## 【追われる身】学院内での立場悪化

事故から三日後、学院中に緊張感が漂っていた。大講堂では特別懲罰委員会が開かれ、俺は壇上に立たされていた。教授陣が厳粛な表情で並び、学院長アレクサンダーが中央に座っている。


「レイン・グレイソン」学院長の声が大講堂に響いた。「君は実技授業において危険な魔法実験を行い、学院施設を損壊し、クラスメイトを危険にさらした。この件についてどう弁明する?」


俺は喉の乾きを感じながら、できるだけ冷静に答えた。


「申し訳ありません、学院長」俺は頭を下げた。「新しい魔力制御法を試みたのですが、予想外の結果となりました。悪意はなく、単なる技術的失敗です」


「技術的失敗?」ゼイガー教授が不満そうに口を挟んだ。「あれは尋常な失敗ではない。君は基本的な安全規則を無視したのだ」


「しかし」マグナス教授が反論した。「グレイソン君は以前から理論的理解に長けており、単なる無謀さからではなく、学術的探究心から行動したのではないか」


「探究心は結構だが」ゼイガー教授は冷たく言った。「それが他者を危険にさらすなら、罰せられるべきだ」


議論は続き、俺は立ったまま、教授陣の判断を待った。講堂の後方では、多くの学生が見守っていた。エリナは心配そうな表情で前列に座り、シルヴィアはヴィクターの隣に座りながらも、時折俺に視線を送っていた。


「他にこの件について意見はあるか?」学院長が尋ねた。


マーカス教授が立ち上がった。彼の白髪と長い髭は威厳を漂わせている。


「私からも一言」彼は落ち着いた声で言った。「グレイソン君は確かに過ちを犯したが、彼の才能と潜在能力は注目に値する。彼を厳しく罰するよりも、適切な指導の下で成長させることが学院の利益になるのではないか」


