元アイドル、転生したら3歳児だったのでアイドル界で無双したい

よつ葉あき

天下無双してやんよ

やっと夢が叶う……!


今日、ずっと夢に見ていた舞台


カクヨムドームに立つ。


そう思っていたのに……



「キャーーーー!!」



悲鳴が響く。誰かが「早く! 救急車!」と叫ぶ。


お腹が熱い。私、刺された。


……私、死ぬの? もう少しでドーム公演なのに──!


天に伸ばした手は宙をかき、血溜まりに落ちていった。


────私の意識がそこで途絶えた。







目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。どこか優しい色合いの壁、木のぬくもりが感じられるフローリング、そして小さな椅子が並んだ部屋で、私は布団の中に寝ていた。


体を動かすと、小さな手が目に入る、それが自分のものだと認識し、驚きがこみ上げてきた。


「え……?」


声は小さく、喉もうまく動かない。

それでも、記憶は鮮明だった。


唐突に理解した。私、転生したんだ──。


どうやら、この身体には前の私がいたらしい。


小さな、かわいすぎる、もみじのような手。


この身体の記憶を辿りながら、思う。



────なんで、3歳児なのよ!!



その考えが浮かんだ瞬間、胸が締めつけられるように悲しくなった。


「ふぇ……うわーーーんっ!!」


感情が上手くコントロールできずに、泣いてしまった。

泣きたくなんてない。でも、止められない……!


泣き続けると、エプロンをつけた女性が小走りに、やってきた。


「どうしたの? 目、覚めちゃったのかな?」


彼女が優しく膝の上に座らせてくれ、私は思わず抱きついた。


背中をトントンと一定のリズムで叩かれると、とても安心する。


安心したせいか、泣き疲れたせいなのか、再び眠気に襲われる。


「あらあら、疲れちゃったのかな?

今日はたくさん踊ったもん。

苦手なダンス、すごく頑張ったね」


……苦手なダンス?

なに言ってるの、私はグループ内でもダンスが上手いと有名なのに──。


だめだ、眠くて……しこうが、つづかない……


意識が薄れていく中で、ふと考える。



──3歳。まだ、この身体は3歳だ。



だからこそ、今から歌もダンスも頑張れば


きっとカクヨムドームなんて簡単だ。


ワールドツアーだって出来るかもしれない。


今度こそ──


トップアイドルになれる。


アイドル界で天下無双してやる!!



「──おやすみなさい」



意識が途切れる寸前、優しい声が聞こえた。

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元アイドル、転生したら3歳児だったのでアイドル界で無双したい よつ葉あき @aki-2

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