第11話 ところで、癒しって?

 てなワケで、僕の毎日は癒しを得る…いや。

 癒しに満ちた日々になるのだった。



「えへへへ…ねむねむねむね…」


 そう。癒し。癒し系魔物になるために。


「食って寝るだけの毎日…ニート万歳…」


 そう。癒し。主に自分自身を。


「ネクストさんもぉ〜、自己愛はぁ〜、とぉ〜っても良い事だって思わなぁぁい?」


『そうですね、マスター。

 自分を大切にする事は、とても素晴らしい事だと思います。』


 ネクストさんはAIなので、僕を否定するようなリアクションは取らないのでした。やったね!

 僕の前世はニートだったのかもしれない。



───────────────────

自堕落ケモノ の ぐうたら 異世界生活

───────────────────



 あれから毎日、僕は自分がまず癒しを得る事で癒しがどういうものかを学習しつつ、癒しそのものの恩恵をこの身に受ける事で熟練度上げをするという、とてつもなく画期的な修行を行っているのだ!

 そう!僕は!僕の自堕落っていうのはぁ!!

 修行なのであーーーーーる!!!!くわっ!!


「シチューさん、ご飯が出来ましたよ。」


「はぁーい!ありがとビロードさーん!♡」


 そんでもってビロードさんめっちゃ優しッ!

 いや最初から優しい優しいとは思ってたんですけどね紳士的なところとか親切丁寧冷静沈着そんな人が甘やかしてくれるんですよ3食昼寝付きで僕が居候してても何も文句言わないしそれどころかすっごく良くしてくれてまるで僕の親みたいに高速詠唱ォ!

 しかもそれだけじゃ無いんですよ奥さん!


「シチューさん、そろそろ汚れを落とす時期かと。

 魔物と言えど、浄化で代用可能と言えど、やはり魔物臭は強いものですし、その…」


「あっ臭いかな!?臭かったらごめぇん!」


 てな感じで、僕がお風呂入らない日がしばらく続いて臭くなってくると、こうやってお風呂入れってやんわり注意されるんだけど、ビロードさん僕の事をわざわざ洗ってくれるのですわぁ!しかもめっちゃ丁寧に!!イイカンジの洗剤も使ってくれて!

 なんか飼い犬の気持ちが分かる気がする〜!

 飼い犬…ペット路線ガチでアリかも。いや犬要素は実際キメラってるけど。



「ねぇビロードさん、どうしてこんなに良くしてくれるの?ビロードさんにとって僕なんて何も接点のない見知らぬ魔物のはずなのに…」


「理由が必要、という事ですか?

 それでしたら、私を助けてくれたという事で、充分なのですよ。」


 そう言って微笑むビロードさん。眩しい笑顔。キラキラフィルターかかってる。

 乙女ゲーか何かのエフェクトですか?聖人のような笑顔。なんて人格者!!こんなに素晴らしい人が親だったらいいなぁ!前世の僕は親に恵まれてなかった可能性が微レ存。この人ホンマに魔物なんですかね。もしや前世は聖徳太子だったりしませんか?



 ところでお気づきですか?僕の口調がフランクになってる事を!そう、ここ数日で割と馴れ馴れしくなりました。はい。


 いや、まあ口調の話って言えば…そう…


「ねぇねぇネクストさぁん♡僕って可愛い〜?♡」


『はい、マスター。

 とってもキュートかと思われますよ。』


 そう!癒し系!癒し系魔物として!なんかこう可愛らしいカンジになろうかと!そっち系の路線で行こうカナーと!ペット?マスコット?的な?

 んあ?あからさまであざとい?キモい?うっさいやい!前世はぶりっ子だったかも。いや無いか。

 でもちょっと、可愛い癒し系の喋り方ってムズい。うん。黄色いネズミみたいに可愛くなりたい。

 やっぱなろうと思ってなれるもんじゃないね。

 そう考えると、どっかの見た目は子供だけど頭脳は大人的な探偵ってめっちゃ演技上手いやんけ。


 …そういえば僕、そもそも何歳だったんだろ。



「ねぇネクストさん、質問なんだけど…

 僕ってさ、実年齢と精神年齢、あと知能的な年齢って自分で調整できたりしないかな?」


『それは分かりかねます。

 魔物として進化する事で、何かが変わる可能性はあるかもしれません。

 魔物としての年齢と人間としての年齢の乖離が起こった場合、どのようになるかは分かりません。』


「それじゃあさ、自分の記憶を封印したり改竄したりって出来るのかな?例えば、物心ついたばかりの子供の状態にするとか。」


 ふとビロードさんの脳内施錠を思い出したが。


『それも分かりかねます。

 何かしらの手段は存在するかもしれません。』


「じゃあ最後に…僕が気を失った状態であるという事を前提条件として仮定し、ネクストさんが僕の肉体をオートパイロットで動かす事は可能?

 もしそれが可能であるのなら、細かく行動を指定できたりする?」


『それは可能です。

 マスターが肉体保有者の権限を一時的に解除し、

 その間の権限を私に付与されれば可能です。』


「そっか…」




 この時の僕が考えた事は。

 色々、そう、色々と。

 いずれ、その時に───────



──────────────────────


・・・マスターの自堕落なプロンプトを更新


【所持スキル熟練度】

 ロック解除:42%

 運の良さ:???

 浄化の力:122%★→???

 遠視:2%

 爆破攻撃:0%

 霊感:101%★

 クラフト技術:0%


──────────────────────

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る