明晰夢でハーレム生活!……だったはずなのに、クラスの氷の女王が監視してくる
ぽんぽこ5/16コミカライズ開始!
夢の中でイチャつき放題……のはずだった
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
つまり、俺はもう9回もクラスのアイドルとイチャイチャしてるってわけだ。
へへ、夢の中なら何でもアリだからな。
俺は明晰夢を習得した男、夢の世界の覇者!
見渡せば、そこは俺が作り出した夢の世界。美少女たちが俺を待っている。
「翔太くん、今日はどうする? また一緒にお昼寝?」
「それとも、一緒にお風呂?」
「ふふ、私は夜まででもいいのよ?」
うおおお、最高! 夢最高!
現実ではただのモブ男子高校生な俺だけど、夢の中ではイケメンでモテモテ。
みんな俺のことを好きになってくれる。
すごい、無限の可能性だ!
……と、思っていたのに。
「……ん?」
急に、場の空気が変わった。
何かがおかしい。
視線を感じる。
しかも、凍てつくような鋭い視線を。
俺はゴクリと喉を鳴らしながら振り返る。
そこにいたのは——
「……白河さん!?」
クラスメイトの白河さんが、こちらを睨んでいた。
え、え、え!?
なんで!?
俺は夢の中に呼んでないぞ!?
白河さんは俺のクラスで有名な美人だけど、近寄りがたい雰囲気を持つ超クール女子。まるで氷の女王だ。
俺は彼女が苦手だった。
いや、正確には「怖い」。
現実で話しかけようものなら、
「話しかけないで」
の一言で撃沈させられること間違いなし。
でも、これは俺の夢だ。俺の思い通りにできるはずだ。
「えっと……白河さん?」
おそるおそる声をかけてみる。
すると白河さんは目を細めて、じっと俺を見つめた。
「……あなたも明晰夢を見てるの?」
「へ?」
脳が処理を拒否した。
ちょっと待って、今、なんて?
「いやいやいや、ちょっと待て白河さん。これは俺の夢だぜ?」
「違うわ。これは“私の夢”でもあるのよ」
「……え?」
は? 俺の夢じゃないの? いや、俺は確かに明晰夢の技術をマスターして……ってことは、白河さんも!?
「そ、そんなバカな!」
「バカなのはあなたの方じゃない?」
冷たい。冷たいよ白河さん。
夢の中でもその塩対応、さすがに俺、傷つくよ?
でも、ちょっと待て。
これ、もし本当なら——
「つまり、俺の夢に白河さんが勝手に入り込んでるってこと?」
「……はぁ?」
「それとも、俺が白河さんの夢に入り込んでる?」
「それは私が聞きたいんだけど」
白河さんが溜め息をつきながら、俺を睨む。
や、やばい。現実でも怖いのに、夢の中でも怖いってどういうことだよ!?
「そもそも、この夢、何なの? バカみたいに女の子だらけで」
「え、いや、まぁ……その……男の夢ってこんなもんだろ?」
「……最低」
「うぐっ!? で、でも白河さんだって、自分の思い通りの夢が見たくて始めたんじゃないのか!?」
「そんなわけない」
バッサリと切り捨てられた。
でも、一瞬だけ、白河さんの眉がピクリと動いた気がした。
(え? もしかして白河さんもエッチなことを……?)
いやいや、そんなことはないか。冷静になれ、俺。
「……」
「……なに?」
「イ、イエ……」
ていうか、なんかすっごいバツが悪い。
そもそもこれ、俺の夢なんだけど!?
なんで俺が怒られなきゃいけないんだ!?
「ちょっと待て白河さん、冷静に考えようぜ!」
「考えたくもない」
「なんで!? 夢だよ!? もっと楽しくしようぜ!」
「楽しくないわよ。それに、あなたが何をしてきたか、大体察しがつくわ」
その瞬間、ゾワッと背筋が凍った。
お、俺のやってきた夢の中のアレコレ、白河さんにバレてる可能性が!?
やばい、これはやばい。何がやばいって、俺はここで生きていけるのか?
「……ま、まぁ、その……」
「キモい」
「ぐはっ!」
ズバッと言われた! いや、白河さんのこういう辛辣なところ、ちょっと好きだけど! いやいや、そうじゃなくて!
どうする? このままだと俺、夢の中で社会的に死ぬ。
「わ、わかった! じゃあ、こうしよう!」
「……何よ?」
「白河さんと俺、お互いに夢に干渉できるのはわかった。でも、どうしてこうなったのか、原因を調べようぜ!」
「……まぁ、それは確かに気になるけど」
「だろ? だから、しばらく俺と一緒に——」
「嫌」
「即答!?」
俺の提案は0.1秒で粉砕された。
なんだこのやりとり。おかしいだろ。俺の夢の中のはずなのに、完全に白河さんに主導権を握られてるじゃねぇか!
「……でも、仕方ないわね」
「え?」
「どうして夢が繋がってしまったのか。それを確かめるには、しばらくこの状態を続けるしかないでしょ?」
「し、しばらくって……?」
「いいえ、しばらくどころじゃないかも」
白河さんはじっと俺を見つめながら、ポツリと呟いた。
「だって、私……もう三日前から、ずっとあなたの夢を見てるから」
「…………は?」
俺の脳が、再びフリーズした。
「お、おぉ……?」
ってことは、つまり——
「白河さんと夢の中で、ずっと一緒?」
「言い方がキモい」
「ぐはっ!!」
夢の世界で始まった、俺と白河さんの奇妙な関係。
明晰夢を楽しむはずが、なぜか氷の女王と夢の中で共同生活をすることに!?
こうして、俺のちょっとエッチで奇妙なラブコメが幕を開けた——。
明晰夢でハーレム生活!……だったはずなのに、クラスの氷の女王が監視してくる ぽんぽこ5/16コミカライズ開始! @tanuki_no_hara
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