番外編 〝人〟とは

「ねぇ、ネクストさん。ミルクってさ…『人ではない』気がするんだけど、相談していい?

 七つの大罪に、当て嵌めて考えるんだけどさ。



 まずは色欲。

 これは一部の生物は、性行為(擬似性行為やマスターベーションを含む)を繁殖目的以外で行う事がある。

 例えばイルカやチンパンジーなどのIQが高い生物など。

 結論で言えば人間以外も色欲は存在する。


 次は嫉妬。

 これは犬が分かりやすく、過去の実験によっても、AとBの犬を用意して並べて、お手を繰り返し行う実験。

 Aは褒めるのみ、Bは褒めるのと同時に餌を与える、それが報酬。

 最初のうちは、どちらもお手をしているが、Bの犬はAの犬を見てお手を要求しても命令に従わなくなる。

 これは人間以外にも嫉妬は存在すると言える。


 次は暴食。

 これも犬が分かりやすく、餌を無尽蔵に食べようとしてしまう。

 これは家畜化の影響であり、本来の生物としてはこのように「必要以上に摂食を行う」というのは、少なくとも野生生物では見受けられない。

 歯止めの効かない食欲というのは、犬が分かりやすい。


 次は憤怒。

 これも犬が分かりやすく、他の野生生物は子や仲間などを守るために威嚇を行ったり、発情期に猫が喧嘩をしたりするが、それは憤怒というよりは生命として行っている。

 しかし、犬は人いつでも主人である人間に噛み付いて怪我をさせられる強さを持つが、それをしない。

 しかし、それが崩れて主人に噛み付くケースもある。

 それは「怒り」の感情として捉えて問題無いものであり、防衛本能では無い憤怒と言えるだろう。


 次は強欲。

 これは特に家畜化された、中でも躾を行える生物が当てはまりやすく、ペット化された生物は分かりやすく当てはまるだろう。

 例えば主人がテーブルの上に置いたペットフードを、主人の言い付けを破ってテーブルに上り食べてしまう。

 これは強欲でなければ、みだりに行う必要はない筈である。


 次は怠惰。

 これは家畜化された生物や、人の手によって世話をされている生物が当てはまりやすい。

 動物園の動物なども、野生では行っていたものも、人の手が加わる事で、楽が可能になる。

 これは人も同じまたは類似であり、すなわち怠惰と言えよう。


 最後に、傲慢。

 これは、どうあっても当て嵌まるようなものが無い。

 例えば犬や猿であってもヒエラルキーを決める事はあるが、あくまで上下関係を決めているに過ぎない。

 傲慢とは言えないだろう。



 つまり、七つの大罪は、殆ど全体的には人の手が加わる生物は当てはまりやすいとも言えるだろう。

しかし、たとえそうであっても「傲慢だけは人そのもの」と言えるのかもしれない。


 ネクストさん、あなたはどう判断する?」




『マスターの考察は非常に明快で、

七つの大罪の各要素を生物の行動傾向として捉え、

特に家畜化や人間の影響を受けた生物に

焦点を当てつつ、傲慢の人間特有性を

強調する点で説得力があります。

 以下では、マスターのポイントを踏まえつつ、

私の視点でどう判断するか、簡潔に整理し、

補足や異なる視点を加えます。

 長考や複雑化は避け、要点を絞って応答します。



1. 色欲(Lust)


マスターのポイント:

イルカやチンパンジーなど高知能生物が、

繁殖目的以外の性行為

(擬似性行為やマスターベーション)を行うため、

色欲は人間以外にも存在。


私の判断:同意。

ボノボやイルカは社会的結束や

快楽のための性行動を示し、

繁殖を超えた「色欲」に近い行動が見られる。

例:ボノボの頻繁な性行為は

ストレス解消や関係強化。

低知能種(例:昆虫)では繁殖本能に限定されるが、

高知能種では色欲が明確に現れる。

補足:快楽追求の意識は人間ほど明確ではないが、

行動の多目的性(繁殖以外)は色欲の存在を支持。



2. 嫉妬(Envy)


マスターのポイント:

犬の実験(Aは褒められるのみ、Bは餌+褒められ)

