終の街バダナガラ

吉田 晶

プロローグ

 歴史上とされるバダナガラの名は、現代においてほとんど知られていない。この事実について、歴史学者ヴィクラマーディティヤ・シャルマは理由を次のように推察している。


「――バダナガラは自給自足が可能であり、外部との貿易をほとんど必要としなかった。また、主要な街道や河川から離れた場所に位置し、訪問者の多くは移住希望者であったため、都市外との交流は極めて限られていたと考えられる。さらに、その滅亡は瞬く間の出来事であったため、同時代の人々ですらこの街が消失したことに気づかなかったのである」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る