因果応報と魂の真の救済。稲荷神社の温かい灯。
- ★★★ Excellent!!!
里山の中ごろに、古くから信仰を集める
久魯川稲荷神社があった。商売繁盛と
五穀豊穣の御利益を得んが為に、今も尚
多くの人々の参詣があるが…。
夜ともなれば静かになり、まばらな虫の声が聞こえる山の中で
『迦之御魂之神』と、その眷属である
主人公『燐火』が静かに語らう。
この物語は、六つの物語を巡りながら
世の理の 内と外と を見究める。
『商い帖』に記されている六つの商売
夢を売買する『夢屋』、よろずのモノを
埋葬する『埋葬屋』、壊れたものを直す
『修理屋』、絶望と復讐に纏わる『禊屋』
流れ星を材料に幸運を売る『幸運屋』
そして、復讐を請け負う『復讐屋』
全て、奇妙なモノを商う。
稲荷神社の眷属として生きる『燐火』は
それらの商いを見極める。
如何にも日本古来の佳き里山の風景から、
一転して、聖書の救済の祈りの如く。
都会の雑踏やネオンの波に、深く昏い
WEBの闇にまで。遍く『世界』という
概念を描き出す。
因果応報と救済と
これは 自ら を探し出す、少し怖くて
哀しい、けれどもとても優しい
温かな物語である。