「同感です」オルドリッチ館長も加わった。「グレイソン君は研究熱心な学生です。図書館でも真摯に学ぶ姿をよく見かけます」


学院長はしばらく考え込み、最終的に判断を下した。


「レイン・グレイソン」彼は厳格な声で言った。「君の行為は学院規則違反であり、罰則は免れない。しかし、教授陣の意見も考慮し、退学処分は回避する」


俺は安堵のため息をついた。最悪の事態は避けられた。


「ただし」学院長は続けた。「以下の処分を言い渡す。一ヶ月間の実技授業停止、損壊した施設の修繕費負担、そして特別監督下での研究活動のみ許可する」


「ありがとうございます」俺は深く頭を下げた。


「これは寛大な処分だ」学院長は厳しい目で俺を見た。「二度目はないと心得よ」


「はい、肝に銘じます」


委員会は解散し、俺は講堂を後にした。外では、エリナが待っていた。


「よかった」彼女は安堵の表情で言った。「退学にならなくて」


「ああ」俺も頷いた。「マーカス教授とオルドリッチ館長のおかげだ」


「でも、一ヶ月の実技停止は辛いわね」


「仕方ない」俺は肩をすくめた。「むしろ軽い方だと思う」


二人が廊下を歩いていると、学生たちの視線と小声の噂話が聞こえてきた。事故の噂は学院中に広まっており、様々な憶測を呼んでいた。


「あいつが魔力暴走を起こしたんだってさ」

「普通じゃない魔法を使ったらしいよ」

「急に強くなったと思ったら、やっぱり怪しかったんだ」


嘲笑や畏怖の視線が混ざり、かつての「落第魔術師」から「危険な実験者」へと俺のイメージは一変していた。


「気にしないで」エリナは俺の腕を軽く押した。「すぐに忘れられるわ」


「そうだといいけどな」


その時、廊下の角からヴィクターとその取り巻きが現れた。彼らは俺を見ると、わざと大きな声で話し始めた。


「やあ、危険魔術師」ヴィクターが皮肉な笑みを浮かべた。「今日は何を爆発させる予定だい?」


彼の取り巻きが笑った。シルヴィアも彼らと一緒にいたが、表情は複雑だった。


「放っておけ、ヴィクター」俺は冷静に言った。


「放っておけないよ」彼は一歩近づいた。「君のような不安定な魔術師が学院にいるのは、みんなにとって危険だからね」


エリナが前に出た。


「失敗は誰にでもあるわ。あなたにだって」


「私の失敗は制御の範囲内だ」ヴィクターは高慢に言った。「グレイソンのように、学院を破壊するようなことはしない」


「もういい」俺はエリナの肩に手を置いた。「行こう」


通り過ぎようとした時、ヴィクターが最後の一撃を放った。


「そういえば、君の両親も"事故"で亡くなったんだったね」彼の声には意図的な皮肉が込められていた。「危険な実験は遺伝するのかな?」


俺の中で怒りが沸き起こった。両親の死を侮辱するとは。左手の痣が熱を持ち始める。


「レイン、やめて」エリナが俺の腕をきつく掴んだ。「彼の挑発に乗らないで」


深呼吸をして、怒りを抑える。今ここで魔力を解放したら、状況はさらに悪化するだけだ。


「君の言うことは何一つ正しくない、ヴィクター」俺は静かに言った。「いつか真実を知ることになる」


ヴィクターは少し驚いたように俺を見たが、すぐに嘲笑的な表情に戻った。


「楽しみにしているよ」彼は皮肉を込めて言った。


俺とエリナは彼らを無視して歩き去った。しかし、背後からの視線は長く続いていた。


「大丈夫?」廊下を曲がってから、エリナが心配そうに尋ねた。


「ああ」俺は左手を握りしめた。痣の熱は引き始めていた。「ただ…両親のことを言われると、冷静でいられなくなる」


「わかるわ」彼女は優しく言った。「でも今は耐えるしかないの。私たちには他にやるべきことがあるもの」


俺は頷いた。そうだ、より大きな目標がある。両親の研究の真相、古代魔法の秘密、そして「黒翼の結社」の脅威。ヴィクターのような小さな障害に足を止めている場合ではない。


