エタってしまってすみません

橙こあら

エタってしまってすみません

 急に「ビビビ!」とキャラクターやストーリーそしてシチュエーションなどが閃いたとき、ものすごく明るくなる人間は私だけではないはずだ。あの瞬間、私は嬉しくて嬉しくてダンスしたくなる。また「これで天下無双できちゃったら、どうしましょ」なんて、つい思ってしまう。それでも抑えきれない、あの喜び……布団に入っても眠れなくなる程の喜び。「書きたい」という気持ちがいっぱいになる。

 そのとき思い付いて「あ、良いかも!」と感じたことは忘れないように、なるべく早くズラァーッとメモする。忘れてしまったときのショックは相当なものであり、運良く思い出したときは「ありがとう……ありがとう……」と何か(神様とか?)に感謝しながら喜んでしまう。

 特に私は、キャラクターの設定を書いているときが楽しい。誕生日や血液型、身長そして好きな食べ物を考えることが多い。一通り書き終わって、そのメモをニコニコしながら読む。こういったときに幸せを感じる人間は、私以外にもいると思う。しかし、いざ閃いたそれを形にしようとすると……。


 あれ、こんなんだったっけ?

 うーん、どういう書き方が良いのかなぁ?

 はー……上手く表現できないよ……。

 あの場面を早く書きたいのに詰まっちゃった。

 いやいや、この子こういう性格じゃないし!

 うわ、何か違う展開になりそう……。


 このように、自分の思い通りにストーリーが書けないことばかりである……私の場合は。あれだけ「書くぞ!」と燃えていたのに、なかなかスラスラ書けなくて悔しいと感じたことが、これまでに何度もあった私。またキャラクターの設定が完成しても、それだけで満足して物語を考えずに終わってしまうケースも少なくない。

 そんな私は複数の連載作品を発表しているが、きちんと完結できていないものばかりである。もう何年も連載を中断している作品もあれば、非公開にしてしまった作品もある。


 いつ連載を再開させるの?

 あのまま放置は良くないのでは……。

 頑張って書こうよ。

 せっかく書き始めたのに、もったいない。


 定期的に、そのような言葉が頭の中に浮かんでくる。心が「書きたい」という思いと、様々な何かに対する罪悪感でいっぱいになる。

 こうして「エタる」を何度も経験している私だが、何かが閃くことは止まらない。その立派な証拠となるのが新作『花咲龍昇ホアシャオロンシェン』だ。果たして、きちんと完結させることができるのか。それともエタってしまうのか。

 コンテスト等で受賞することと同じく、きちんと作品を完結させられる作者になることも、私の目標である。

 それにしても、何が天下無双だ。我ながら意味が分からない。そしてダンスなんて絶対にしてはならない。黒歴史確定である。

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