【KAC20254】俺が夢の世界をドラゴンから救う!? ~もう9回目だっていうのに、ドラゴンに対してノー対策の夢の国が、まだ在り続けるワケ~

つきレモン@カクヨム休止中

9回目の夢

 あの夢を見たのは、これで9回目だった。

 この夢を見続けている理由は、きっと2週間前に見たとある小説。


「王よ! 我が国をお救いください!」


 火を吹くドラゴンに襲われる国を、が救おうとする夢。


 けど、毎回少し内容は違くて、全く同じ夢、というわけではない。


 ドラゴンの退治法が、毎回違っているのだ。




 でもそもそも、9回もこの国は襲われているのなら、俺に頼る前になにか対策してほしい。





「何か退治の方法はないのか?」


 これを聞くのも9回目。


「実は、代々伝わる秘術がございます」

「だったらそれで退治すればいいじゃないか!」

「でも……」


 少し言いにくそうにしてから、側近らしき若い青年は答えた。



「この秘術は、王の魂を引き換えに行うものでございます」


「はあっ!? そんなのダメだ! まだ高校生だぞ!? 卒業したいし、来週にはテストもあるんだ! まあ、テストはやりたくないけどさ。とにかく、ここで死ぬわけにはいかないんだよ!」


 この夢を見るのもこれで9回目だけど、こんな退治方法は今までなかったぞ?


 この国は王を犠牲にして国を救う、そんな国だったのか!?


 夢だとわかってはいるものの、夢の中では本当のことのように感じてしまうものだ。

 思わず言い返すと、側近(だと思う)が「そうですよね……」と深くうなずいた。



 なんだよ、だったら提案するんじゃないっ!


 とりあえず俺の命は守られたようだが……。


「しかし……」


(たぶん)側近が何かを言いかけたとき、外で大きな音がした。

 ドゴゴゴゴゴ……。


「ドラゴンです! 王、早く決断するのです!」


 え、それって俺の魂を使う決断ってこと!?

 さっき「そうですよね」って言ったじゃないか!


「バ、バカッ!! 自分の命と引き換えに国を守るなんて、少なくとも俺は絶対にやらないぞ! まず、絶対そんなことする人いないだろ……!」


「先代の王様方はご自分の命と引き換えにお国を守られました……!」


 は? 嘘だろ!?


 でも、この国をドラゴンから守らないと俺は夢から覚めれないんだ!

 命と引き換えか、永遠に夢の世界か……!


 こ、こうなったら……!


「俺はドラゴンあいつと話してくる! あいつにも何か理由があるかもしれない! 側近おまえはそこで待ってろ!」


「王! お待ちください!」


 待ってられるか!





















 って、啖呵を切ったのはいいけど……。



 俺の100倍はある大きなドラゴンを見上げて、ツーっと背中を冷や汗が伝う。


「こいつとどうやって話したらいいんだ……?」

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