ギャルだけど乙女ゲーの悪役皇太子に転生したからコミュ力で世界を平和にする
秋犬
序章
序章 『嘆きの鳥籠姫は愛を謳う』
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
「
レムリア国第13代聖女メリナ・ディスノミアは神官たちを集め、神託を下した。
「聖女様、災いが近づいているとは真ですか!?」
「ええ、間もなく世界を混乱に招き入れる何かが起こるでしょう。その後人々はいがみ合い、憎しみの炎を燃やし、国を燃やそうと企む何かが暗躍するでしょう」
「なんと恐ろしい……!」
神殿に集められたレムリア国の神官たちは、それぞれ恐れおののいた。
「その神託、杞憂に終わるでしょう」
神殿の入り口から大きな声が響いた。白銀の甲冑を身につけた勇ましい青年が神殿内に入ってくる。
「ラルフ殿、如何なされましたか?」
聖女より祝福を受けた勇者であるラルフ・ウェイウォットは、改めて聖女メリナの前に進み出た。
「神託は所詮ただのお告げ。災いの元凶を叩けば、全ては収まるでしょう」
「なんと勇ましい……!」
神官たちがため息をついたときであった。慌てふためいた兵士たちが神殿に入ってきた。
「聖女様に報告いたします! 先ほどジーランディア国より宣戦布告が行われ、二国間は開戦状態となりました!」
「なんてことでしょう!」
ジーランディア国の皇太子、ギルサンドル・ジーランディアは冷酷無慈悲な男で、目的のためなら手段を選ばないと評判であった。
「夢が真にならぬとよいのですが……」
震える聖女メリナに、勇者ラルフが寄り添った。
「ご安心ください。貴女は私が守ります。たとえ命と引き換えにしても」
「勇者様……」
「聖女様、この戦いが終わった暁には、その……」
ラルフの瞳を見つめ、メリナは顔を赤らめる。
「ええ、どうかご武運をお祈りします」
しかし、運命は残酷にも二人を引き離した。ジーランディア国の武力は凄まじく、レムリア国は戦線をじりじりと後退させ、そしてとうとうレムリア国は降伏宣言をするに至った。
「聖女様、それでは我が国へ参りましょうか」
捕らえられたメリナは、ジーランディア国へ連行されることになった。戦いの中でラルフは行方知れずとなり、拘束されたメリナは神に祈ることしか出来なかった。
(彼らの目的は、私だけが知っている宝珠の在処ね……)
この後、メリナは冷酷な皇太子ギルサンドルの元でレムリア国に眠る秘密の宝珠の在処を吐かせるために拷問にかけられることになる。そこへラルフが助けに来たり来なかったり、メリナがギルサンドルを改心させたり怒らせたりとハラハラドキドキ、ちょっぴりエッチな追加シナリオが魅力の乙女ゲームこそ、『嘆きの鳥籠姫は愛を
……となるはずだった。
「ギャルだけど乙女ゲーの悪役皇太子に転生したからコミュ力で世界を平和にする」
次章から本格的に始まるよ!!
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