過去とリアルの境界で夢うつつ

神無月ナナメ

KAC20254:第一話「きぼう」

「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」ここから書き始めればOKだよね?


 いつもなら完全真逆でテーマに沿ったオチを先に決めてからプロットを立てる。

プロアマ問わずに物書きの個性で「たった一つの冴えたやり方」はネタの一環だ。


《おはよう西園寺夢々くん。今回キミに与えられたミッションの期限まで一週間。

だがしかし特殊で書き出し指定あり「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」

小説冒頭を上記にして900字以上の執筆で期日までにメール添付をヨロシク!》


 思わずクスクス笑いが零れる。届いた依頼のメールからしてネタまみれじゃん。



 夢オチじゃないけれど悪くないタイミング……近ごろ見始めた意味不明なヤツ。

いきなり序盤から連続ドラマみたいな展開だから繰り返し九回目じゃないけれど。


 ちょっぴり前から訳わかんないリアルな夢が斜め上に展開している件について。

いつも眠りに落ちて開眼すると巨大樹が囲む日差しもない森の奥深くで目覚める。


 ぼおっとしながら数分経つと見回した周囲に妙な既視感があることに気づいた。

これはリアルタイムじゃなく過去の記憶で見える植生の大半が時代には沿わない。


 それでも数百年かそれ以上の歳月を身近に感じながら暮らした地域と合致する。

何度目かの夢で無意識に掲げた手のひらは透明感があり触れた耳も横に長かった。



 あぁ夢うつつ状態でアレみたい……いわゆる白昼夢にいるんだろうと理解した。

「どの時期だ?」いつまで経とうが変化しないエルフの里に飽き飽きした頃合い?


 しばらく後の夢でエルフの森に張られた結界付近を徘徊すると悲鳴が聴こえた。

「ウワァアァッ!」これってウサギ獣人娘と一緒にいた派手なピンク髪女の絶叫?


 そうだあいつら四人組チームじゃん。忘れるぐらい昔の出来事でも当時の面影はある。

しばらく一緒に旅した上級冒険者チームのリーダーさんがきっと前世の彼だった。


 チーム全員で身近な現代に転生できたなら奇跡だろう。例え記憶を失くしても。

朧気な記憶の断片を繋ぎ合わせる白昼夢。あの日最後に交わした「遠い約束」……



 今回いつもと違い異世界時代の自分語りに収束するからオチはどうしよっかぁ。


 あぁアレ丁度いいかもしんない。特殊パターンで「あの夢」転じて「あの花」。

いきなりダジャレなんだけどラストシーン感動でガン泣きする名作アニメじゃん。


 いやいや関係者の皆さまゴメンなさい。きっと誰にも気づかれへんやろうけど。

異世界でエルフだった当時の末期……死んだ理由わかんないし後悔ないからねっ!



 ※意外とすんなりオチたんで公開しますが「反響(要望)次第」続編あるかっ?

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