春風

第16話

朝から退屈だなぁ

悪くない仕事だ

客はほとんど来ない

やわらかな木曜日


この店大丈夫かなぁ

無くなるんじゃねぇかな

まぁ関係ないんだけどな

派遣の身の上じゃ


空に小さな雲

そばに真昼の月

互い白く溶け合って

見えたのに…遠い


「桜の花が咲いた」って

春風が囁いていく

人通りもまばらな

商店街を抜け


あなたの名前呼んでみる

あなたの声を待ってみる

無くなる筈なかった

愛の日々が終わる…


あなたは変わった

私も変わった

多分私が先

それがあなたを変えた


自転車が通り過ぎる

ハンカチが舞い落ちる

声を掛けようとして

振り向けば…何も無い


空に小さな雲

そばに真昼の月

互い白く溶け合って

見えたのに…遠い


「桜の花が咲いた」って

春風が囁いていく

駅から続いてる

商店街を抜け


あなたの顔浮かべてみる

あなたの肌に触れてみる

無くなる筈なかった

愛の日々を想う…


何がいけなかったのか…


2008.4

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