---


午後の休憩時間、俺はマーカス教授の研究室を訪ねていた。特別懲罰委員会での支援に感謝するためだ。


「入りなさい」教授の声が扉越しに聞こえた。


研究室に入ると、教授は古い巻物を広げながら俺を迎えた。


「やあ、レイン」彼は優しく微笑んだ。「処分は受け入れられるものだったかね?」


「はい」俺は頷いた。「教授のおかげで、最悪の事態は避けられました。ありがとうございます」


「君の才能を無駄にするわけにはいかんからね」教授は巻物を脇に置いた。「ただ、今回の失敗からはしっかり学ぶべきだ」


「はい、分かっています」俺は真剣に言った。「古代魔法の力を過信していました。特に魔力増幅は危険だと」


「そうだ」教授は頷いた。「古代魔法は現代魔法より強力だ。だがそれ故に、より大きな責任と自制が必要なんだ」


「これからは慎重に行動します」


「さて」教授は話題を変えた。「学院での立場が難しくなったようだね」


「ええ」俺は認めた。「みんな俺を警戒しています。特にヴィクターは…」


「ノイマン家の息子か」教授は思案げに言った。「彼は才能があるが、プライドが高すぎる。君の成功に脅威を感じているのだろう」


「それだけでなく…」俺は躊躇いながら言った。「ヴィクターの叔父が『黒翼の結社』のメンバーだという情報を得ました。シルヴィア・フォン・ヴァルトから」


教授の表情が一変した。


「アーサー・ノイマンのことか」彼は低い声で言った。「それは…興味深い情報だ」


「信頼できますか?」


「可能性はある」教授は慎重に言った。「アーサー・ノイマンは魔法評議会の影の実力者だ。表立った地位はないが、多くの魔術師に影響力を持っている」


「彼が学院に来ていたそうです」俺はシルヴィアから聞いた情報を伝えた。「ヴィクターと密会するために」


「それは警戒すべき事態だ」教授は真剣な表情になった。「特に今、君が注目されている時にね」


「俺を監視しているのかもしれません」


「可能性は高い」教授は立ち上がり、窓辺へと歩いた。「古代魔法の能力が明らかになりつつある君は、彼らにとって興味深い存在だろう」


「どうすればいいでしょう?」


「まず、目立たないこと」教授は振り返った。「これは罰則のためだけではなく、君の身を守るためでもある。しばらくは魔法の実践を控え、理論研究に集中するのがいい」


「分かりました」俺は頷いた。


「そして、信頼できる仲間を大切にすることだ」教授は付け加えた。「エリナ嬢やオルドリッチ館長、そして私…君は一人じゃない」


「シルヴィアは?」俺は尋ねた。「彼女は複雑な立場にありますが、事故の時は助けてくれました」


「フォン・ヴァルト家の令嬢か」教授は考え込むような表情になった。「彼女に関しては…慎重に判断するといい。彼女自身の意図は純粋かもしれないが、彼女の置かれた状況は危うい」


