第11話

撮影はどんどん進んでいった。

寧々は猛特訓の成果が出て、最初の頃より少し演技が上手くなって来た。

寧々は母の事を考えていた。あとはもう夢中だった。

母は何故女優に全てを捧げたのか?

純は何故夜の蝶になる事を選んだのか?

それは愛する者の為…… 綾の人生を守る為だ。

「あたしは見たくない…… 私の為に好きでもない男に抱かれる姉さんを……」

自然と声が震えた。

気がついたら涙が頬を伝っていた。

監督のメガホンを握る手に力が入る。

「私は…… 自分でこの道を選んだ。あんたの為じゃない」

「カット!OK!」

監督が寧々の方にやって来た。

「今のは良かったぞ。寧々。これからもこの調子で頼むぞ」

見れば他のスタッフ達もみんな拍手をして

いる。

絵里香も笑顔を見せてくれた。


映画は大好評だった。

主役の絵里香は当然、寧々の評判も良かった。

そして寧々には何と青春ドラマの主役が来たのである。

寧々は顔も可愛い。早くも沢山のファンも付いている。

寧々は舞い上がっていた。

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