あの夢を見たのは、これで9回目だった。そのオチとは……
碧居満月
何度も見る同じ夢の結末とは……
あの夢を見たのは、これで9回目だった。俺は、
三つ編みに結わいた紫紺の長髪、
その人が、夢の中で対面する俺にこう述べるのだ。
『これからお前に処罰を受けてもらう。今から俺と一緒に来い』と。
そうして俺は、祠の管理人さんに
確かに俺は過去に、彼が管理をする祠に無断で侵入したうえ、そこに封じられている堕天使の像を、
背がすらっとした長身で、ブラックスーツとネクタイがよく似合うイケメンだが、まるで葬儀の参列者のような格好をしているのに、毛先を遊ばせた茶髪といい、どことなくホストの雰囲気漂う死神の青年、ガクト・シロヤマはこの日、結社からの指令を受けて現世へと向かうため、宮殿から外へと出た。
宮殿の、正面玄関口に当たる、背丈を超す、観音開きの鉄柵の門を半分ほど開けた時だった。開いていない、こう半分の門に腕組みして寄りかかる一人の人物が、おもむろに声を掛けてきたのは。
「よう、ガクト。今から現世へと、おでかけか?」
三つ編みに結わいた紫紺の長髪、
「ええ、まぁ……それよりも、なぜこちらに?」
「お前に用があって来たんだよ」
祠の管理人さんは真顔で返答すると、寄りかかっていた門から離れ、シロヤマと対面した。
「これからお前に処罰を受けてもらう。今から俺と一緒に来い」
シロヤマは思わず、目を瞠った。
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
三つ編みに結わいた紫紺の長髪、
「……今から、あなたと一緒に、閻魔の塔へ行けと?」
「いや……
「俺……これから、仕事なんですけど……」
「心配するな。行き先は、これからお前が行く現世だからよ。そこで、結社からの指令を遂行しつつ、閻魔大王の使用人として、その
「ひとつ、よろしいですか?」
青ざめた顔の当たりまで手を挙げたシロヤマは、前置きをしたうえで問いかける。
「俺は随分と前に、閻魔の塔にて処罰を受け、罪を償った筈ですが……なぜ、再び処罰を受けなければならないのでしょう?」
この問いに、祠の管理人さんは真顔で返答。
「お前にはまだ、償い切れていない罪がある。現世にて生活を送る赤園まりんがまだ、
強引の壁ドンに
とうやらシロヤマは、辛辣な祠の管理人さんに目を付けられてしまったらしい。
三つの罪のうちひとつは、現世に復活を遂げた堕天使からまりんちゃんを守護するための力を発動させるためのものだった。
しかし、それが今や、処罰の対象になるほどの罪になってしまった。これにはシロヤマは驚きを隠せなかった。
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
三つ編みに結わいた紫紺の長髪、
『これからお前に処罰を受けてもらう。今から俺と一緒に来い』と。
夢の中ではその後、祠の管理人さんと一緒に『閻魔の塔』まで連れて行かれる内容だった。
若干、内容が違えど、これはもう、ほぼ正夢と言えよう。同じ夢を9回も繰り返し見ていたシロヤマは、これがあの夢のオチか……と、青ざめた顔でがっくりと肩を落とすと思い知ったのだった。
了
あの夢を見たのは、これで9回目だった。そのオチとは…… 碧居満月 @BlueMoon1016
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