第25話 気まずい太一
レンからのビンタを受けた慣太は未だ呆然としていた。
慣太「れ、レンが俺をぶった?」
美三『親父にも…とか言わないでくださいね?浦桐先輩、ちょっとこっちに来てください』
慣太「え?三枝…なんで…いや、それよりも今三枝とは一緒に居られない…」
美三『あー、振井先輩が言ってた事を気にしてるんですね?でも私の事が無くても同じような事が起こった可能性はあった…その原因を調べて、振井先輩の浮気をやめさせたい…だから私に相談したんじゃなかったんですか?』
慣太「あ、ああ…その通りだ」
美三『それなのに1発叩かれただけで日和るなんて、振井先輩への思いはその程度だったんですか?』
慣太「は、ははは…三枝は厳しいな。だが…その通りだ!すまんな、つい弱気になってしまった…」
美三『少しでも元気が出たなら良かったです!それじゃあこっちに来てください…元から2人きりじゃなくてありませんからね?』
そう言いながら美三は慣太を自分たち4にんが触っていたテーブルに連れて来た。
一条「おいおい、マジかよ…」
雄二「でも確かに…さっきの事を考えると、浦桐先輩と美三を2人きりにしてまた噂されないようにするには良い手かも」
四宮『確かにそうですね…その代わり浦桐先輩の相談事を私たちも聞いてしまうという事ですが…』
4人の注目が慣太へと集まる。既に彼は覚悟を決めた顔をしていた。
慣太「知っているかもしれないが浦桐慣太だ。先程はそこで無様を晒していたが、三枝に喝を入れられて連れてきてもらった。三枝には大変迷惑をかけてしまった上、君たちも巻き込む事になるのは心苦しいが…良ければ話を聞いて欲しい」
雄二「お力になれるかは分からないですが喜んで」
四宮『私もです』
一条「お、俺はその…」
かつてレンと関係を持った事があり、慣太自身は太一の事を覚えていないようではあっても気まずい事は間違いない。その様子を雄二も四穂梨も見逃さなかず、慣太には聞こえないよう耳打ちをした。
雄二「(太一、これはチャンスだよ?)」
四宮『(そう、浦桐先輩が太一君を覚えていないにしても、太一君が罪悪感を抱くのは変わらない。だったら罪滅ぼしという気持ちで自己満足かもしれなくても、ここで手を尽くすべきじゃないの?)』
一条「(………ああ、分かった。2人の言う通りだな)」
太一は腹を括り慣太に向き直る。
一条「浦桐先輩。大した事出来ないかもしれないけも…俺にも手伝わせてください!」
慣太「ああ、迷惑掛けてすまないがこちらこそよろしく頼む」
太一の事情を知らない美三は首を傾げながら、先程自分が気付いた事を語るのだった。
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