「KAC20255」カイロの大惨事・タンヌーラ版
高台苺苺
第1話 カイロの大惨事・タンヌーラ版
エジプトでダンスと言えば、ギンギンギラギラのスパンコールかコインがじゃらじゃらぶら下がるブラと、マーメイドスカートの衣装ベラを
カイロに駐在していて、日本や他の国駐在の方達がカイロに来ると、99%でこのダンスショー付きのホテルのレストランでのディナーか、ナイル川をかるーくクルーズ船でのディナーショーでおもてなしをするのが一般的。(当時)
さて、こういうご接待では、奥様も同伴と言うことも多いので、夫
何故?
それは
はあ!?何それ?!セクハラじゃん!!
と思う
が!!そういう時はカイロ生活十何年の貫禄ある支社長夫人が前面に出て、支社勤務の奥様達を守って下さるのだから頼もしい!!(一生ついていきます!支社長夫人!!)
なので、あちこちの船のレストランにホテルのレストラン等等に行くので、お陰様で「あの船会社のダンサーはへたくそ」とか「あのホテルのダンサーの踊りは芸術的!」とか、「楽団はいいんだけど…ダンサーが…」とか色々カイロのダンス通になっていたりもする。
最近の
マリオみたいな口ひげを蓄えた
中にはいつの間に二分割して、スカートと頭で回ったり、テーブル!?みたいに綺麗にぴしーーー!と布が広がったり、電光色ついてエレトリニックショー!!みたいになったり、とにかく派手で迫力あって凄いのです!!
まあ、男性ダンスなので、ベリーダンスご希望の方には不評になりがちなのですけど、なかなか楽しくて好きです。
元々はトルコで白い服を着た男性達が、くるくるくるくる、ただただくるくる回って踊る神秘的な宗教的ダンス「スーフィーダンス」からきているらしい。
そのダンスを…宗教的神秘的ダンスを…エジプト風にアレンジしちゃったら…エジプトあるある!別物になっちゃいました!(てへぺろ!)…ってことですね。
さて…こういうディナーショーは、子供もOKのレストランやクルーズディナーあります。お子様達にとっては、この男性達の力業タンヌーラ・ダンスはも~~~子供心を鷲掴み!
はい!そうすると真似したくなるのが子供のルール!!
ただ真似て、軽いテーブルクロスを巻いて回るくらいなら可愛い物なんだけど…。中にはスポーツに力に自信のあるガキ…いや、お子さんが何かに目覚めて天下無双をしてしまうと…。
さてその前に、カイロでも奥様の習い事等は盛んです。その中でもパッチワークキルト教室なるものもあるので、当然、それを習い、お家の飾り放題の真っ白な大きな壁に、超!!力作を飾るお宅も多い。ベットカバー、ソファーのカバー等等巨大力作を作られる奥様もいる。
そして女の子のお子様なら問題ないけど…男の子のガキ‥お子様の場合…お母様達が楽しく優雅にお茶を楽しんでいる間に、ガキどもはお母様の力作をひっぺがすのです。派手な模様なら派手な程、重量級なら重量級になるほど!!子供心をくすぐるので!
大概は一番の宝物力作が犠牲となる…。
そしてそれを腰になんとか苦労して巻き、どこからか持ち出した紐やベルトで固定し、
いざ!!!
ぶんまわす!!!!!
どんがしゃーーーん!ガシャーン!!!がらんがらんがらん!!!バキーン!どたーーーん!ぐうわっしゃーんん!!!!
「キャー!」「わー!!」「うわああああああんん!!!!」
と、阿鼻叫喚が聞こえてきたときはもう手遅れ…。
優雅なティータイムを楽しんでいた母達が駆け付けた時には…そこに広がるのは…
ぶん回した巨大力作パッチワークキルトが、腰から離れ宙を舞い、その周辺の飾り棚から書棚からシャンデリアから、ありとあらゆる家具を破壊尽くした凶器となってた残骸が…死屍累々と広がっている。
卒倒するマダムもいる。
さっきまでの上品さかなぐり捨てて、大阪のおばちゃんよりも凄まじい怒号で暴言巻き散らすマダムもいる。
それは一言で言うと‥‥恐ろしい。
天下無双になった子供ほど恐ろしい物はない。
そこにタンヌーラの子供心鷲掴みする破壊力あるダンスに
布団級のあの衣装が加われば(この場合はお母様お手製パッチワークキルトだけどね)「カイロの大惨事・タンヌーラ版」となるのだった。
もちろん、破壊された家具にシャンデリア等などは、修繕費と買い換えをオーナーから請求される。(金額が恐ろしい!!)
奥様がヨーロッパ中を旅行して集めた高級食器や飾り物は…一から
てなことで、
「うちは男の子が将来生まれたらさ、分別着くまでタンヌーラ・ダンスは見せないからね!!」
と、
が、その時立てたフラグが回収されてしまうことを…まだこの夫婦は知らなかった。
「KAC20255」カイロの大惨事・タンヌーラ版 高台苺苺 @kakyoukeika
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