【KAC20254】プロフェッショナルの仕事
星海 航平
第1話
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
前回は……100年ほども前だろうか。ここ5回ほど転生する間は見なかったはずだ。
もっとも今生が16年、一つ前の生は4歳とちょっとだったから、もう少し最近だったかも知れない。ここのところ幼少期に人生が終了することが多かったからな。さすがに17回も転生すると、細かいことは覚えていられない。
例によって真っ白な地面と真っ青な空しかない、ウユニ塩湖(4回目に転生した世界でとても有名な景勝地)みたいな景色の真ん中で、女神様はいつも通りに微笑んでいた。
「お久しぶりです、勇者さま」
そのあまりにいつも過ぎる様子に、わたしはうんざりした。
「何が勇者さまですか。数えるほどしか世界を救ってないのに」
ぶうたれるわたしに、女神さまはいよいよ笑みを深くした。
「数えられるほどであっても、実際に世界を救ったことのある貴方は充分に勇者ですよ。本当にダメな人は100回転生したって世界を滅ぼしてばかりなんですから」
「いや貴女、わたしに世界を滅ぼす側の魔王役をやらせたこともありましたよね?」
当然のツッコミに、女神さまはいよいようれしそうにコロコロと笑った。
「だって、あの世界は愚かな人類が世界すべてを破壊し尽くすところでしたからね。ああするほかありませんでした。貴方は充分に救世の勇者です」
「人類以外の者にとってね」
ちょいと過去に思いを馳せた後、わたしは改めて女神さまに尋ねた。
「……で、今度は何です?」
これまた当然の問いに、女神さまは眉をひそめた。
「残念ながら、悪い知らせです。貴方が今生きている世界はごく近いうちに滅亡します」
「相変わらずの無茶振りですね。16歳の若造に世界滅亡を回避せよとおっしゃる」
「何のために大国で陸軍大臣を務める人物の次男に転生させたと思ってるんですか。縁故を生かしまくって幕僚参謀の従卒に成り上がったんですから、そこから何とかしてください」
転生のプロならそのくらいできて当然、とでも言いそうな口調だった。そら確かに人生経験だけは無駄にたくさん積ませてもらいましたからねえ。まったく、ありがたい夢のお告げに涙がちょちょ切れる。
そんな夢への回想を打ち切って、わたしはベッドの上に起き上がった。
「そんじゃ一丁、世界を救ってきますか!」
【KAC20254】プロフェッショナルの仕事 星海 航平 @khoshimi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます