸に顔面ぶつけた。


「い、いったぁ…!何す…」

「陽菜子」

「っ!」


カナちゃんが私の耳元に口を寄せて話すからビクッと体が震える。

っていうか、今…陽菜子って言った…!

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