第9話 脈絡ないけど『中学生って残酷』だよね2

タイトルにある『中学生って残酷』と言う私の感想なのですが。

自分の子供たちを見てそう思ったものです。


思い返せば自分たちの時にもそういう感想はありましたが。

現在の少人数だと余計そのように感じてしまいます。


もちろん私立中学に行く子は違うのでしょう。

だけど公立中学は、まさに寄せ集め。


余りにも違う能力、そして大きく差がある家庭の経済状況の子供たちが集まってしまいます。


同じ学区と言うだけで集められる子供たち。

しかも一番色々と成長していく過程。


そんな中である一定以上の能力がない子供は直面する現実に絶望してしまうのです。


小学校までならそこまでの差は出ないでしょう。

今は知りませんが昔は『みんなで手を繋いで渡ろう』、的な?

積極的に差を見せないような教育?


まあ今は知りませんが。


ある意味小学生までは画一的、かつ大きな偏見のないような教育に思えました。

もちろんいじめだってあるし小学生とはいえ能力差もあるけどね。


只、免罪符として『まだ小学生だから』と言うことがギリギリまかり通る状況。

逃げ道があったわけです。


しかし中学に上がった途端。


なぜか回りは『中学生のお兄ちゃんお姉ちゃん』と、勝手にジョブチェンジされてしまうのです。


さらには人間の本能の一つ。

性に目覚める時期。


幾つもの変化が体や思考に訪れる大事な時期。


そして見えてしまう現実。

力、能力、そして置かれている経済力と言うものの、とんでもない差を。


正直高校は一応能力に見合った場所へ行く事となる。

学力とかスポーツとかね。


でも公立の中学は学区の同年代が集められる場所。

世の中にはとんでもない天才がいるのですよ。



※※※※※



思い返す30数年前。


私の記憶にある一人『ヤスダ君』という男の子がおりました。

彼はいわゆる天才君。

授業など腕を組んで見ているだけ。


しかしほとんどのテスト、ほぼ満点だったと記憶しております。


「お前すごいよね」

「うん?別にすごくはないかな…ただ暗記しちゃうだけだし…空とか飛べるならすごいって言われたいかな」

「…空?」

「いいよねええ。あああ、とびたいなああ!!」


あー。

そう言えば彼、俺達一般ピープルとは考え方や視点が違っていたっけ…


そう言えばいつかの昼休み。

あの頃は『水曜スペシャル』とか、『あなたの知らない世界』とか。


けっこう普通に怖い話や眉唾な番組がテレビで見れて。

私たちはクラスメイト数人で、いわゆる怪談をしていたのですよ。


そんな中加わってきたヤスダ君。

既にみんなが彼は天才だと知っていたので、実はすっごく期待してたんだよね。


どんな怖い話をしてくれるかって。


そしたら彼はさ。


「テレビを見ていたんだ。そして時は世界大戦の緊張が高まる最中…そして」

「……ゴクリ」

「突然……………プツリとすべてが消える。…前触れなんて感じられないのさ」

「……えっ?」

「ふふ、ヤバイ。めっちゃ怖いわ~」


そう言い残し立ち去るヤスダ君。

えっと。


私たちは途方に暮れてしまった。


彼の怖い話はお化けとかではない。

現実として怖い話だったんだ。


あの頃の僕らの理解が及ばない彼。

今頃何をしているのだろうか。



※※※※※



あと印象深いのが、アリマ君と言う男の子。


メチャクチャ人当たりが良く、いつでもにこやか。

ナリは小さい彼だったけど、友達…いや、知り合いの多い子だった。


私は知らないので、もしかしたら全然すごい事ではないのだろうけど。

実はオリエンテーションで鎌倉に行った時の話。


お寺を回りながら私たちは雑談をしていたんだ。


そんなときあの当時は珍しい、海外の方が僕たちに声をかけてきた。

片言の日本語。


どうにか聞き取れはしたが。

僕たちもここの住人ではない。


そんな時アリマ君。


メチャクチャ丁寧に尋ねられていた場所を案内するんだよね。


それこそ細かく、どこどこを右、とか、向かいに郵便局がある、とか。


「ええっ?!アリマ、お前この辺詳しいの?」


思わずみんながそう問いかけた。


「えっ?全然。…俺来たことないし?」


えっと。

このアリマ君、実は虚言壁がありまして。

だから実は彼、友達少なかったのですよ。


そんな彼が大威張りで口にした事。


「なあなあ、北斗の拳って知ってる?」

「知ってるよ」


ちょうど私たちが中学に上がる直前連載が始まった超人気漫画。

皆がそのことは知っていた。


「実はさ、あの漫画にはその前があるんだぜ。主人公は霞ケンシロウ。カッコいい名前だろ?」

「…へー。ソーナンダ」


正直誰も信じません。

彼はうそつき、そう思っていたのだから。


そして時は過ぎ蒼天の拳が発刊され。

私は驚愕に包まれた。


「ええっ?!…主人公…霞ケンシロウだ…うえっ?あ、あの時…確かアリマ君…えええっ?!!」



※※※※※



すんません。

改めて調べました。


実は北斗の拳、連載前に短編出ていまして。

その主人公『霞ケンシロウ』でした。


全然未来予知とかではなかったです。

いやー、グーグル先生、頼りになります。


…アリマ君、今どうしてるんだろ?


思い返せば息を吐くように嘘を言う人。

あのとき初めて出会ったんだよね。



でも微笑ましく思えるのはなぜなのだろうか。

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おっさんの独り言~毒にも薬にもならない~ たらふくごん @tarafukugonn

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