【KAC20254】洞窟の秘宝(900文字)

海乃マリー

第1話

あの夢を見たのは、これで9回目だった。



そこは漆喰の闇の中。手に持った松明たいまつの明るさだけを頼りにたった一人で前へ前へと進む。ひんやりと湿った空気と靴底を通してゴツゴツした感触を感じる。


小石につまずいて転んだ。命綱である松明が手から離れて死の恐怖を感じた。光を頼りに地を這いつくばるように手を伸ばした。


磨き上げられた光沢のある黒曜石が松明に灯されていた。何か文字のようなものが刻み込まれている。


『シ……』


同じ夢を三日連続で見た。

文字だけが変わっている。

二日目は『ヨ』、三日目は『ウ』だった。

『シヨウ……?』

何かのメッセージだろうか。







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