「理解しています」


教授は机に戻り、小さな木製の箱を取り出した。


「これを持っていきなさい」彼は箱を差し出した。


開けると、中には青く光る小さな結晶が入っていた。


「魔力安定剤だ」教授は説明した。「左手の痣が暴走しそうになったら、これを握りなさい。魔力の流れを穏やかにする効果がある」


「ありがとうございます」俺は感謝して結晶を受け取った。


「今は忍耐の時だ、レイン」教授は真剣な目で俺を見た。「焦らず、一歩一歩進むんだ」


教授との会話を終え、俺は少し気持ちが軽くなった。確かに学院での立場は悪化したが、支えてくれる人々がいる。そして何より、自分の使命がある。


---


夕方、食堂で夕食を取っていると、ルークが俺のテーブルに近づいてきた。彼はしばらく躊躇っていたようだ。


「座っていいか?」彼は少し緊張した様子で尋ねた。


「もちろん」俺は笑顔で答えた。


ルークは席に着き、周囲を見回した後、小声で言った。


「大丈夫か?みんなの噂を気にしているんじゃないかと思って」


「ああ」俺は肩をすくめた。「慣れるよ。以前は『落第魔術師』だったし、今は『危険な実験魔術師』ってとこか」


「あの事故…」ルークは言葉を選びながら続けた。「本当に何をやろうとしていたんだ?」


俺は彼に何を話すべきか迷った。ルークは親友だが、古代魔法のことを話すのは危険だ。


「新しい魔力制御法を試していただけだよ」俺は半分本当のことを言った。「うまくいけば魔法の効率が上がると思ったんだ」


「そうか」ルークはまだ少し疑わしげだったが、追求はしなかった。「とにかく、俺は味方だからな。何かあったら言ってくれよ」


「ありがとう、ルーク」俺は心から言った。「それだけで十分助かるよ」


彼の友情は貴重だった。学院中が俺を避ける中、変わらず接してくれる友人の存在は大きな支えになる。


食事を終え、寮に戻る途中、俺は再び背後に視線を感じた。今度は隠れる気配もない。振り返ると、二人の上級生が明らかに俺を見ていた。


「何か用か?」俺は立ち止まって尋ねた。


二人は答えず、俺が動き出すと、一定の距離を保って付いてきた。明らかな監視だ。


「やめてくれないか?」俺はもう一度振り返って言った。


「学院長の命令だ」一人が冷たく答えた。「危険人物の監視を任されている」


「危険人物?」俺は驚いた。「そんな扱いになったのか」


「実験で学院を破壊しかけた奴は危険だ」もう一人が言った。「大人しく受け入れろ」


俺は反論せず、寮に向かって歩き続けた。議論しても無駄だ。彼らは命令に従っているだけだろう。


寮に入ると、監視の二人は外で待機するようだった。少なくとも部屋の中までは来ない。


部屋に戻り、窓から外を見ると、彼らは確かに寮の入口で立っていた。状況は予想以上に悪化している。単なる処分だけでなく、「危険人物」として監視下に置かれるとは。


机に向かい、エリナへの手紙を書き始めた。今日の出来事と、マーカス教授との会話、そして監視の件について。彼女なら良いアドバイスをくれるだろう。


手紙を書き終えたところで、ノックの音がした。


「誰だ?」俺は警戒して尋ねた。


「私よ」シルヴィアの声が聞こえた。


驚いて扉を開けると、シルヴィアが立っていた。彼女はいつもの優雅さではなく、やや急いだ様子だった。


「どうやって監視を抜けたんだ?」俺は小声で尋ねた。


「別の用事を装ったの」彼女は部屋に入り、扉を閉めた。「私が誰かと話していても怪しまれないから」


「危険じゃないか?」


「ええ」彼女は認めた。「でも、重要な情報があるの」


彼女の紫紺の瞳には不安が宿っていた。


「何があった?」


「アーサー・ノイマンがまた学院に来ていたわ」彼女は静かに言った。「今度は魔術評議会の公式訪問として。彼は懲罰委員会の後、学院長と会談したらしいわ」


「そうか…」俺は考え込んだ。「それで俺が危険人物として監視されることになったのか」


「可能性は高いわね」シルヴィアは頷いた。「彼はヴィクターに、あなたの動向を注視するよう指示したみたい」


「ヴィクターに?なぜだ?」


「詳しくは分からないけど」彼女は肩をすくめた。「おそらく『黒翼の結社』があなたに興味を持っているのよ。特に魔力暴走の事故の後はね」


「俺が古代魔法を使っていると気づいたのかもしれない」


「その可能性はあるわ」シルヴィアの表情が暗くなった。「だから警告しに来たの。用心して」


「ありがとう、シルヴィア」俺は心から言った。「危険を冒してまで教えてくれて」


「同盟関係でしょう?」彼女は少し微笑んだ。「それに…あなたは両親と同じ運命を辿ってほしくないの」


その言葉に、俺は深い共感を覚えた。彼女も母親と祖父を「黒翼の結社」によって失ったのだ。


「もう一つ」彼女は続けた。「古代魔法の研究はしばらく控えた方がいいわ。あなたもエリナも。図書館の第三書庫は見張られているかもしれない」


「オルドリッチ館長には伝えたのか?」


「まだよ」彼女は首を振った。「できるだけ早く伝えるべきね」


「俺から伝えよう」俺は言った。「明日、何らかの方法で」


シルヴィアは時計を見て、立ち上がった。


「長居はできないわ。怪しまれるから」


「分かった」俺は頷いた。「気をつけて」


「あなたこそ」彼女は扉に手をかけながら言った。「特に今夜は。ヴィクターが何か企んでいるかもしれないから」


彼女が去った後、俺は窓際に立ち、夜空を見上げた。星々が無数に輝いている。あの星々の中には、答えがあるのだろうか?


状況は予想以上に複雑化していた。単なる学院での処分ではなく、『黒翼の結社』の直接的な監視下に置かれているようだ。アーサー・ノイマンと学院長の会談、ヴィクターへの指示…すべてが俺を追い詰めるための動きに思える。


