魔法なんてない、そう思ってた。あの子に再会するまでは
- ★★★ Excellent!!!
「魔法なんて、あるわけがない」
そう信じていた。
ウィッチと呼ばれる有淵カイカは、女子だけの学園で自由気ままに過ごしていた――誰にも言えない、見えるものとできないことを抱えたまま。
それは、キス。
興味はある。けれど、どうしてもできない。
まるで呪いのように、それだけは心の奥底に引っかかっていた。
そんな彼女の前に、十年ぶりにその子が現れる。
黒く、静かな瞳をした転校生・黒渦ムミ。
かつて、公園で交わしたキス。
そして、その直後に聞いた言葉――
『女の子同士でキスをしちゃだめ。だって、魔法が始まっちゃうから』
忘れていたはずの記憶が、日常に裂け目を生む。
魔法なんてないはずの世界で、確かに始まった何か。
これは、触れられなかった想いとかけられた呪いのその先を、もう一度見つめ直すための物語。