キャンディ

メランコリック

キャンディ

目を覆うよりも更に暗い窓際に灯火を 

キャンディを入れた小瓶、カタリと飾る 街路灯にも月光にも照らせぬ図々しき暗夜を無邪気な甘ったるさで素敵にくすぐる キャンディがケタケタと優雅ならず微笑む つられて暗夜もぐにゃりと崩れそうになるが私は流石に見咎め小瓶を割った

キャンディとガラス細工は夜闇に情緒の循環を描き、舞い落ちる けれど星にはならぬ

透き通った欠片をひょいとつまみ断面を覗くと、気だるげな丸みを帯びた夜の夢が溢れ出していたために知覚と世界は融解した

意識なき食指の動きによりも一つ破片を摘むと鋭い一太刀 出血により知覚と世界は再度の凝固

色とりどりの幻想を血塗れの掌にそっと隠し、表情の見えぬ闇を見つめる

ただただ逝け 全てのキャンディが赤く染まる前に 七色を忘れてしまう前に


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キャンディ メランコリック @suicide232

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