第2話 貞子

「さあ・・・今日もお国のために下民からお金を徴収しましょうか!」

俺は国営放送の受信料集金人。

今日も国民の義務を果たさない屑どもから受信料を徴収するために頑張るぞいw

あるアパートのチャイムを鳴らす。

「宅配便でーす!」

集金人だとわかると無視をされる可能性がある。

最近はとある議員が承認欲求を満たすために俺たちを利用しやがって・・・そのせいで仕事がやり難くなった。

だからこそ、こういう風に戦略的に行動しないと・・・。

ドアが開く。

「へへ・・・掛ったな。

国営放送の受信料集金に来ました!

国民の義務を果たし・・・。」

きぃ・・・きぃ・・・。

俺の目に飛び込んできたのは井戸が映ったテレビ画面だった。

「な・・なん・・!?」

何かに押されるように俺の身体は部屋に吸い込まれ背後で扉が閉まる。

「な・・なんだよ!?

なんで、ドアが閉まって!?」

きぃ・・・きぃ・・・。

耳障りな音がする。

恐る恐るその方向を向くと、井戸の映像に変化が起こる。

女の姿、踊る文字。

蠢く人に何かを指さす男・・・最後に目が映り「貞」の文字が・・・。

最後に井戸の映像が映されて・・・。

「こ・・これって・・・。

まさか、貞・・・!?」

その時、井戸の映像が流れてそこから女が這い上がってきた。

「ば・・・バカな!?

まだ、七日経ってないぞ!?

そんな・・早すぎる!?」

俺は目の前のドアを開けようと奮闘するが全く開く気配がない。

「なら!!」

俺は目の前のテレビの破壊に向かう。

「これさえ壊せば、出てこれないはず!!」

俺はテレビ画面を持っていた集金のための端末を叩きつける。

しかし・・・。

「な・・なんだよ、これ!?」

テレビに触れた瞬間、端末は粉々に砕け散る。

同時に爪のない青白い手が表れて俺の手を握る。

「う・・うわぁ!!!??

離せ・・・離せよ!」

しかし、そんな俺の声は無情にも目の前の女には無視されて俺の心は蝕まられそして、意識は闇へと落とされるのだった。


「最近、集金人来なくなったな。」

最近は平和だ。

しつこい集金人に目をつけられて参っていたのだがここ最近はぱったりと来訪がない。

きぃ・・・きぃ・・・。

「あっ・・・この音は・・・。」

テレビがついて井戸の映像が流れる。

そして、白いワンピースの黒のロングヘアーの綺麗な彼女が表れる。

「いらっしゃい、貞子さん。」

「今日も呪い会いに来ちゃった♡」

貞子さんと出会ったのは1年前。

呪いのビデオを見て1週間後に彼女と出会い恋に落ちた。

彼女の強い呪いを受けて死にかけたけど愛の力によって生還し彼女に思いを告げるとそれからは毎日のように彼女からの呪いを受けていた。

「今日こそ殺しちゃうからね♡」

「そう言って昨日は来なかったよね?

どうしたの、珍しい。」

俺は彼女の呪いを受けながら彼女を後ろから抱きしめて聞いた。

彼女の長い黒髪は少しゴワゴワしているけどそれが心地よい。

「ちょっと、用事があってね・・・。

本当はアナタを昨日だってあなたを殺したかったのよ♡」

「はは・・・本当に君は可愛いね。」

病的に白い彼女の首筋に唇を落とす。

今日も彼女の呪いは刺激的だ。

『次のニュースです。

アパートの一室で男性の死体が発見されました。

調べによりますと・・・。』

「今度こそ、殺しちゃうからね♡」

不気味に笑う彼女が本当に可愛い。

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カワイイ怪異さん わっしー @kemkem9981

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