第3話
「昭司だけど。久しぶり、元気?」
久しぶりにかかってきた電話の向こうの彼に
ドキドキしながらも、テンションが上がる。
「里衣だよ、元気。昭司くんは?」
たわいもない話でも、声が聞けるだけで嬉しかった。
「りぃって夏休み暇?ヒロと一緒に住み込みで海の
バイトするんだけど、りぃも行く?」
私の顔が自然と笑顔になる。
「行きたい!行くよ、絶対!」
最後の夏休みにずっと一緒にいられるならと、
断わる理由なんてなく、その場で返事をしていた。
1ヶ月分の荷物が入った鞄を私から受け取ると、
1番に私を乗せたと言ってくれた、
最近買った車の荷台に積み込んだ。
〝都合のいい女〟
1番に乗せた
なんて、嘘かもしれない。
もしかしたら他の誰かにも同じようなことを言ってい
るかもしれない。
そんなことは自分でも分かってる。
それなのに、むしろ会えるなら、
そんな関係でもいいとさえ思っていた。
いつも心のどこかで、
小さな望みを持っていたのかもしれない。
〝なんで一緒に連れていってくれるの?〟
聞きたかった言葉は、
助手席に乗った瞬間、
呑み込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます