元アイドル、転生したら3歳児だったのでアイドル界で無双したい
よつ葉あき
天下無双してやんよ
やっと夢が叶う……!
今日、ずっと夢に見ていた舞台
カクヨムドームに立つ。
そう思っていたのに……
「キャーーーー!!」
悲鳴が響く。誰かが「早く! 救急車!」と叫ぶ。
お腹が熱い。私、刺された。
……私、死ぬの? もう少しでドーム公演なのに──!
天に伸ばした手は宙をかき、血溜まりに落ちていった。
────私の意識がそこで途絶えた。
◆
目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。どこか優しい色合いの壁、木のぬくもりが感じられるフローリング、そして小さな椅子が並んだ部屋で、私は布団の中に寝ていた。
体を動かすと、小さな手が目に入る、それが自分のものだと認識し、驚きがこみ上げてきた。
「え……?」
声は小さく、喉もうまく動かない。
それでも、記憶は鮮明だった。
唐突に理解した。私、転生したんだ──。
どうやら、この身体には前の私がいたらしい。
小さな、かわいすぎる、もみじのような手。
この身体の記憶を辿りながら、思う。
────なんで、3歳児なのよ!!
その考えが浮かんだ瞬間、胸が締めつけられるように悲しくなった。
「ふぇ……うわーーーんっ!!」
感情が上手くコントロールできずに、泣いてしまった。
泣きたくなんてない。でも、止められない……!
泣き続けると、エプロンをつけた女性が小走りに、やってきた。
「どうしたの? 目、覚めちゃったのかな?」
彼女が優しく膝の上に座らせてくれ、私は思わず抱きついた。
背中をトントンと一定のリズムで叩かれると、とても安心する。
安心したせいか、泣き疲れたせいなのか、再び眠気に襲われる。
「あらあら、疲れちゃったのかな?
今日はたくさん踊ったもん。
苦手なダンス、すごく頑張ったね」
……苦手なダンス?
なに言ってるの、私はグループ内でもダンスが上手いと有名なのに──。
だめだ、眠くて……しこうが、つづかない……
意識が薄れていく中で、ふと考える。
──3歳。まだ、この身体は3歳だ。
だからこそ、今から歌もダンスも頑張れば
きっとカクヨムドームなんて簡単だ。
ワールドツアーだって出来るかもしれない。
今度こそ──
トップアイドルになれる。
アイドル界で天下無双してやる!!
「──おやすみなさい」
意識が途切れる寸前、優しい声が聞こえた。
元アイドル、転生したら3歳児だったのでアイドル界で無双したい よつ葉あき @aki-2
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