男女比がバグった異世界で敵のボスに誘拐されて暇だったので魔法を極めることにしました。美少女孕ませまくりのハーレムも待ってるぜ!~男女比?僕以外の男見かけてませんけど、なにか?
にこん
第1話 完敗して誘拐されました
一週間前普通の陰キャ男子高校生だった僕は日本から消えた。
そして男女比が狂っている異世界ヴィーナリスへと召喚された。
世界観を聞いた時は勝利を確信した。男は絶滅危惧種としてこれから優遇されまくり種付けされまくりのハーレム超イージーライフが僕を待っている!と。
だって、男女比がおかしい世界のテンプレってそういうものじゃん?
◇
目の前で馬車が壊されていた。
先程まで僕たちが乗っていた馬車。
馬は一目散に逃げ出したので、今の僕たちには足がない。
力のない僕はなにも出来なかった。僕は無力だ。
力なく道路に倒れていた。その姿はまるで車に轢かれたカエルのようだった。
「王子!意識はありますか?!」
僕の肩をゆすってくるのは女剣士アリシア。
ヴィーナリスに召喚された僕をここまで守ってくれた心優しき女性。
「ハハハハハ!別れの挨拶は済んだか?ルミナシア王国の騎士よ。貴様は無力なクズだ。主君のひとりすら満足に守れない。身の程を知れ」
悪意を含んだ笑い声。
それはまるで悪役のような笑い声だった。
力を振り絞って顔を上げると、そこには黒い鎧に身を包んだ女性がいた。
ちなみにおっぱいは大きくてエロかった。
(ちきしょう、こんな状況だってのに僕は何を考えてるんだ!おっぱいなんて今は関係ないだろ!)
「王子には手を出させない」
アリシアが僕の前に立つ。僕を守るように。
彼女の噛み締めた唇から血が滴り落ちる。
それだけいろんな覚悟を背負って僕を守ってくれているのだろう。
でも、おっぱいは小さかった。
そのおっぱいではなにも背負えないだろう。
(おっぱい)
「ルミナシア王国騎士団団長アリシアの名にかけて、命に変えてでもっ!戦力差は歴然だとしても、騎士には立ち向かわなければならないときがある」
(ちっぱい)
「名乗られたのであれば私も名乗り返すのが礼儀だろうな」
一呼吸置いて、彼女はこう続けた。
「────エルヴェリエ帝国の皇帝ヴァネッサ・エルヴェリエ。序列はもちろん一位である」
「こ、皇帝がなぜこんなところに?!」
(すまない。もっと簡単に話をして欲しい。おっぱいしか見えない。今の僕のIQは1だよ)
ヴァネッサのおっぱいを見ていると、ヴァネッサが僕を指さしてきた。
「もちろん、狙いはそれだ」
「させん!」
アリシアがヴァネッサに向かって駆ける。
「王子こそが、この退廃する世界を変えうる奇跡!それを貴様らなどに渡せるものかっ!」
「眠れ」
「うっ……」
アリシアは倒れた。
なす術もなかったようだ。
僕には何が起きたのか目で追うことすら出来なかった。
それだけ今の僕らとヴァネッサの間には差があるということだろう。
「さて、邪魔者は消えた訳だな」
(力が、入らない)
僕はヴァネッサに担がれた。
足を背中側、そして僕の顔は丁度ヴァネッサの胸に当たっていた。もふもふしてる。柔らかい。
(僕はこのままなにも出来ずに連れ去られるんだろうか?でもこれって男の僕の役目なの?普通女の子が攫われるんじゃない?)
「むっ?貴様」
「お、王子を離せぇ」
倒れたはずのアリシアがヴァネッサの前に立った。
(なんていう主人公属性なんだ)
「あ、アリシア、たすけ」
「まだ立ち上がるか。うっとうしい」
「げほっ」
ヴァネッサの鋭いパンチがアリシアの腹にくい込んでいた。
バタッとアリシアは今度こそ倒れた。
それでもアリシアは顔を上げて僕たちに向かって手を差し伸べていた。
「王子。必ず、助けに行きま……どんな危険があろうとも。命をかけて必……たったひとりでも」
それと同時に僕の意識も遠ざかっていった。
◇
「んっ」
次に目が覚めた時。
やわらかなベッドの上で寝ていた。
「お目覚めになられましたか」
声の聞こえた方向に目を向ける。
メイド服に身を包んだ女の子がいた。
黒髪を肩くらいで切りそろえた少女。年は僕と同じくらいだろうか。
「君は?」
「私はヴァネッサ様に仕えているアメリアと申します。王子様。」
「ヴァネッサってことはここは」
「もちろんエルヴェリエ帝国でございます」
「ふぅ」
とりあえず一安心したことがある。
(敵国だがひどい扱いはされないようだな)
懸念点として、もっと汚い部屋で奴隷みたいな扱いを受けると思っていたが、どうやら【客人】のような扱いを受けているらしかった。
「調子はいかがでしょうか?」
「あー、案外悪くないかも」
僕が召喚されたのはルミナシア王国の辺境。そして王都へと移動する道中にヴァネッサに襲撃を受けたのだが、その襲撃がめちゃくちゃだった。
馬車は一撃で粉砕されて僕らは大ダメージを受けた。そして、馬車の外に放り出されたのだが。
「起きたことを考えれば不思議な程に調子がいいよ」
「ふふふ、私の回復魔法が機能していたようで安心しました」
「君が看病してくれたの?ありがとう」
「いえいえ、お礼には及びません。私の職務ですから」
彼女はベッドまで近付いてきた。
そして、布団をひっぺがす。
「え、えっと?アメリアさん?なぜ僕のズボンに手を?」
「調子を確かめてこいとヴァネッサ様に言われましたので失礼しますね」
(あ、はい。失礼されます)
・
・
・
「あうっ……」
情けない声を出してしまった。
「……」
びゅるびゅると吹き出す僕の欲望を顔面で受けてくれたアメリア。
「あ、ご、ごめん」
「謝る必要はありませんよ。王子。それより調子はバッチリでしたね」
「は、はぁ……」
こういうときなんて答えたら良かったか分からなかった。
つーか
(気まずい)
いきなりこんなことされて、何を話したらいいか分からなかった。
(とりあえず話題を変えるか)
「僕はこれから監禁されるとかある?」
「ありません。王子には極力ストレスを与えるなと言われておりますので。王子が願うのであれば願い事は聞きますよ」
「ということは身の危険はないと思っていい?」
「もちろん。貴方様は世界に一人しかいない男性。この世界最強のエルヴェリエ帝国にいる間は世界一安全な場所にいると思っていただければ」
アメリアがお辞儀してきた。
「では、私はこれで。後はお好きに過ごしてください」
扉を開けてアメリアは外へと出ていった。
「うーん。そうは言われましても」
はぁ、これからどうしようかなぁ?
思ってた展開とまったく違うので少し困惑している僕だった。
僕はもっとゆるーく生きたいんだけどな。
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