第6話 後輩とデート
えーたった今私は遊園地に来ています。
「先輩、次はあれに乗りましょ!」
何故か後輩の女性と2人きりでだけれども
少し前に会ったばかりのはずの後輩とデートという名目でなければもう少し楽しめたのだろうか?私は心の中でそう思わざるおえなかった。
時は今朝まで遡る。
朝食を終えた私達はまったりとした時間を過ごしていた。
「ねぇ、先輩この後って用事あります?」
「ううん、無いけどそれがどうかしたの?」
「暇なら私とお出かけしませんか?」
その言葉に私の思考はフリーズする。……後輩と2人きりでお出かけ?……いや、二人きりなはずないよね。
「えっと、私達の他に誰か来るってことかな?」
「え、先輩と私の2人だけで行くに決まってるじゃないですか」
……後輩と二人きりで休日にお出かけ、それって
「結衣ちゃん、それデートみたいになっちゃうけど大丈夫?」
「女子同士のお出かけをデートって言ってくれるんですか?え、告白ですかもちろんOKですよ。それにしても先輩から告白してくれるなんて……」
何かを勘違いした結衣ちゃんのマシンガントークはとても恐ろしかった。10分程説得に使った結果、納得はして貰えなかったものの理解を得ることはできたみたいだった。
「そこまで先輩が言うのなら今回はそういうことにしておきます」
そう言いながら微笑む結衣ちゃんを見て背筋に悪寒が走ったのはきっと気のせいに違いない。
「そういえばどこに行くの?」
「ふふ、それは着いてからのお楽しみですよ」
電車に揺られること約1時間着いたのは……
遊園地だった。
そして時は現在に戻る
「ゼェゼェ、結衣ちゃんちょっと休憩しない?」
人生初のジェットコースターに乗って息も絶え絶えな私は結衣ちゃんに休憩を求めた。まさかジェットコースターがあんなに怖いとは思わなかった。本当に死んだかと思った
「……分かりました。本当は別のジェットコースターに乗りたかったのですが休憩がてらにメリーゴーランドに行きましょう」
「いや、そういうことじゃ……」
結衣ちゃんは私が言い終わる前に有無を言わさないという勢いで私の手を引きメリーゴーランドで向かうのだった。
「ねぇ、結衣ちゃん私聞きたいことがあるの」
「先輩になら何でも答えますよ」
「メリーゴーランドって馬みたいなのに跨って風景を楽しむものだよね?」
「それで合ってますよ?それがどうかしましたか?」
「……なんで私達は2人で馬車みたいなものに乗ってるの?」
メリーゴーランドに馬以外のものがあるのは何となく知ってはいたがそれでも2人きりで馬車もどきに乗るのはなんか少し違うと私は思っている。
「え、だって先輩可愛いから皆からの視線を集めるじゃないですか。私の先輩なのに卑しい目で見られるのが耐えられなかったので他の人達の視線をある程度とはいて遮ることができさらに私も一緒に乗ることで先輩を独占できるっていう一石二鳥だからですよ」
さっきから視線を感じてたのは事実だけれども多分見られてたのは私ではなく結衣ちゃんで間違いない。まず結衣ちゃんの容姿は外人に近く普通に目立つ。更にはとてつもなく可愛い。まずこの2つで殆どの男は魅了され女ですらも嫉妬することすら出来ないだろう。そんな美女が
「あ、先輩見てくださいパレードしてますよ!」
女神の様な笑みを浮かべるのだ。その笑みが自分に向けられてないといえこの世界の全ての人が私のHPはもうゼロよ!と言いたくなるくらいには可愛い。
まぁ、その笑みを直で受けてる私は目を逸らすことすら出来なくなっているのだけれど
私は今感じたことの無い感情に心を占拠されている。感じたことはないけれど名前は知っている。私は結衣ちゃんに
恋をしているのだ。
そう自覚した。いや自覚してしまった。
「先輩、どうしたんですか?」
「……いや、気にしなくていいよ」
「…詳しく問い詰めたいところですけど先輩がそう言うなら深入りはしません。けど辛いこととかなら話して欲しいです」
「わかった。覚えておくよ」
「わかったならいいです。それじゃあ次向かいましょ!」
そう言いながら私に微笑む結衣ちゃんはまるで女神のように可愛いのであった。
「ねぇ、結衣ちゃん。ここ結衣ちゃんが来たかったところだよね?」
「は、はいそうです。それがどうか……ヒッあ、ただのマネキンでした。本当のお化けが出たのかと思ってビックリしちゃいました」
私達は今お化け屋敷に来ている。1番来たかった結衣ちゃんは私の腕にしがみつきながら全ての仕掛けに叫んでいる。初めて来た私よりも怖がるってどういうことなんだろ。まぁ、そうは思いつつ普段は見ることの出来ない結衣ちゃんの様子に思わず口角が上がってしまう。恋を自覚するとこんなにも変化が起きるものなのだと驚かざるおえない。ほんとここが薄暗い場所で良かった。もし明るいところなら隣にいる怯えてる結衣ちゃんを見て口角を上げるヤバい奴になってしまっていたのだから。
怯える結衣ちゃんをある程度堪能したところでそろそろ結衣ちゃんを怯えさせる奴らを制裁しようかな。
「結衣ちゃん、目を瞑ってくれない?」
「先輩がそう言うなら目を瞑ります」
結衣ちゃんが目を閉じ左手で覆ったことを確認してから私は結衣ちゃんの右手をとり、前に進む。
少し進むとお化け屋敷の従業員が隠れてるのを見つけたので少し睨みつける。するとドタッと音がして通り過ぎても驚かされることはなかった。少し強く睨みすぎたかな。
この後も誰1人私達を驚かすことなく私達はお化け屋敷を脱出した。出口にいた従業員が私達を見て青ざめてた気がしたけど気のせいだろう。
お化け屋敷の後もゴーカートやバイキングなど様々なアトラクションを体験し、気づけば日が沈み始めていた。
「先輩、最後にあれに乗りませんか?」
結衣ちゃんがそう言いながら観覧車を指差した。流石の私でも観覧車は知っている。というか観覧車とジェットコースターくらいしか知らなかったのでいつになったら乗るのか少しソワソワしていたくらいだ。私は迷わずその言葉に頷いた。
私達は観覧車に乗ったあとお互いに無言で景色を眺めていた。私達が今日1日満喫していた場所を見下ろすのは少し不思議な感覚だった。そんな中1番上になるタイミングで結衣ちゃんが口を開いた
「先輩、私と付き合ってくれませんか?」
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