第2話 責任取ってもらうからな!

目を覚ますと俺は瓦礫の上で目を覚ます。

「生きているのか?」

身体は痛い・・・でも、俺は生きていた。

「・・・あいつら、大丈夫かな?」

俺は自身の限界を感じていた。

日々募る妹、美香との力の差。

勇者としてのポテンシャルの違い。

仲間は皆いい奴だ。

俺もそんな皆の助けになりたく努力したが美香に追いつけない。


剣と強力な補助魔法を使うパラディンのアレックス。

究極魔法の使い手、魔導士のマーディア。

聖都ミスティリアンの聖女、マリア。

百発千中の弓使い、カーディナ。

そして、閃光の勇者で光の攻撃魔法の使い手で俺の妹美香。


そんな中、俺が与えられたのは剛力とこの一時的に魔力を爆発させる力だった。

「・・・さて、どうしようかな。」

俺の爆発によって開いた魔王城の天井を見上げる。

崩落して穴の開いた魔王城の天井を見る。

「・・・行くか。」

こんな俺でもまだ役に立つかもしれない。

そう思い歩き出そうとしたとき視界に入ってきたのは。

「魔将軍メーデル・・・。」

勇者として旅立った時から数えきれない程戦ってきた彼女。

「う・・うぅ・・・。」

老若男女関係なく惨殺していた魔王軍。

しかし、彼女だけは違っていた。

人間を見下しているのは変わりないが決して快楽のための無駄な殺生はしない。

「私は、魔王様の覇道のために剣を振るう。

一刻も早くこの戦いを終わらせて・・・そして・・・。」

あの時の彼女の顔はどこか穏やかだった。

強大な魔力が膨らみ消えていく感覚を感じた。

勝負はついたみたいだ。

「・・・我ら魔王軍の敗北だな。」

「・・・そうだな。」

「・・・魔王様が討ち死にしたのだ。

私もその後に続かなければ・・・。」

そう言うも彼女の身体は動かない。

放っておいても死ぬのは確実。

「・・・将として死ぬことも許されないのか。」

彼女の目から一筋の涙が流れる。

「・・・勇者ケイゴ、頼みがある。」

「嫌だね。」

彼女の言わんとしていることはわかっていた。

だから、俺は拒絶する。

「もう戦いは終わった。

これ以上、俺は誰の命も奪わない。」

俺は懐からエリクサーを取り出す。

いざという時に取っておいたモノだが、使う機会はなかった。

口に含み彼女の口腔内に流し込む。

「・・・!?」

いきなりのことで激しく抵抗されたが関係ない。

彼女を見捨てることは出来なかった。

「・・・貴様、見損なったぞ。

この私を辱めるなど///」

「顔を真っ赤にして可愛いな、お前。」

「なっ・・・///!?」

「安心しろ、これは医療行為だ。

お前の身体をどうこうしようとは思っていない。」

「・・・そ、そうか。」

自身の身体を抱きしめるメーデル。

「・・・これからどうするんだ?

俺たちにもう一度挑むか?」

「魔王様がいない今、何もする気は起きんな・・・。

だが、貴様に助けられた命を無駄にするつもりもない。

だから、ケイゴ!」

「・・・なんだ?」

「責任取れ!

私の唇を奪ったのだ!

それはつまり、き・・貴様とのこ・・子供が・・・///」

「・・・。」

マジか・・・まさか、これほど初心だとは。

「な・・何を笑っている!?

せ・・責任は絶対に取ってもらうからな!!」

「わかったよ、メーデル。」

こうして、俺たちは二人旅に出たのだった。


「・・・何を笑っているんですか、アナタ?」

「いや、あの頃はメーデルも初心だったなと思って・・・。」

「だっ・・だって、知らなかったのですからしょうがないじゃないですか///!?

あの時、本当に不安だったんですからね!」

「ごめんごめん・・・。」

頬を膨らませて怒る妻からはもう魔将軍だったころの厳しさはない。

「ほら、笑ってくれよメーデル。」

「・・・もう、キスをしてくれたら許します。」

「赤ちゃん出来ちゃうぞ?」

「アナタとなら何人でも///」

「そうか・・・。」

二人の影は重なり想いを紡ぐのだった。

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勇者と魔王の最終決戦前に退場した仲間と敵幹部のその後の話 わっしー @kemkem9981

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