「お前なんていらん。いなくなれ」という旦那様に奥様はいつも笑顔です
しゃぼてん
第1話
私はとあるお屋敷で働いています。奥様はお上品で人格的にもとても素晴らしい方です。
なのに、旦那様は、「お前なんていらん。とっとといなくなれ」と、いつも奥様に冷たくおっしゃいます。
「俺が愛するのはアリーだけだ!」と旦那様は奥様の紗香様の面前で言うのです。
なのに奥様はいつもニコニコと笑ってそれを聞いていらっしゃいます。
奥様によると今日は結婚記念日だそうです。
なのに、今日も旦那様は「お前なんか知らん。俺はアリーだけを愛してるんだ!」と怒鳴っていて、奥様は「はいはい。アリーさんはどこに行ってしまったんでしょうね。影も形もありませんね」と言いながら、笑顔で聞いています。
結婚記念日にまであんなに素晴らしい奥様のことをひどく言い、浮気相手のことを言っているなんて。
私はついに耐えられなくなって奥様に言いました。
「奥様。ひどくありませんか? どうしてあんなことを言われて、いつも笑顔でいられるんですか?」
すると奥様はいつものように穏やかな笑顔で言いました。
「ひどくなんてありませんよ。私の若い頃のあだ名がアリーだったんですから。私の旧姓は有馬でしてね。みんなにアリーと呼ばれていたんです。おかしいでしょ。あの人、すっかり認知症がひどくなって私のことはわからなくなってしまったけれど、70回目の結婚記念日になっても、まだ、あんなことを言ってるんだから」
「お前なんていらん。いなくなれ」という旦那様に奥様はいつも笑顔です しゃぼてん @syabo10
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます