駆けるなボブ
@acht8chWriter
出オチ感
ボブは訝しんだ。
かの邪智暴虐なる王を倒さねばならぬと決心したのである。しかし、ボブには政治がわからぬ。ボブは王宮へと向かい王と話し合うことに決めたのである。ボブは決めたらすぐに行動する男であった。ボブは王宮へと駆け出した。
王宮の前には衛兵がいた。衛兵は向かってくるボブに止まれと言った。しかしボブは止まらぬ。衛兵は仕方なくボブを拘束することに決めた。しかし、ボブは抵抗する。ボブは聡明で対話のできる男ではあるが時折り理性を失うことがあるだ。ボブは懐に忍ばせていた短剣を衛兵の胸に目がけて突き刺した。衛兵は叫びながら絶命した。ボブは自分が人を殺めてしまったと狼狽えた。しかし、王を倒さねばと決心したボブはその程度では止まらぬ。ボブは心に決めたことはやり遂げる男であった。ボブは衛兵の装いを剥ぎ取り、それを身に纏ったのである。ボブは衛兵に変装をした。ボブは衛兵の死体を井戸へと投げ捨て王宮へと駆けて行った。
王宮内には多くの人がいる。文官、衛兵、神官。通り過ぎていく者たちは皆一様に「やぁ、ボブ」と挨拶をしてくるのである。ボブは訝しんだ。殺した衛兵もまたボブだったのだろうか。しかしそんなことはどうでも良い。ボブは彼らに言葉を返さずに王の元へと駆けていく。
ボブは王の元へと着く。玉座に座る王はボブに向かって言い放った。「おぉ、いと黒き人よ。わしに何を求める」ボブは王の問いに答えた。「シネ(高音)」ボブの言葉を聞くと王は立ち上がりこう言った。「わしに死ねと申すとは。これには流石のわしもニガ笑いじゃ。ほっほっほっほ」ボブは王に向かって激昂した。ボブは王に対談を求めたにも関わらず、邪智暴虐なる王はそれを断り剣を取ったのであるからだ。ボブは王に向けて剣を振りかぶった。王は二度三度はボブの剣戟をいなす。しかしボブは力強き男でもあった。王はボブの力に押されて倒れてしまう。ボブはすかさず王に対して蹴りを入れた。悶え苦しみ吐瀉物を吐きだす王。王はボブに命乞いをし対話を求めたのである。ボブは訝しんだ。目の前の邪智暴虐なる王はボブの願いを聞き入れず剣を取ったのにも関わらず、命乞いをしているからである。ボブは命乞いの王の首に向けて剣戟を浴びせた。切り落とされる首、吹き出し床を濡らす血、騒ぎを聞きつけ駆けつけてくる衛兵。ボブは王が最後に「これには流石のわしもニガ笑いじゃ。ほっほっほっほ」と言ったように聞こえた。命乞いの王は最後までボブを苛立たせる。
ボブは駆けつけた衛兵を払いのけて玉座の間を駆けでようとする。しかし衛兵たちはボブの行手を阻む。「どうしちまったんだよボブ。どうかしてるぜ」と衛兵の一人が言い放つ。ボブは訝しんだ。ボブは彼らのことを初めて見たのである。ボブは村から出たことのない男であった。
駆けるなボブ @acht8chWriter
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