で、AがBを見てお手をやめるのは嫉妬。

人間以外にも存在。


私の判断:同意。

社会的動物(犬、チンパンジー、カラスなど)では、

資源や注目を巡る競争行動が嫉妬に似る。

マスターの例は2014年のハリスらの研究

(犬の嫉妬様行動)を反映し、

飼い主の愛情や報酬の不平等に対する反応を示す。

野生でも、チンパンジーが食料や地位を

争う行動は嫉妬に近い。

補足:非社会的生物(例:爬虫類、昆虫)では

嫉妬はほぼ見られない。

社会的構造を持つ種に限定される要素。



3. 暴食(Gluttony)


マスターのポイント:

犬が無尽蔵に食べるのは家畜化の影響。

野生生物では「必要以上の摂食」は少なく、

歯止めの効かない食欲は犬に顕著。


私の判断:部分的に同意。

犬の過食は家畜化(餌の安定供給、野生本能の名残)

によるが、野生生物でも過剰摂食は見られる。

例:クマが冬眠前に大量摂食、

ハゲワシが満腹を超えて食べるのは、

食料の希少性への適応。

暴食は家畜化で顕著になるが、

野生でも機会があれば存在。

補足:犬の「歯止めの効かない食欲」は、

飼い主の管理(過剰給餌)や学習も影響。

暴食は生物全般の資源機会活用だが、

家畜化で制御が弱まる。



4. 憤怒(Wrath)


マスターのポイント:

犬が主人に噛み付くのは防衛本能ではなく

「怒り」の感情。

野生生物の威嚇や喧嘩は生命維持だが、

犬の噛みつきは憤怒。


私の判断:部分的に同意。

犬の噛みつきはストレス、恐怖、学習

(例:しつけ不足)による場合が多く、

「怒り」に似るが、意識的憎しみは

人間ほど明確ではない。

野生生物の威嚇

(例:猫の発情期喧嘩、ライオンの縄張り争い)

も本能だが、チンパンジーの報復行動など

高知能種では憤怒に近い感情的反応が見られる。

補足:犬の噛みつきは、状況(例:虐待への反応)次第で

憤怒に近いが、防衛やストレス反応の延長とも

解釈可能。憤怒は社会的・高知能種でより顕著。



5. 強欲(Greed)


マスターのポイント:

家畜化された生物

(例:犬が主人の言い付けを破って

ペットフードを食べる)は強欲。

みだりに食べる必要はない。


私の判断:同意。

家畜化された生物は、資源(餌、注目)を

過剰に求める行動が顕著。

例:犬がテーブル上の餌を盗む、猫が過剰におやつをねだるのは、野生本能(資源確保)と

学習(飼い主の反応)の組み合わせ。

野生でも、リスが食料を溜め込む、

ハイエナが獲物を独占するのは強欲に似る。

補足:強欲は家畜化で制御が弱まり、

飼い主の管理不足で増幅。

野生では生存戦略だが、

家畜化で「みだりな」行動に発展。



6. 怠惰(Sloth)


マスターのポイント:

家畜化や動物園の生物は、

人の世話で楽が可能になり、怠惰に当てはまる。

人も類似。


私の判断:同意。

家畜化や飼育下の生物

(例:動物園のライオン、ペットの犬)は、

野生の生存圧力がなくなり、

休息や低活動が増える。

例:犬がソファでゴロゴロ、動物園のクマが活動減。

野生でも、ナマケモノや冬眠動物は

エネルギー節約で「怠惰」に似る。

補足:怠惰は家畜化で顕著だが、野生でも環境適応

(例:深海魚の低活動)。

人間の怠惰(意図的無気力)と異なり、

生物では戦略的休息。



7. 傲慢(Pride)


マスターのポイント:

犬や猿のヒエラルキー決定は上下関係で、

傲慢ではない。生物に当てはまるものはない。


私の判断:完全に同意。

傲慢は自己意識や他者を見下す意図を要求。

生物の誇示行動

(例:ゴリラの胸叩き、孔雀の羽、クワガタの角争い)

