【KAC20255】トリの正体はっ……。

❄️風宮 翠霞❄️

第1話

「あ〜!

 出版界隈で天下無双している大手でユーザーに優しくてきっと悪口言ってもコンテストの合否には関係しないくらい公正な審査をする素晴らしいカクヨム運営様がクソデカ布団使ってトリの降臨ダンスしてるぅ〜!」


 日本国ひのもとこく機密研究所で生み出された【千里眼】––––見たいものを無条件で見通す––––の能力者にして研究所で国民の税金により養われている筋金入りのクズニート。


 平凡な顔立ちでありながら日本国所属の凄腕スパイである酉散トリさん須都乱舞ストラップ星意男ほしいおは、アホそのものな声量で途中で息切れして深呼吸してからそう叫んだ。


 アホである。


 彼はタブレットを渡されWEB小説の世界を知って以来、ずっと筋金入りのカクヨムヘビーユーザーであり運営様信者である。


 そのため、彼は地下にある研究所に引きこもりながらもその特殊能力を使って活躍度トップレベルのスパイとして裏で名を馳せながら、そのかたわらで能力を違法に使ってカクヨム運営様の動向を覗き見て……。


 彼を監視カメラ越しに監視しているしがない公務員である俺に、それはもうとてつもない褒め言葉の層による保険をかけつつそう叫ぶのを日課としていた。


 アホな上に変態である。

 これでIQ130超えてるとかやめてほしい。


「今すぐ誰かにコレについて話したいな〜! そうじゃないともう仕事しないかもな〜!」


「……そのなんとかダンスって、なんだ」


 今日は妙にしつこく返事を促す声にそうスピーカー越しで答えた俺は、すぐに後悔した。


「公務員くんが反応するなんて珍し〜」などとニヤニヤして言った後、彼がやけに熱っぽい声で。


「尊きカクヨムの鳥様を降臨させるんだよ。メディアに出る時にはスズメみたいな見た目してるけど、降臨する時は火の鳥とザリガニの間みたいな姿をしていて……」


 と話し出し、そこで急に監視カメラの映像が乱れたからだ。

 そして……。


「……我が正体をバラそうなど、カクヨムユーザーの風上にも置けぬ」


「はっ……!?」


 そして、謎の声と共に明転した密室なはずの部屋から彼が消えている責任が、確実に俺にくると分かったからだった。


 ※なお、この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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