004

 言い切ったと同時にまた来店を告げる鐘の音。


「まだ開店前……って、確か七将の?」


「インウィディアです。王よ、私共がお迎えに上がりました」


 女の七将だった。褐色肌が健康的で、実にいい。おっぱいも丁度良い塩梅だし。


「いやだから、行かねーっつってんだよ。仕込みもあるんだっつうの」


「それの御心配はありません。私仕えのコックを連れてきましたので」


 三人、同じ褐色の女の悪魔ディアボルスが辞儀をする。全員可愛いとは一体どういう事だ?俺に対するサービスか?


「いやいや、それはいいとして、仕込みを任せるのはちょっとな?」


「王がご指示を下されば。私共は食材のカット等を行いますので」


 おお!こいつが実は一番気が利いているようだな!


「王のご活躍は存じております。王が一番大事にしている仕事も把握しているつもりです」


 すんごい恭しく辞儀をするインウィディア。ちらり、とルクスリアの使いとアワリティアに目を向けて勝ち誇ったようなドヤ顔を一瞬見せた。


「く!これは一本取られましたね……!」


 素直に負けを認めるアワリティアに対して、超動揺したルクスリアの使い達。


「どうしたんだ?顔色が超悪くなったけど?」


「い、いえ……」


 俯いてぶるぶる震えている始末である。なんだ?一体何がある?


「王をお連れできなかった責任を取らされると思っているのでしょう。私でもそうしますし」


 相変わらずドヤ顔を拵えて。連れて来れなかった責任て、一体なんだ?


「そうですね……私ならば、生皮を剥いで生き地獄を味合わせます」


「どんな残虐物語なんだアワリティア!そんな事すんなよ!」


「ですから、私自ら来たのです。王はそう言うのはお嫌いでしょうから」


 キリっとして。ドヤ顔がちょっと崩れたインウィディアの方も全く見ずに。


 しかし、行かねーとこの子達がそんなペナを受けるのかよ。それは流石にダメだろ。


「仕方がない、インウィディアのコックさん、野菜の皮剥いて。んで、ルクスリアの使いの人達、店内掃除してくれねーか?」


「は、承知いたしました」


 インウィディアのコックさんは早速仕事に取り掛かった。ルクスリアの使いの人達も、戸惑いながらも店内を清掃した。


「流石王、慈悲に溢れておりますね。お前達、王に感謝する事です。仕事を与えたのはルクスリアから罰を受けないようにとの配慮なんですから」


「そうですね。流石我等の王。民を第一に考えている。使いだけ出して魔界でふんぞり返っているルクスリアと全く違う」


 インウィディアとアワリティアがうんうん頷く。腕を組んで。お前等もなんかしろよ。仕事してねーっつんだったらピンク肌のねーちゃんと一緒じゃねーかよ。

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