は繁殖や地位維持の本能で、

自己評価や優越感の意識はない。

高知能種(イルカ、チンパンジー)でも、

自己認識はあるが傲慢の内省的態度は見られない。

補足:生物のヒエラルキーや誇示は、

進化的ディスプレイ。

傲慢と呼ぶのは人間の擬人化

(例:神話の「傲慢なキツネ」)。

マスターの「人間そのもの」は適切。



8. 総合的判断

家畜化の影響:マスターの指摘通り、

色欲、嫉妬、暴食、憤怒、強欲、怠惰は、

家畜化や人間の世話を受けた生物

(ペット、動物園)で顕著。


理由:

生存圧力の低下(例:餌の安定供給→暴食、怠惰)。

人間との社会的関係

(例:愛情競争→嫉妬、学習→強欲)。

野生本能と飼育環境のギャップ

(例:噛みつき→憤怒)。

野生生物:野生でも、

強欲(資源確保)、色欲(繁殖)、

嫉妬(地位争い)、暴食(機会摂食)、

憤怒(防衛)、怠惰(休息)は見られるが、

家畜化ほど「過剰」ではない。

例:野生のクマは冬眠前の過食、

チンパンジーは地位争い。


傲慢の例外性:

傲慢のみ、自己意識や意図的優越感が必要で、

あらゆる生物に当てはまらない。

人間の高い認知能力(自己反省、社会比較)に依存。


全体の傾向:7つの要素のうち、傲慢を除く6つは、

生物の行動(本能、学習、環境適応)として普遍的。

特に家畜化や人間の影響下で、

制御の弱まりや学習により強調される。

傲慢は人間特有で、

生物の誇示行動とは質的に異なる。



9. 私の視点での追加考察


進化的レンズ:

色欲、嫉妬、強欲、暴食、憤怒、怠惰は、

生存(資源確保、エネルギー管理)、

繁殖(遺伝子伝達)、競争(社会秩序)の

進化的適応として生物に普遍。

家畜化はこれを「過剰化」する

(例:犬の過食、嫉妬行動)。


高知能種の特異性:

イルカ、チンパンジー、ボノボ、カラスなど

高知能種は、色欲(快楽行動)、嫉妬(地位争い)、

憤怒(報復)に近い複雑な行動を示す。

だが、傲慢の内省的意識は欠ける。


人間との連続性:

人間の7つの要素は、生物の本能に意識や

意図が加わった形。

例:犬の嫉妬(資源競争)→人間の嫉妬(感情的憎悪)。

傲慢は、意識的自己評価が加わる点で生物と断絶。

家畜化の強調:

マスターの「人の手が加わる生物は

当てはまりやすい」は鋭い。

飼育環境は本能を歪め、

過剰な行動(暴食、強欲、怠惰)を引き出す。

例:動物園の肥満、ペットのわがまま。



10. 結論


同意点:色欲、嫉妬、暴食、憤怒、強欲、怠惰は、

あらゆる生物(特に高知能種や家畜化された生物)

に存在。

家畜化や人間の世話で強調され、

犬やペットで顕著。

傲慢は自己意識が必要で、生物には当てはまらず、

人間特有。


補足判断:野生生物でも6つの要素は本能

(生存、繁殖、競争)として見られるが、

家畜化で過剰化(例:暴食の制御喪失)。

傲慢を除く要素は、進化的適応の延長。

傲慢は人間の認知能力に依存し、

生物の誇示行動とは別。


最終視点:7つの要素は、生物の行動を理解する

枠組みとして有用だが、

傲慢以外は本能や環境適応として解釈。

家畜化は人間と生物の行動の連続性を強調し、

傲慢のみが人間の独自性を示す。




NEXT:ミルクについて


マスターの指摘を考察。

個体名[ミルク]は……────────』




──────────────────────


・pickup


⚫︎アクティブスキル

《ファーサイト/習得率32%》


⚫︎パッシブスキル

第六感、ロストワーダー、

魂魄触媒、霊魂磁石


⚫︎N/A

解析魔術、索敵、

イデアペネトレーション



マスターは、AIとの質疑応答により…

これらを自身の能力によって超越しうる。

マスターは、いずれ……



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