「落ち着け」俺は自分自身に言い聞かせた。「焦りは禁物だ」


マーカス教授の言葉を思い出す。今は忍耐の時だ。目立たず、準備を整え、時を待つ。


エリナへの手紙に、シルヴィアからの警告も追記した。二人で対策を考える必要がある。


手紙を封じ、明日エリナに渡せるよう準備して、ベッドに横になった。だが、眠りは容易には訪れなかった。様々な思いが頭の中を駆け巡る。


「両親も同じだったのだろうか」俺は天井を見つめながら考えた。「追われる身として、真実を探していたのだろうか」


やがて疲れからか、俺は不安定な眠りに落ちた。夢の中でも、追われる感覚は続いていた。


---


翌朝、講義棟に向かう途中、監視の目を感じた。昨夜と同じ二人の上級生が、一定の距離を保って俺の後を付いてくる。


講義室に入ると、クラスメイトたちの反応も昨日と変わらず冷ややかだった。多くの者が俺を見るなり席を離れたり、警戒するような視線を送ったりする。


ルークだけは変わらず、俺の隣に座った。


「おはよう」彼は普段通りに挨拶をした。


「ああ、おはよう」俺は感謝の気持ちを込めて答えた。


「監視されているみたいだな」ルークは小声で言った。「あいつら、朝から張り付いてるぞ」


「ああ」俺は軽く頷いた。「危険人物認定されたらしい」


「馬鹿げてる」ルークは不満そうに言った。「一回の事故でそこまでするか?」


「学院長の命令らしいよ」


「学院長か…」ルークは考え込んだ。「何か裏があるんじゃないか?」


彼の直感は鋭い。「そうかもしれないな」


講義が始まると、魔法理論の教授が俺を見る目も以前とは違っていた。警戒と好奇心が混じった複雑な視線だ。


授業が終わった後、廊下でエリナを見かけた。彼女も俺に気づき、自然な偶然を装って近づいてきた。


「おはよう、レイン」彼女は普通の調子で言った。


「おはよう、エリナ」俺も平静を装った。


彼女は何気なく本を渡すようなしぐさで、俺に小さな紙片を手渡した。そして、さも講義の話をするかのように会話を続けた。


「昨日の魔法理論の課題、難しかったわね」


「ああ、特に第三章は」俺も演技に合わせた。


会話を数分続けた後、自然に別れ、俺は次の講義室に向かった。トイレに立ち寄り、監視の目が届かない個室で、エリナからの紙片を開いた。


『今夜、天文台で。10時。監視は私が引き受ける。オルドリッチ館長にも連絡済み。—E』


天文台—絶妙な選択だ。学院の高い塔の上にある天文台は、夜間は通常閉鎖されているが、研究目的なら特別許可で利用できる。エリナは古代天文学の研究もしているので、彼女なら自然な理由で利用できるだろう。


紙片をポケットに入れ、次の講義に向かった。今日一日を無事に過ごし、夜の会合に備えなければ。


午後の授業が終わると、俺は寮に戻る代わりに中庭のベンチに座った。本を読むふりをしながら、状況を観察する。昨日と同じ二人が監視を続けている。そして新たに、アーチの向こうにヴィクターの取り巻きの一人、カレンの姿も見えた。


「二重の監視か」俺は独り言ちた。「学院と『黒翼の結社』、両方から」


状況は思った以上に深刻だった。だが、今はエリナの計画を信じるしかない。彼女なら何か良い策を考えてくれているはずだ。


日が沈み始め、俺は夕食のために食堂へ向かった。そこでもまた、孤立した状態での食事となった。かつての「落第魔術師」時代を思い出す。皮肉なことに、一時的な成功の後に、また元の状態に戻ってしまった。いや、今回はより悪い—「危険人物」としての孤立だ。


だが、この孤独と孤立は、以前と決定的に違う点がある。今の俺には、使命がある。両親の研究を継ぎ、古代魔法の真実を明らかにするという目的だ。そして、エリナ、マーカス教授、オルドリッチ館長、そしてシルヴィアという味方もいる。


「この状況も、必ず打開してみせる」


夕食を終え、寮に戻った俺は、夜の10時を待った。計画通り、天文台に向かうための準備をする。監視の目を欺くためのエリナの策に期待しながら。

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